マイペースに小説を書いていきます。
素人なので誤字があったり、話の内容がおかしかったりと
読みにくいかもしれませんが、どうぞ温かい目で読んでくれたら
嬉しいです<(_ _)>
コメント・アドバイスもぜひどうぞ。返信はその日のうちには無理かも
しれませんが、必ず返します。
長文失礼しました。
-このお話は恋愛小説です。-
>>2
登場人物紹介(明日に書きます。)
あらすじ(簡単な)
>>3
本編 1.モテすぎて困るっ!
苦笑だね、頑張れ
127: +*藍ぷらす兎夢*+<ao.tomu> ◆uc *君のこと見てると胸が痛むの。君の笑顔が幸せそうで*:2017/11/08(水) 18:04
>>126 アーヤさん*
^^;
お久しぶりです!作者のあおです。
小説放置しておりました(・。・;
すいませんm(__)m
これからは書ける限り?)書きたいと思います☺
22.恋のスピーチ..劇の主役は?
なんて言えばいいの?
でもここに来てしまった限り、やらなきゃ‼
私は教壇に立ち、前を見つめた。余計なことは考えない!よしっ
「私が主役になったら、皆を笑顔にできる劇にしたいです。私は去年、劇で主役をやりました。
その時、セリフを間違えてしまい、私は後悔しています。皆を笑顔に出来なかった、完璧な演技ができなかった、そう思い続けていました。でも、今年の劇で、また主役になり、今度こそは完璧な演技をして、皆を笑顔にしたい。そう思います。劇を見てくれる人が、楽しめて、思わず笑みがこぼれてしまう、、そんな劇にしたいです…! おわりです」
皆から拍手がおこった。歌ちゃんを抜いて。。
でも‼
最後まで言えた…!怖かった、けど言えた…。
この気持ちがクラスの皆に伝わればいいな。
「恋さん、ありがとうございました。では、2人のスピーチを聞いて、どちらが主役にふさわしいか、投票で決めます。私が順番に名前を言います。主役にふさわしい人の方に挙手してください」
文ちゃんが言うと、皆はザワザワし始めた。
怖いなぁ…歌ちゃんが主役になるのかな。。そんなこと分かんないけど…。
*しばらくして
「皆さん決まりましたか?…いいようなので、、。まず、歌さんが主役にふさわしいと思う人!」
・・・
「いないのですか?」
文ちゃんが問いかけても、皆挙手しない。
えっ。歌ちゃんがふさわしいと思う人が誰一人いないなんて、歌ちゃんは…。
私が歌ちゃんの方を向くと、目が合ってしまった。
鋭い目つきで私をとらえると、ふいっとそっぽを向いた。
やばい…歌ちゃん、怒ってる…あの歌ちゃんを敵にしたら、人生、終わる…。
それにこんな皆の前で、、可哀想だしっ。
思わず私は口を開いた。
「みっ皆!歌ちゃんがふさわしいと思うって人、いないの?も、もっとよく考えたら……」
私が途中まで言いかけたとき、歌ちゃんが私の口元に手をかぶせた。
「…ん…?!歌…ちゃん?」
「余計なお世話。恋ちゃんが主役よ、完全に」
「…ほんとにそれでいいの…」
「もう何も言わないで。文ちゃん、進めて」
歌ちゃんにそう言われるまで唖然としていた文ちゃんが、はっとなった。
「あ、、こ、この結果、主役は恋さんです…!!」
皆から、拍手がおきる。
今度は歌ちゃんも、軽く拍手していた。
と...絆君が言った。
「恋ちゃん、頑張れ‼」
絆君の笑顔に、きゅん、となったのは気のせい...?
「ありがとう、絆君、皆…!」
絆君、頑張れって言う言葉、無駄にしないよ。
皆も、こんな私を選んでくれてありがとう!
>>次回 23.王子様役は?
いつも読んでます!すっごくドキドキするし、なりより続きが楽しみです(*ゝω・*)ノがんばれ!
131: あお ◆uc:2018/01/05(金) 17:30
>>130ありがとうございます!ドキドキをもっと届けられるよう、頑張ります☺
23.王子様役は?
シンデレラ役決めが終わり、業間休み……
「恋!主役のシンデレラ役おめでとう!」
業間休みになって、すぐさま私の席に来た文ちゃんは、うるうると目に涙を浮かべてる。
意外と文ちゃんって涙もろいのかなぁ。
「ありがとう!文ちゃん!もうドキドキしたよ……超緊張したもん」
「え〜、でもすごいいいスピーチしてたじゃん。あれが緊張してた人のスピーチだなんて思えないよ」
「そう?」
「次の5時限目は王子様役決め……ふふ、楽しみね」
「えっ?楽しみって?何が?ねぇ文ちゃん!」
「あっもう業間終わる。じゃーね〜」
私の問いかけには答えず、すたすたと席に戻ってしまった。
文ちゃん、どういう意味なの?
*
5時限目……王子様役決め
文ちゃんが教壇に立って、言った。
「次は王子様役決めです。立候補ありますか?」
その瞬間!!
男子ほぼ全員が挙手した。絆君も。
私が教室を見渡すと、1人だけ挙手していない男子がいた。
赤沼 城(あかぬま じょう)君。
すらりと背が高くて、いつも一人で行動してる。
と、目が合ってしまった。
城君はすぐそっぽを向いた。私なんかどうでもいいみたいに。
あ、文ちゃんというと……
ふふっと微笑み、ダンボール箱をバンッと教卓に置いた。
男子は相変わらず挙手したままだったが、驚いた表情でダンボール箱を見た。
「くじ引きです!実は、業間休みに男子達が王子様役になりたいと言っていたのを聞きました。
なので、ほぼ全員が挙手すると想定してくじ引きをつくったのです!!!」
えええっ!?さっき私と業間休みに話してて、いつくじ引きなんか作ったの!?
文ちゃん、あなたは何者ですか。
「えー、今挙手した人は、教卓前に並んで下さい。そしたらくじ引き引いてってくださいね。ひとつだけ丸の付いた紙が入ってます。それを引いた人はあとで聞くので……」
言い終わると、男子は一斉に手をダンボール箱に入れた。
「よしっっ!!」
絆君は、ばっ!と紙を引くと、血走った目で紙を見た。
「…なんだよ」
絆君はとぼとぼと席に戻って行った。
ああ、あたらなかったんだ……。誰に当たるんだろう。シンデレラ役の私もドキドキ。
全員が引き終わると、文ちゃんが男子に聞いた。
「王子様役、誰でしたか?」
文ちゃんが聞いたのに、男子は何も言わなかった。
え?どうして誰も何も言わないの?誰かしらあたってるはずなのに……。
沈黙が続いた後、ガタッと椅子から立ち上がる音がした。
皆が音がした方を振り向く。
私もそっちを振り向いた……。
立っていたのは、王子様役に立候補しなくて、くじ引きも引いてないはずの赤沼城君だった。
「王子役、俺だけど」
気のない返事をして、教室を見渡した。
一瞬、私を目でとらえた。
どうして……?
でもなんで城君が……くじを持ってるの……?
次回 24.城君との劇練習
24.城君との劇練習
教室に沈黙がはしる。
どういう意味?
「えっと、赤沼さんは挙手しなかったし、くじ引いてなかったと思うんですが」
文ちゃんが聞くと、城君は頭をかいて言った。
「俺くじ引いた。挙手は忘れただけ。眠かったから」
「眠かったって……」
文ちゃんは、ため息をつくとしかめっつらになった。
「眠いだなんてただの言い訳ですよね?」
「…」
城君は無言のまま席につき、机につっぷした。
と、担任の先生が言った。
「まぁいいんじゃない?赤沼さんがやらないっていうなら、ほかの人に……」
先生が言いかけたとき、城君は言った。
「俺やるけど。王子役」
ってことは王子様役は城君‼?
クールな城君とだなんて……劇の練習の時緊張するよーっ。
*
「これから劇の練習をします。劇で人物を演じる人は、私が事前に台本を作っておいたので。もう配ってありますよね?それを持って練習しに行ってください。王子様役の赤沼さんと、シンデレラ役の恋さんは、隣の空いてる教室で練習を」
文ちゃんが言うと、城君は私のもとへ来た。
何々何々…?!怖い!城君の目が‼
「行くぞ」
城君は一言言うと、先に隣の教室へ行ってしまった。
「あっ待って!」
隣の教室に行くと、城君は台本を朗読していた。
うわぁ……この空気気まずい!
なんか喋ったほうが良いのかなぁ……。
「ね、城君……」
「姫、一緒に踊りましょう」
「えっ?」
城君はくすくす笑った。
初めて見た。城君の笑顔。
「台詞言ったんだよ。本気にしてんのか」
「なっ本気になんか!!」
城君、女子をからかって‼
むっ……
私がふくれていると、城君は私の頭に手を置いた。
「んだよ、その顔。まぁ頑張ろうぜ」
……!
その笑顔にドギマギしてしまう。
からかっといて頑張ろうぜって、応援されても嬉しくないもん!
「……じゃあ最初から台詞通して言ってみよう。動きは後にして」
「おぅ」
*
「ふぁーっ。疲れた……台本が長い!外の空気でも吸ってこよっと」
私がベランダに出て、外の空気を吸っていると、城君が隣に来た。
「お前っておもしれーな」
「どっどこが!!」
私が反撃すると、城君はくすくす笑った。
そしてマジメな顔つきになって言った。
「こんなに笑ったの久しぶり。俺、いつも無表情で無口だからさ、友達もいない」
いきなり態度が変わった城君にまたドギマギしてしまう。
「そっそっか」
「お前っていつも笑顔だよな。どんな時でも」
「えっ」
「俺、そういうお前が羨ましい」
「……城君だってさっき笑ってたじゃん!」
すると、私の顎をクイッと上にあげた。
顎クイってやつ?えっ何?!
「俺が笑顔になれるのは、お前が笑ってるからだよ」
城君は私の顎から手を離した。
「……城君が笑顔だと、私も嬉しい。劇の練習も本番も頑張ろう。王子様」
私は微笑みかけた。
城君も笑う。
「おぅ、姫」
次回25.くじけそうな時でも
文がとても凄い…。すっごくキュンキュンします\(^o^)/
135: アーヤ◆TQ:2018/01/06(土) 15:13親キャラ登場なのかな?
136: あお ◆uc:2018/01/07(日) 13:25
>>134文ちゃんはマジメでテキパキしてて、天然な恋にとって尊敬できる親友です☺
ありがとうございますm(__)m
>>135赤沼城君は新キャラですね☺一人を好む男子ですが、恋には心を開いたみたいです。
25.くじけそうな時でも
次の日……
劇の練習
「姫!待ってください!」
城君と私は劇の練習に取り組んでいた。
「12時の鐘がなってしまったんです、もう帰らなくては!さようなら、王子様」
「……あっ、姫のガラスの靴……。届けなくては」
一通り通したところで、城君が言った。
「おい、お前。表情が硬いぞ。普段は表情くるくる変わるのに。どうしたんだよ?」
私は、はっとした。
確かに、うん。自分でもわかってた。
表情がさっきからずっと硬い気がする……。
どうしてかは分からない……。なんで?
「ごめん、自分でもなんでか分からない」
「1回思いっきり笑ってみろ」
「えっ?こう?」
私が笑って見せたつもりが、城君はため息をついて私を見た。
「全然できてない!お前そんなんでこれからあと1週間の練習と、本番をやるつもりか?!」
城君の目が怖い。
どうしよ、私のせいで練習が進まない‼
「ごめんね」
謝ると、城君はしかめっつらになった。
「お前さっきから、ずっと表情硬いぞ!!
これで一通り練習したの4回目だけど、1回目から表情硬かった。
で、謝ってばっか。謝ってるくせに何回やっても同じ結果!いい加減にしろよ‼」
「そんなこと言われても……」
「お前シンデレラ役決める時のスピーチで、皆を笑顔にできる劇がしたいって言ってたのに、こんな劇で本番皆が笑顔になると思うか?自分に甘いんだよ‼笑顔にしたいって言うのは言葉だけか?行動で示せ‼」
正論を言ってるんだろうけど、そんなこと……言われたって……。
タッ
「おいお前‼逃げてどうすんだよ……」
「どうしたらいいか分からないんだもん‼」
私は教室から出て、廊下をひたすら走った。
行先も分からないまま、ひたすらに、走った__
と、
どすっ
「恋ちゃん?!」
「絆君‼ごめんね、前見てなくて……」
「様子が変だな、どうしたの」
「……実は……城君と……」
*
「城、短気だから」
「でも、怒ってたわけじゃないと思う。正論だったと思うし」
「そのうち慣れるよ」
「そうかな。ごめんね、なんか関係ない絆君に……」
「いいよ、別に。城、短気だけど慣れれば大丈夫だよ」
「うん。頑張るね!ありがとう!」
私は絆君とさよならして、城君のいる教室に戻った。
次回 26.あきらめない‼
卓も出してあげて欲しいよ
139: あお ◆uc:2018/01/08(月) 17:02
>>138卓はしばらく登場しなそうです^^;
城↬千速↬卓↬絆…みたいな順番で登場するハズ...;
そうなのか、城も恋に片想いする感じ?
141: あ お ◆uc:2018/01/09(火) 17:58
>>140城は恋愛感情ほぼないので、城にとって恋は良き女友達です^^
26.あきらめない‼
私が教室のドアを開けると、城君はあぐらをかいて座っていた。
「あの…さっきは逃げて…」
言いかけた時、城君はよいしょと立つと、私に台本を差し出してきた。
「お前なら戻ってくると思ってた。今度は表情やわらかくな」
びっくりした。
さっきはあんなに言ってきたのに、今は真剣なまなざしで私を見つめている。
「うん…‼」
*
「よし‼今のよかったぜ。その調子で。俺も皆もお前に期待してるから」
よかった……
今度は出来た……!
思わず笑みがこぼれる。
「あ、そろそろ劇の練習終わりだ。教室戻るか」
「……あの!」
私は前にいた城君の制服の裾を引っ張った。
「お前…」
「私、城君が叱ってくれたおかげで、上手く出来た。さっきまで心折れてたけど、今はもう平気。
何があってもあきらめないから!城君と皆の期待は裏切らない!約束する」
私は城君の目を見ながら言った。
もう、どんな困難があってもあきらめない。それを城君は教えてくれた。
「……そんなの分かってる、言わなくても」
「えっ?」
意外な返事にびっくりした。
「お前は簡単にあきらめる奴じゃない。たとえ心が折れても、また立ち直る。それに、お前が皆の期待を裏切らないことくらい知ってる」
「城君……」
「頑張ろうな、お互い」
城君の笑顔はすごく優しかった。
でも、目つきはすごく真剣で。
「お互い頑張ろうね」
私も城君に言った。
城君はそのあとは何も言わず、教室へ戻って行った。
劇まであと5日。
演技を完璧にするのは勿論、本番は皆を笑顔にする。
絶対に……。
次回 27.本番…でなんとハプニング発生?!
恋を信頼しているね城は,頑張れ二人成功祈っている
144: あ お ◆uc:2018/01/14(日) 10:47
>>143
城は恋に期待していて信頼しています。
劇は成功するのか…?でも27章は本番でハプニング発生しちゃうんです..;
でもそのハプニングを乗り越えられるのか.. 注目です‼
27.本番…でなんとハプニング発生?!
そして、私と城君はひたすら練習をして、あっという間に5日がたった。
本番__
朝から文ちゃんの熱がこもった声が教室中に響き渡っていた。
「皆さん、いよいよ、もう今日です!あと40分後です!いいですか、最高の劇にしましょう‼」
皆は大きな声で返事をした。
私も、勿論大きな声で。
だって、1週間という短い間に精一杯城君と練習してきて、最高の劇にできないはずないもん!
城君の席の方を見ると、私に向かって笑いかけた。
私も笑い返した。
*
いよいよ、私たちのクラスの発表が始まる。
「次は、シンデレラの劇です。1週間という短い間でも一生懸命練習し、劇の準備も頑張ってきました。
どうぞ、ご覧ください」
司会の人が言い終わると、ステージの幕が上へ上がった。
全て上がり終わると、客席の大勢の人が見えた。
最初は、意地悪なお姉さんたちに言われて掃除をするシーン。
私は、そこでは台詞があまりなかったので、台詞より劇に集中した。
*
そして、王子様と踊るシーン。
王子様役の城君がやって来た。
「そこの美しい貴女……、名前はなんと言うのですか」
「ごめんなさい、名前は言えないのです」
「そうですか……。お願いがあります、姫、共に踊ってくれますか?」
城君が私に手を差し伸べる。
私はそっとその大きな手に触れた。
「はい」
そして、私と城君は踊った。
次は12時の鐘が鳴って、階段を下り、ガラスの靴を片方落としていくシーンだ!
カーン……
「あっ、私はもう帰らなくては。短い間でしたが、楽しかったです。王子様、ありがとうございます」
「姫!」
ガラスの靴を片方落として、私は一旦ステージの端に行った。
そこには文ちゃんがいた。
「恋、すっごくいいよ。皆も笑顔だし……。最後まで全力を尽くしてね!」
「うん!文ちゃん、応援しててね!」
*
王子様がシンデレラのことを探していて、シンデレラとお姉さんたちが住む家にガラスの靴を持って王子様が訪ねてくるシーン。そしてシンデレラと王子様は幸せになるんだ。
「姫……。貴女が前の……」
「……王子様」
「貴女が前の美しい姫だったのですね!さ、共に行きましょう。貴女を探していたのです」
「はい……王子さ…」
その時、いきなり気持ち悪くなった。
酷いめまいが私を襲った。
私は倒れた。客席の人たちがざわざわしている。
近くから城君の声。
でも、だんだん声は遠ざかっていった。
__どうしよう。
皆を笑顔になんてできないの……?
私のせいで……
次回 28.皆を笑顔にする!
あー!恋ちゃん( ゚д゚)
次回が楽しみです
28.ごめんね@(題名を変更しました)
「こ……!……い……!」
聞き覚えのある声で目が覚めた。
「城……君?」
私は城君の手に自分の手をのせた。
「お前……!よかった……」
私は起き上がって周りを見渡した。
ここは保健室か。
でも私、どうして……
「私、倒れたんだよね……」
「そう。台詞言ってる途中にいきなり倒れて、俺と文で保健室に連れてったんだ。その後しばらくして文は教室に戻ったけど、俺は心配で……先生に許可もらって保健室に残ってんの」
そして城君は微笑んだ。
「よかった。このままずっと起きなかったらどうしようと……」
私はそれには返事をせず、言った。
「体育館に行かなきゃ……。もう一度劇をしないと……」
私はまだくらくらする頭をおさえながら、ベットからおりようとした。
そんな私を城君が慌てて止めた。
「おい、無理だって。何しろもう劇は中断されて体育館には誰もいないし」
「嫌……。私のせいで劇が台無し。もう一度だけ、劇を……」
その時、めまいがした。
「うう……」
「無理すんなよ…?台無し?そんな訳ない。お前は頑張った。もう十分……」
「嫌なの‼皆でたくさん練習して、準備もやってくれたのに、劇が中断だなんて。皆を笑顔にしたいの……。
こんなんじゃ、このままじゃ駄目……」
「だから、いくら言えば諦めるんだ‼諦めることも大事だろ。それに体調がまだすぐれないのに劇なんかやったってまた倒れるかもしれねーし。そんなんじゃ皆を笑顔になんて一生無理だぞ?」
「諦めたら駄目だよ。私、行く……。せめて皆に謝りたい。ごめんなさい、私の責任です。って」
私は泣いていた。
大粒の涙が頬をつたり、布団へ落ちる。
「お前、そんな自分責めるなよ!責めたからってなんもなんない。ただ自分が苦しむだけだろ‼」
「私の責任だもん。こんな大事な時に、倒れたりなんかして……。皆を笑顔に出来なかったのに、黙っていられる訳ない!」
私は涙を制服の裾で拭きながら大声でそう言った。
「……」
城君は黙っていた。
次回 この章の続きです!
29.ごめんねA
しばらくの間、保健室は静かだった。
沈黙が続いた。
私は口を開いた。
「城君……やっぱり私謝りに行く。全部のクラスを回って、謝りたい。劇が出来ないなら、謝りたい」
そう言うと、城君は私の頭をかるくゲンコツした。
私は正直驚いた。頭を抑えながら城君を睨む。
「痛っ……。何するの、城君」
「あのさぁ、お前って人のことばっか気にしすぎ。他人を思うことはいいことで、お前の長所だけどよ、それが悪い方に出てる。自分のことばっか責めて、自分の責任だ、皆に謝りたい。……ふざけんな」
城君は窓の方に行くと、溜め息をついて言った。
「皆はそんな気にしてないと思うぞ?劇のことより、お前のことを心配してるんじゃないのか?自分に責任負わせて、苦しい思いして泣いてんの。可笑しいわ」
「だって私の責任だもん‼」
「だってだってって、いつまで自分責めてんだ‼少しは分かれよ‼いつまでも引きずって、一生そんな辛い思いしてんのか?謝るのは勝手だけど、謝ってどんな返事が返ってくると思うか?「劇のことより、恋は大丈夫?」、
そんな返事が返ってくると俺は思う。……あ、文が来たぞ」
謝ってそんな返事返ってくるの?
でも、私が悪い。謝らなきゃ。
「恋ー‼起きてよかった……。もう、目覚めないのかと思ってたわ。クラスの皆も、大丈夫かなって心配してた。恋が起きたなんて言ったら”皆嬉しいしほっとするだろうね”。よーし、皆に言ってくるわ〜!」
皆嬉しいしほっとするだろうね……?
ホントにそうなの……?
クラスの皆も心配してくれてるの?
「文ちゃん、ごめんなさい。私のせいで劇が台無し。私、まだ教室戻れないから、皆に言っておいてくれる?本当は私から謝りたい……」
私が言っている途中に、文ちゃんは笑った。
「何言ってんの?劇はしょうがないよ!そんなことより恋が心配だった。謝るなんてそんなことしなくていいのに!自分を責めなくていいのに〜」
……えっ
そんな風に思ってたの……?
思わず涙がぽろぽろこぼれた。
「ちょ、恋?泣く必要ないでしょ…」
「そんな風に思ってたなんて……。私が悪いと思ってた。全部私に責任があるって……。
私、皆が大好き……」
私は文ちゃんの手を握りしめて、
「ありがとう」
と、言った。
黙っていた城君は、微笑んでいた。
城君には、大切なことを沢山教わった。
皆には、感謝してる……。
また違うことで、償おう。
その後私は元気になって、教室に戻ったら皆泣いてた。
どうしたのって聞いたら、
”劇のことより恋が心配だった”
”ほっとしたよ”
”劇、十分よかった。頑張ったじゃん!感動をありがとう”
だって。
絆君は、
”何もできなくてごめんな。もう無理すんなよ。もう、ほんとよかった”
30.千速君とのお付き合い
「この前千速さんに告白されて、千速さんと1ヶ月付き合って、よかったら本格的に付き合う?」
文ちゃんが私に顔を近づけて驚いた顔で言った。
そう、私は1ヶ月千速君と付き合って、よかったら本格的に付き合うと、千速君に告白した時に言ったの。
(↑詳しくは>>118 19.恋、どうする?! を見て下さい☺)
「文ちゃんに黙ってたけど、そういうことだったの」
「そういうことって、恋、あんたどんだけモテるのよ?」
文ちゃんが険悪な笑みを浮かべながら言ったので、私はとまどった。
「モテるって……?どこがモテてるの?私って」
すると文ちゃんは私の机にばんっと手を置いた。
「とぼけても無駄よん。絆さんに千速さんに先輩の卓さん、恋は3人も虜にしちゃってるのよ〜?」
なんか恥ずかしいよーっ。
虜だなんて!
「もう、私は千速君のことを言ってたのに……__」
と、教室の入り口の方から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「恋」
*
入り口のドアに千速君がもたれかかっていた。
「なぁ……」
千速君は言った。
「1ヶ月付き合うって、俺何したらいい?」
そっそんな唐突に言われても!
それは千速君の御役目だと……。
「何って……」
「デート行くか?」
デート!
その言葉をさらっと言い、しかも私をデートにさらっと誘えるなんて、千速君ってテレたりしないのかな。
あっ、そういえば……
行きたいところあったんだよね。
「デートはスイーツランドがいい!」
言ってみたけど、千速君はキョトン顔。
「スイーツ、ランド?なんだそれ」
「いろんなスイーツがた〜くさん食べられるスイーツバイキングのお店なの!
千速君は甘いモノ苦手?」
聞くと千速君は首を横にふった。
「むしろ好きだけど……」
「ほんと?!じゃぁ、デートはそこでいい?」
千速君は笑って言った。
「おぅ!いいぜ。お前の好きな所で。あ、今週の日曜でいいか?」
「日曜ね!ありがとう……!」
ずっと行きたかったところに千速君と行けるなんて楽しみ!
ん?今私”千速君と行けるなんて楽しみ”って言ったよね?
どうしてそんな風に言ったんだろう……。
まぁそんなこといいか。
私は千速君とさよならして、教室へ戻った。
その後は文ちゃんにさっきのことを言った。そしたら文ちゃんは何故かすっごく喜んでて。
そして、私はまだ知らなかった。
千速君とのデートが_
すごくドキドキするものになるなんて__
次回 31.甘いドキドキデート
*31.甘いドキドキデート@*
日曜日*
私は朝6時に起床して、朝ご飯をいっそいで食べると、髪を整えた。
色々ドタバタしてたら、あっという間に8時を過ぎていた。
そして10時を回った時、昨日選んだお洋服を着て、最後に全身を鏡でチェック。
「よしっ!自分で言うのもなんだけど決まってるかも!」
千速君は私の家まで迎えに来てくれることになっている。
スイーツランドでお昼ご飯を食べるんだ。お昼からスイーツバイキングって夢みたい♡
千速君が来るまであと30分。
私は部屋の中をうろうろしていた。
だってもうすぐデートなんだもの。これが初めてではないけど……ドキドキする。
ピーンポーン
インターホンがなる。
私は靴を履いて外に出た。
そこには勿論千速君がいたんだけど……いつもとお洋服の感じが違くって、一層かっこよく見えたから、スイーツランドに行く時、横で歩いているだけでも緊張してた。
*スイーツランド
店内に入った途端、甘い匂いがした。
「ん〜!すっごく美味しそう」
「匂いかぐだけで美味しそうなのが分かるのか」
千速君は笑った。
「こんな素敵な匂い、世界中にここしかないよっ!」
「言いすぎだろ、それは」
そしてまたくすくすと笑った。
私は席をとると、千速君と一緒にスイーツを見て回った。どれもこれも素敵……。
いいのがあったら好きなだけお皿にもった。
そして席に戻るときには、ケーキはほぼ全部お皿にもってあったので、千速君は驚いた表情を見せた。
「そんな食べるのか?」
私はお皿をテーブルに置くと、言った。
「千速君も一緒にだもん。こんくらいもっておかなきゃ〜。それに人生で1度きりかもしれないんだからたくさん食べなきゃね!おー!」
私が腕を高く突き上げると、千速君はドッと笑った。
「あははっ……。ふぅ、食べよーぜ」
「うん!」
私は大好物のショートケーキを1口食べると、頬に手を当てた。
「う〜ん、美味しすぎ〜」
そして残りのショートケーキを食べ終わると、千速君がいきなり私の頬に手を当てた。
「千速君……?」
「クリームがついてる。俺がとってやる」
千速君は指で、私の頬についていたクリームをとると、それをなめた。
そして、いたずらっぽそうに微笑む。
それだけなのに、何故かすごくドキドキしてしまった。
「千速君、恥ずかしいからもうやめてっ。私の心臓がもたない!」
私が叫ぶように言うと、千速君はガトーショコラを口に入れ、味わうようにして噛むと、飲み込んだ。
そして言った。
「これからなのに。まだデートは始まったばっかだろ」
「へっ」
私はあんぐりしてしまった。
これからなのにって何?!
*次回 32.甘いドキドキデートA*
*32.甘いドキドキデートA*
しばらく、私はドキドキしたままだった。
念願のスイーツランド。なのに、ケーキは喉をとおらない。
「俺トイレ行ってくるわ」
「あ、うん」
千速君は席を立った。
私は千速君がいなくなったことを確認すると、ふぅ、とため息をついた。
ドキドキしすぎて疲れる〜…
と、背後から見知らぬ人の声が_
「君可愛いね〜。俺とちょっと付き合ってくんない?」
私は後ろを振り向いた。
そこにいたのは、全然知らない男の人だった。20代後半くらいの…
よく分からなくて色々考えていると、男の人が私の肩に手を置き、顔を近づけた。
「怖がってんの?そういう君も可愛いね。何歳?顔は子供っぽいけど、超可愛いじゃん…」
可愛い可愛い言ってくる男の人は、すごく怖かった。
ん…これってナンパ!?スイーツランドの店内でこんなことが…。
助けを呼ぼうとしたけれど、店員さんは最悪なことに周りにいなかった。
それにお客さんも皆さっき帰ってしまっていた。
「やめてください…!」
私は男の人の体を押し倒そうとした。
だけど小さい私には体格のいい男の人を押し倒せるわけもなく…
「こっち来てよ、少しだけだからさ〜」
男の人がぐいっと私の手を引っ張った…と、思ったら男の人は床に倒れていた。
えっ何があったの!?
「お前何やってんだ‼」
千速君_
千速君だ!…そう分かった瞬間ほっとした。
「こいつは俺の彼女だ‼」
千速君が男の人の前に立ち、両手を広げ私を守ってくれていた。
「へぇ、お前この女の子の彼氏さん?へぇっ、そっかあ。その証拠は?」
男の人はめげてなかった。
さっさと諦めればいいのにしつこい人…!
「証拠…分かったよ、今から俺がこいつの彼氏だってことを証明してやるよ」
すると千速君が私の顔に自分の顔を近づけた。
そして、吐息がかかる。
気付いた時には唇が重なっていた。
「千速く…」
私は、そっと顔を離す千速君をあんぐりと見つめていた。
今のってキスだよね…?
「お前。こんなことが出来るのは彼氏くらいしかいないだろ?分かったなら俺たちのそばからいなくなってくれ」
キッと男の人を千速君は睨んだ。
すると男の人は驚いた表情のまま、すすすーっと出口から出て行った。
男の人がいなくなると、千速君はこちらを見て言った。
「悪かったな。いきなり…キス…なんかして…」
千速君、さっきは店内でも堂々とキスしてたけど、やっぱり恥ずかしいらしく、頬をうっすらピンクに染めていた。
きっと私も千速君とおんなじ色だね。
「あのね…私正直びっくりしたけど…千速君がいつもに増してすごくかっこよく見えたよ」
私はキスの話には触れず、男の人から私を守ってくれた千速君の話をした。
「ん…そろそろ帰るか。ケーキも、食べたし」
「うん…」
私はお会計をすませると、出口から出た。
帰りは気まずくて、なんかぎくしゃくしてしまった。
私は家に帰ってからもずっとさっきのキスのことばかり考えていた。
色々あった。
でも、千速君との初めてのデート、すごく思い出に残った。
1ヶ月間私の彼氏でいるっていうことだけど、1ヶ月じゃ足りない…
もっと、千速君といたい__
私にとって、甘くてドキドキで、思い出に残るデートだった。
*次回 33.喧嘩?!*
あげます↺
*33.喧嘩?!*
だらだら歩いて学校に向かう。というかもう学校の校門前。
一週間の始まりの月曜日から、憂鬱な私。
なぜかって?
喧嘩したの。
えっとね、文ちゃんと…。
少しさかのぼり、昨日、千速君とのデートが終わって家に帰った後に起こった。
*
「ふぁー…。疲れた!宿題やんなきゃなー」
そして机に向かって宿題をしていたんだけど、だんだん眠気がしてきて、うとうとしていると電話が鳴った。
画面を見ると、文ちゃんからだった。
「文ちゃんか…。どうせ宿題やったの?とか、千速君とのデートはどうだったの?だの言われて長々と話すことになるんだろうな」
私はそう言って、文ちゃんからの電話に出なかった。
また、うとうとして机につっぷしていると…、また電話が鳴った。
「また文ちゃん?もうやめてよー…。んー…」
めんどくさくて、2回目も電話に出なかった。
その後もかかってきたんだけど、しつこいなって、出なかった。
そしたら、突然電話がかかってこなくなって、よかったって思ったら、今度は家のチャイムが鳴った。
お母さんがその時いなくて、私がドアを開けたら、そこにいたのは文ちゃんだったの!
「あ、文ちゃん!?どどどど、どうしたの?」
私は嫌な予感がして、びくびくしてたら、ルールに厳しい文ちゃんが近所迷惑になるくらい大きな声で言った。
「さっきあんな電話かけたのになんで出なかったの!」
居眠りしててめんどくさくて…とは言えず、何も言わないでいると、文ちゃんは私の手に何やら文字が書いてある紙を叩きつけた。
「大事な話だったのに!これ、委員会の今月の仕事をまとめたの!先生にやってって言われたから。同じ委員会の人達に電話かけて家を訪ねて紙渡してたの。恋も同じ委員会でしょ?だから今から行っていいか連絡取ってから来ようと思ったのに、出ないんだもの」
委員会?!
そういや先生に文ちゃん言われてたな…。
どうしよう、居眠りしてめんどくさくて出なかったなんて今更言ったら…
「あの、落ち着いて…?ラインで言えばよかったんじゃない…?ね、ねぇ?」
「あんな電話でないのにラインで言ったって返事しないに決まってるじゃない!」
「うっ…」
文ちゃんの反撃に何も言い返せない。
確かにそれは事実だけど…
ラインが来てもさっきの私じゃ返事返さないだろうし…。
「ごめんね…!文ちゃん!」
謝ったんだけど…
「居眠りでもしてたんじゃないの?出てくれたっていいじゃない!何回かけても「只今電話に出れません」って…。もう帰る!その委員会の仕事まとめた紙はよく読んでねっ」
そう言って、帰って行ってしまった…。
*
そういうことなの…。
で、今教室に入るところ。こ、怖いぃぃぃ。
ドアを開けるにも開けられず、突っ立っていると…。
「何やってるのよ」
その声は文ちゃんだった。
突っ立っている私をスルーしてドアを開け、すたすたと自分の席へ行く。
びっくりした…。
本当のこと言って、もう一回謝ろう!
それから、謝れるチャンスを狙おうとしてたんだけど、授業中は無理だし、休み時間、文ちゃんは先生に呼ばれてて…。
どうしよう…。
このまま謝れなくて明日になっちゃって余計に文ちゃんの怒りをためちゃったら、あの仲良かったころの私と文ちゃんには戻れないのーっ?!
そんなの嫌ーっ!
友情って…大変…。
そして、あっという間に下校時間に__
玄関に行くと、文ちゃんが靴を履いていた。
今だっ!今しか、ないっ!
私は急いで靴を履き、もう校庭を歩いている文ちゃんを小走りで追いかけた。
「文ちゃーーーんっ!」
私がそう叫ぶと同時に、そのまま文ちゃんに突撃…。
「な、何するのよ…」
文ちゃんは肩を抑えながら、苦い顔で私を見た。
「あっ、あのね、昨日はごめん!」
私は頭を下げて謝った。
「ほんとはね、宿題してて、うとうとしちゃって…電話に出るのがめんどくさくて…、それで、出なかったの。大事な話だとは思わなくて!ごめんなさい…」
本当のことを言った。
そしてそうっと顔をあげる。
「恋…。はあ…。そういうところ、しっかりしてよね」
ううっ…。
「反省…してます」
「ん…でも、今思うとなんで私もこんな怒ってるんだろうって不思議になっちゃった。
私も、昨日は強く言っちゃってごめんね」
「文ちゃん!ほんとのほんとに、許してくれるの?」
「許すとは言ってないけど?」
許さないって…こと?
「文ちゃんっ」
すると文ちゃんの手が私の頭にのった。
「喧嘩は終わり」
そう一言言い、今度は私の手を握った。
「行こう!」
私の顔が輝いた。
文ちゃんは、一番の友達だよっ。
「うん!」
喧嘩って、友達だからこそしちゃうのかな?
でも、
喧嘩をしたことで、より一層仲が深まったっていうか…!
悪いだけじゃないのかも、ね。
*次回 34.噂…*
*34.噂…*
雪がちらちら降っていた、寒い日。
「ねぇ、恋。卓さんが同じクラスの女の子と付き合ってるらしいわよ」
ぼーっとしてた時文ちゃんにいきなりそう言われて、驚いて目が覚める。
「……え?何、それ」
私が問いかけると、文ちゃんは、溜め息をついた。
「悪まで噂よ?」
噂…噂?本当に?
私は教室から出て、卓君がいる教室まで向かった。
階段をたくさん上ったからか、着いた時にはゼェゼェ…。
卓君の教室をのぞくと、やはり、皆ざわついていた。
あの噂のことで、か。
教室を見渡しても、卓君はいなかった。
きっとこんな噂が流れている教室にいるなんて耐えられなかったんだろうな。
と、1人ざわつく教室で、椅子に座り、うつむいている女の子がいた。
ショートボブの短い髪で、顔を隠している。
「あの子が卓君の彼女…?」
私は教室に入ると、その子に話しかけた。
「あの、卓君と付き合ってるっていう…」
私がいいかけたとたん、その子はわっと泣き出した。
そして、しばらくめそめそ泣いていたがやがて話し始めた。
「違います!…卓君とはいいお友達なだけ…。勝手にいつの間にかこんな噂が流れてて、私が一番びっくりです…」
「卓君は、どこにいるの?」
その子は横に首を振った。
「知らない…」
「…分かった」
*
卓君のことを探したけれど、休み時間中には見つからなかった。
いったいどこにいるの?
卓君は、ファーストキスの相手。
初めてのキスの相手…。
この噂が本当なら、正直許せない。
けど、デタラメかもしれないし。
あの子は「いいお友達なだけ」って言ってたし、もしこの噂が本当なら、泣かないはず…。
…
複雑。。
卓君__
*35.噂の事実@*
*昼休み
よしっ。
今度こそは、卓君を見つけて…
私が教室を勢いよく出ると、曲がり角から小走りで来た男の子とぶつかった。
「うう…」
痛い〜。
って、それどころじゃない…!
立つと、目の前に卓君がいた。
「卓く…」
私が名前を言うと同時に卓君は背を私に向けて小走りで走り出した。
びっくりして私は唖然としていたけれど、やがて卓君を追いかけはじめた。
「卓君、待って!!!!」
私は手をのばすと、卓君の制服を思いっきり自分の方へ引っ張った。
「恋ちゃ…ん…」
「卓君、どうして今逃げたの?あの噂、本当?本当だったから、私と話したくなくて逃げたの?」
私は卓君を問い詰めた。
事実を知りたい。
「噂、聞いてるんだ?」
卓君はしばらくの沈黙の後、そう言った。
「うん。で、本当なのか聞いてるの」
私は年上の卓君を下から睨みつけた。
さっき逃げたことに、少し怒っているから。
「違うんだ、あいつは…」
あいつって、あの例の女の子か。
「あいつは、幼なじみなだけ。2人で話してたら、クラスメートが付き合ってるっていう誤解の噂流したんだよ…」
卓君はうつむいた。
私はコクリとうなずく。
「その女の子、名前は?」
「名前?どうして恋ちゃんがあいつの名前知りたがるの」
「あとで話を聞くから」
私がそう言うと、卓君は驚いた。
「あの噂は嘘だって言ってる。なのにわざわざあいつに話聞かなくても…」
「名前!」
私は少し苛立ちながら叫ぶように言った。
卓君はしょうがない、とでも言うような溜め息をついた。
「あいつの名前は鳥端 雅(とりばた みやび)。俺の家の近所にある神社で親が働いてる」
名前って言ったのに、家まで教えるんだ。
そんなことどうでもいいんだ。名前は聞けたからいい。
「ありがとう、じゃぁ、これで卓君への話は済んだ。だから今から行く」
私は軽くおじぎすると、卓君の教室へと向かおうとした。
「どこに行くんだ?」
卓君が私を呼び止める。
私は背を向けたまま、ぼどりと言う。
「鳥端 雅ちゃんに話を聞きに行く」
私はそして、階段を上って卓君の教室…雅ちゃんがいる教室へ急いだ。
後ろから卓君が追いかけてきたけれど、私はひたすら階段を上り、返事はしなかった。
卓君は途中であきらめ、追いかけるのをやめた。
卓君はどこか怪しかった。
疑ってごめん、卓君。
でも、私は本当の、本当の事実を知りたいだけなの。
私より雅ちゃんのが大切なら、それでいい。
そのまま、雅ちゃんとしあわせになればいい。
一番嫌なのは、本当のことが分からないままにしておくこと…。
*次回 36.噂の事実A*
卓の噂をどう思っているか気になる
158:◆0pk:2018/01/27(土) 18:27頑張ってね
159:アーヤ◆We.:2018/01/27(土) 18:28応援してるよ
160: あ お ◆uc:2018/01/28(日) 11:41
恋ちゃんもちょっと怒ってるかも...?
頑張ります!応援ありがとう☺
*36.噂の事実A*
「雅ちゃん」
私は読書をしていた雅ちゃんに声をかけた。
噂は落ち着いたみたいで、雅ちゃんももう平気そう。
「…休み時間に来た人…?」
雅ちゃんがぽつりと言う。
「うん。あ、私の名前教えてなかったね。恋、恋って呼んで」
「恋ちゃん…?わっ。私なんで休み時間に気づかなかったんだろう…」
いきなり照れ始めたけど…えっ、何?!
「恋ちゃんって、ほんと、可愛いんだね。中学校1の美少女って噂されてたの聞いたけど…、うんっ、可愛い!」
何その噂!
…でもこの中学1の美少女って、照れる〜。
あ、私の話じゃなくてっ。
「雅ちゃん、卓君の噂だけど…、ホントのこと教えて。何でもいいの!」
私が言うと、雅ちゃんの表情は真剣になった。
そして覚悟を決めたように、私を真剣な眼差しで見つめた。
「…私…卓君が好きだったの…!中学1年生の頃から、ずぅっと」
中学1年生の頃から、ずっと…?
そんな、前から…。
「なんで自分の思い、伝えないの?」
「私地味だもん…。気持ちなんて、伝えても伝わらないよ。それに、最近、卓君がね、恋ちゃんのこと話してきたんだ。「僕、中学2年生の恋ちゃんが好きなんだ」って。それを聞いて、諦めたの。
だって恋ちゃんが美少女だって、さっき言ったけど噂で聞いてたからね。
気持ちを伝えたって、届かないのに、伝える意味なんてないでしょう?」
「気持ちは、正直に言わなきゃ…駄目だよ。…私のせいかな?」
「…そんなことない!恋ちゃんは悪くないよ、なんにもしてないもん」
雅ちゃんはため息をついた。
「恋ちゃんと卓君が幸せになるのを、そばで見守ってた方がいいかなあって」
雅ちゃんはイスから立ち上がると、私の手を握った。
「へっ…?」
少し、戸惑う。
でもそんな私はスルーして、雅ちゃんは微笑んで言った。
「あの噂は嘘なの。本当に。それと、ね、私…卓君のこともう諦めたの。
叶わない恋っていうのは分かってるから…。私は、恋ちゃんと卓君が幸せになるのを応援してる」
…
「本当にそれでいいの…?ホントのホントにそう思ってるの?」
「うん。嘘はつかないよ。嘘をつく意味なんてないし…。これは本当に本当のことだから」
雅…ちゃん…。
あの噂は嘘だったんだ…。
ちょっとホッとした。
でも、雅ちゃんは心の奥底で卓君が好きって言う思いが残ってるのかもしれない。
だったら…___
…
「ありがとう、雅ちゃん」
「…?あっ、ねぇ、お友達になってくれない?私、もうすぐ中学卒業するけど…。少しの間だけでいいんだ。
恋ちゃんに憧れてるの。そんな心が広いうえに可愛い恋ちゃんがステキだなって思う。いいかな?こんな私だけど…」
「友達…?こちらこそ!…憧れだなんて、恥ずかしいよ…。雅ちゃんだって優しくて美人でモデルさんみたい…!」
「友達になってくれて嬉しい。モデルなんて…。ありがとう、恋ちゃん」
色々あったけど…、こんな優しい人と友達になれて嬉しいな。。
*次回 37.卓君と最後の思い出づくり*
恋は卓といるの諦めるの⁉️
163: あ お ◆uc:2018/01/30(火) 15:10
>>162
諦めてはいません☺
雅は卓のこと諦めちゃったけど…。
*37.卓君と最後の思い出づくり*
私は自分のベットに寢っ転がってスマホの画面を見ていた。
最近卓君から電話もメールもなーんにもない!
ラインしても既読スルー。
どうしちゃったのかなぁ?
*次の日
私はいつも通り文ちゃんと学校へ行った。
寝不足でちょっとふらふらしてたけど。
私は教室に着くなり急いで準備をして卓君の教室へと向かった。
なんで電話もメールもないのか、不安で仕方ないんだもん。
「卓君!」
私は廊下を歩いていた卓君に後ろから声をかける。
するとこっちを振り向いた卓君が優しい笑顔を私に向けた。
「恋ちゃん」
ドキッ…
ううっ。その笑顔、眩しすぎますっ…。
うわぁ、ドキドキしてる場合じゃない!卓君に聞かなきゃ。
「ねぇ、なんで最近電話もメールもないの?どうしたのかなって」
「スマホ没収されたんだよ。まぁ当たり前だけど」
没収!
それじゃぁ何もできないね。
「実は受験勉強で忙しいんだ」
受験…そっか。受験生だもんね…。
「どこの高校受けるの?」
「若月高校」
わわっ。
若月高校ってここらへんでトップの高校じゃん!
レベルが高くて受験しても受かる確率は少ないって。
でも若月高校に入るとすごい頭がいい大学に入れて将来すごい職業につくかもってお母さんが言ってたなぁ。
さすが卓君。頭脳明晰だもんね〜。
「だから学校から帰ればずーっと、夜も12時ぐらいまで受験勉強。だから受験が終わって落ち着くまでは恋ちゃんと電話もメールも、学校以外で会うこともないかな…。言うのが遅くてごめんね、心配かけちゃって」
「ううん!すごいよ!私合格するように応援するから、卓君頑張ってね。受験終わって結果が出たら連絡してね!」
「うん。ありがとう」
卓君はまた優しい笑顔を私に見せた。
卓君…。少しさみしいけど…。
卓君と最後の思い出とかって作れないのかな?
でも、学校以外で会えないって言ってたし、どこかへお出かけとかは無理だな。
私はふと、廊下の壁に貼ってあったカレンダーを見た。
2月…バレンタインがある!
そうだ!チョコを作って卓君にあげれば!
そのチョコで卓君を応援出来たら最高!
それに甘いモノ食べるとリラックスできて疲れもとれていくらしいし。
ピッタリ〜。
じゃぁ材料とか何作るかとか決めないとね〜。
よーし。頑張るぞーっっ!
*次回 38.卓君へのチョコ♡*
義理か本命チョコレートなのか気になるよ!
166: あ お ◆uc 日記板では飛鳥でやってマス_(_^_)_:2018/02/05(月) 17:35
>>165
恋は卓をどう思っているのか…。まぁ恋のファーストキスの相手ですからね♡
*38.卓君へのチョコ*
私は家に帰ると、何を作るか考えてノートに案を書いていった。
どれにしよう?
トリュフにしようかなぁ。
うん!決まり!
卓君…喜んでくれるかなぁ。
頑張らなきゃ!作ったら文ちゃんを試食係にして、感想を聞こう!
そのあとに卓君に渡しに行くの。
もうすぐバレンタイン。
今週の土曜日に作ろう!
*そして土曜日
試食係の文ちゃんと私は、キッチンに立っていた。
「よーしっ!頑張るぞ〜!」
「恋なら大丈夫よ。すっごく料理うまいもん」
「文ちゃん…。思いをこめて作らなきゃね!」
*
私は丹精こめてトリュフを作った。
おいしくなれ、おいしくなれ…
そう願いながらね♡
そしてトリュフが完成!
「できたーっ!文ちゃん試食して!」
「おいしそう…。つやつやのチョコ…。いただきます」
ぱくりと口にトリュフをほおりこみ、味わって食べると文ちゃんは頬に手を当てた。
「口の中にチョコが広がる〜〜♡なめらかで、口のなかがトリュフパラダイスよ〜〜〜」
「ほんとに?ありがとう!!これなら自信を持って卓君にあげられるね。あっ、文ちゃん」
私はハート柄の袋に入れたトリュフを文ちゃんの手にのせた。
「私からの友チョコ。貰ってね」
「恋…。私も今日いとこたちとチョコ作るから、明日恋のチョコ持ってくるわ!今日はありがとう!じゃあね」
「ばいばい!…ふぅ。では、卓君にあげに行こう!」
と…
「恋ちゃん!俺にチョコは?!」
「恋ちゃん!チョコくれ!毎年チョコくれたじゃん」
「恋ちゃーん!!!チョコ!」
クラスの男子が…!!なんで?!
「おっチョコ!」
一人の男子が机にあった卓君用のチョコをつまんで口に…。
「わっ。駄目!そのトリュフは卓君の・・・・」
遅かった。
男子はキョトンとこちらを見ている。のんきな顔して…。
どうしよう…。もうチョコ、ないのに!
「何してくれんの!!帰って!!!」
私ははっとして口をふさいだ。
強く言い過ぎた。
男子は「えっ…ごめん」と言って帰って行った。
どうしよう。
クラスメートの男子とぎぐしゃくしちゃった上に卓君へのチョコがないなんて…。
思わず涙がこぼれた。
どうしよう…。また作るにも、お母さんもう材料買ってくれないだろうし…。
大変なことになってしまった…。
*次回 39.チョコより大切なもの*
*39.チョコより大切なもの*
私は今、自分の部屋に籠ってます。
卓君へのチョコ、なくなっちゃった。
頭が回らなくて、何していいか分からなくて_
ベットで布団にくるまって止まらない涙を止めようとしてる。
私は、出ないだろう卓君に電話をかけた。
受験…もう終わったはず。結果はどうだったかな。
コールが4回ほどなって、卓君は電話に出た。
「はい」
「卓…君?私だよ」
「恋ちゃん!」
あぁ。どうしよう、ほんとに。
「ね…。受験はどう?」
「受験、受かったんだ!なんとかね」
「卓君なら受かると思ってた。頭いいもん。おめでとう」
私は卓君の喜ぶ顔を想像してみた。
すっごく喜んだだろうなぁ。受験に合格出来てよろこばない人なんていないよ。
あ_チョコ、どうしよ。
「卓君。私、卓君にチョコあげようと思ってたの」
そしたら電話の向こうから驚きと喜びの声が聞こえてきた。
「僕に…?!今までチョコなんかとは遠い縁だったから本命じゃなくても嬉しいよ。恋ちゃんのチョコ、きっと美味しいだろうね」
…
ズキンと心の奥底が痛む。
卓君はきっと今、電話の向こうで、嬉しそうにしてるのかな。
でも、チョコやっぱないんだ。なんて言ったら_
「ごめん」
「え?え、恋ちゃん?」
卓君はいきなり謝られてあたふたしていた。
「チョコ、色々あってなくなっちゃったの。あげたかった、のに…__」
また涙が溢れてきた。
「ごっめ…んっねっ…」
うまく喋れない。
私は服の袖で涙をぬぐう。
そしたら、しばらく黙っていた卓君の声が聞こえてきた。
「ありがとう」
一言、そう言った。
えっ?ありがとうって何?チョコあげれなかったのに?
びっくりして涙が止まる。
「卓君、あのっ、どういう…?」
「恋ちゃん、僕のことそんな思ってくれてたんだって。チョコあげれなくてごめんだなんて、そんなに僕にあげたかったのかなって、なんかその気持ちだけで嬉しいよ。チョコよりも、相手を想う気持ちのが断然大事だよ」
相手を想う…気持ち…?
あぁ、確かに私は卓君に喜んでもらいたい。頑張ろう!って思いながら、おいしくなれって願いながら、チョコを作ってた。
卓君を思いながら…。
「卓君…」
「あはは。気にしないで!そんな悲しんでたら、僕まで悲しくなるよ。ありがとう。気持ちだけもらっておくね。チョコはしょうがないんだし、僕がいいって言ってるんだから平気。じゃあね」
「もう泣かないよ。うん…じゃあね…。なんかこちらこそ、ありがとう」
私はそう言って電話を切った。
卓君への気持ち、伝わってよかった。
私はふふっと微笑んだ。
*次回 40.学校でアイドルデビュー?!*
*40.学校でアイドルデビュー?!*
2時限目_
将来の夢についての授業をしているんだけど、私の夢は看護師!
人を助けたり人の役に立つ仕事に就きたいんだぁ。
歌ちゃんはアイドルってすごい大声で言ってたけど、アイドルの才能はあるし、夢を本気で追いかけてるからすごいことだよ。
アイドルなんて私には当然無理。
スカウトされたことは何回かあるけど、歌もダンスもいまひとつな私がアイドルなんかなっても売れないアイドルだよ。まぁそれ以前になれないけど…。
人前で笑顔で歌って踊れるなんて、すごいよね。
アイドル…かぁ…。
*
2時限目が終わり、業間休み。
シャーペンを筆箱にしまっているとー。。
とんとんと肩をたたかれ振り向くと、歌ちゃんが目をきらっきらさせて私を見つめてた。
ちょっと、びっくり。あ、歌ちゃんとは仲が悪い訳ではないんだ。なんかライバル視されてるらしいけど…。
「ねぇ恋ちゃんっ。今日の昼休み、知ってる??」
私はキョトン。
「昼休みなら知ってるよ。昼休みは昼休み」
「ちがうちがう!ぜーんぜんち・が・う!!天然発言しなくていいのにぃ」
天然発言…?したつもりぜーんぜんないのになぁ。
だって昼休み、知ってる?ってそりゃ知ってるよ〜。
「昼休みがどうかしたの?」
「恋ちゃんは今日の昼休みのコト、なんも知らないのね。今日放送でやってたでしょ?
『今日の昼休み、ダンス部の恒例行事のダンス発表会をします。ステージの上に、無理矢理引きずり込むことがありますが、皆ぜひ踊ってねっ』って!」
ダンス発表会…?
「あれぇ…?そんなこと言ってたけ?」
「言ってた!ね、それ一緒に見に行かない?ステージの上に無理やり引きずり込むって、とってもいいじゃない?アイドルみたいにステージの上で踊れるんだよお。一番前の席に座って、目立つ恋ちゃんの横にこの超絶可愛い私がいれば、2人ともステージに行けるでしょ?ねっ。お願い〜」
えええっ。
「行ってもいいけど、私踊れないから…。歌ちゃんだけ踊るならまだしも。ステージで、人前で何て無理だよ〜…!」
「行くで決定ね♡」
うそぉぉぉぉっ?!
*
そして昼休み。
ああああ。時が止まればなぁ。
ダンス部の発表を見ていると、来ました!
ダンス部の女の子がステージからおりてきて、テキトーに選んだ人をステージに引きずりこんでる!
歌ちゃんは待ちきれなくなったのか、いきなり私の手をつかんで、私を道連れにして勝手にステージに上がりこんだしっ!!
「この歌大好きなの〜」
歌ちゃんはにこにこしながら踊ってるけど…、私はうっと立ちすくむ。
無理だよ!
そしたらダンス部の人が駆けつけてきて、私の耳元で言った。
「あなた美人で有名な恋ちゃん?可愛い美貌を生かしてアイドルになりきって!ねっ☆」
美貌?!
アイドルになりきる?!
はぁ。そんなことできません。
「ほら!新しいことにチャレンジするのって楽しいのよ!踊ろう!」
新しいことに…
よし。。ステージに上がってしまった限り踊らなきゃ!
私は歌に合わせて踊った。
一番前で真ん中だったけど、踊ってみたら恥ずかしくなくて、楽しくて。
終わったとき、観客席から歓声と拍手が。
「ありがとう!」
あれっ。ありがとうなんか言っちゃって。なんかアイドルになった気分。
歌ちゃんも嬉しそう。
楽しかったなぁ。
そして、帰ろうとするとダンス部の人に呼び止められた。
「恋ちゃん。あなた才能がある!学校のアイドルにならない?」
学校の、あいどる?
「そっ!この学校にアイドルがいたらすごくよくないって今思ったの。どう?新しいことにチャレンジよ!」
えええっ!
無理だよッ。
「無理とか思ってるの?あなたすごく踊りうまかった。ダンス部に入部してほしいくらい。新しい自分を発見して、新しいことをするのも悪くないわ!お願いできる?アイドル!」
わわわわわ…
あっ、歌ちゃんに…。
「歌ちゃん!アイドルだって!なったら?歌ちゃんのがもっといいし」
歌ちゃんならやるやるーってくいついてくると思ったら、そうじゃなかった。
「恋ちゃんにオマカセするよぉっ!先に帰ってるねっ」
嘘!!
横では、ダンス部の人が目をうるうるさせてこっちを見てた。
うう…。
卓にチョコレートよりも大切な想いを伝わってよかったよ!
また卓が出て来て欲しいね卒業してからも
>>170
卓は卒業してからも出てきます!恋とは電話とかメールとかできるので。
学校のアイドルになった恋のお話も書くので、そちらは恋愛とは少し離れますが
恋の努力している姿がたくさん見られます!そっちも楽しんでくださいね☺
*41.アイドルになりました⋆*
しょうがない…アイドル…やるしか…。
「やりますっ!やりますから!」
私が叫んだ瞬間、ダンス部の方たち、目をうっるうるさせて、私に飛びついて来た。
「ありがとおおおおっ!嬉しい〜。ほんと優しすぎるよ恋ちゃんっ」
初対面なのに、すごいな…。圧力…。
「あっ、じゃぁ、明日、昼休みにダンス部の部室に来て!お願いね」
いきなりだなぁ…。まぁいっか。暇だし!
「はい!分かりました!」
*
「ってことがあったんだよ〜。文ちゃん」
「私恋のファンになる!ていうかもう、一番のファンよ!恋がアイドルかぁ〜。ふふ〜」
「一番のファン?ありがとうっ。文ちゃん!」
文ちゃんがいればなんだって平気な気がする。
いつも感謝してるよ、文ちゃん。
「文ちゃん大好き!」
私が文ちゃんに飛びつくと、文ちゃんが優しく私を抱きしめた。
「私も大好き!一番のファンデいさせてね」
「勿論!」
*
次の日_
昼休み。
私は急いでダンス部の部室に行った。
10分遅刻だ〜!
ガラッ
勢いよくドアを開けると、そこには衝撃的な光景が。。
「絆君!?」
そう、絆君がダンス部の皆に紛れて椅子に座っていたのだ。
「恋ちゃん!聞いたよっ。アイドルだって?俺は恋ちゃんのファンになるぞ!」
「どういうこと…」
そしたらダンス部の一人の女の子が、てへっと首をかしげ、舌を出した。
「恋ちゃんがアイドルになるっていう噂が流れたら、絆がまっさきに来てね。俺は恋ちゃんのファンだーって言って…」
「絆君…」
「俺は恋ちゃんと久々に話せてめちゃ嬉しいぜ!恋ちゃんの写真入りストラップとかぁ、作ろうかなって思ってるんだけどどう思うか?」
写真入りストラップ?!
「ダメダメ!そんなの恥ずかしい!」
私がじたばたすると、絆君の足につまづいて転んでしまった_
と、思ったら絆君によりかかっていた。
「!ごっごめんっ!」
私がすぐ離れようとすると、絆君が私の背中に手をまわした。
「ふぇっ?」
なんなのか分からずキョトンとしていると、絆君が言った。
「もう少し俺によりかかってて。恋ちゃんが近くにいると…嬉しいんだ」
どういう意味〜っ?
そしたら、ダンス部の皆がキャーって。
「どういう関係?!」
「らぶらぶ〜」
ううっ。
「絆君、恥ずかしいよ…」
「恥ずかしい?俺は恥ずかしくなんかない。恋ちゃんがそばにいてくれて嬉しい」
絆君…!
わわわわ…そんな近くに来ないでっ。ほんと恥ずかしい〜!
あ…こんな時にだケド、私は…アイドルになりました。学校の、ね!
*次回 42.絆君とラブラブな恋♡*
久し振りの絆が出て嬉しいけど一体どうなるの?
175: 飛鳥 ◆uc:2018/02/10(土) 12:11
>>174
絆は結構自分から行くタイプなので、どうなるのでしょうかっ…☺