わたしの性癖パックです。
0円です。
『生意気な弟×姉』
わたしには弟がいる。
といっても、血の繋がりはない。
彼はわたしがまだ幼い頃、お父さんに連れられてこの屋敷へやってきた。言葉を紡ぐことさえままならない小さな小さな男の子。それに愛着を覚えるのに時間などかからなっただろう。
いい姉であるように。常に弟の先を行って導いてあげられるように。毎日努力してきたつもりだった。けれどわたしは気づかなかったのだ。──弟の狡猾さに。
『生意気な弟×姉 part2』
「おい、オリビア」
褐色の肌に、成長途中の小さな体。彼はそんな見た目に似つかわしくない言葉をわたしに投げかけた。
目をやると、そこにはいつも通りわたしを見下す弟がいる。
「……アーノルド、姉さんのことを呼び捨てるのが教え?」
「俺より無能なやつに敬意を払う必要があるのかい?」
「敬意を払えとは言ってないわ。ただね、姉さんにたいして悪い態度をとるのはやめなさいよ」
「だったらお前が俺より優秀になるんだね」
「…………この、あんたねぇ」
頭にきてアーノルドに寄ろうと試みたその間際まで、彼は笑みを崩さなかった。
──ガチャリ
「!」
扉が開いて、外から心配そうな母親が顔を出した。
母はわたしとアーノルドを交互に一瞥したあと、尋ねる。
「……どうしたの? 勉強中なのに声がするから、おかしいと思ったの」
「か、母さん、あのね──」
「お母さん」
説明しようとしたわたしの言葉を、幼い声が遮る。
「姉さんが分からない問題があると、ぼくに聞いたんです」
「は?」
「まぁ……そうだったの。ほんとうにアーノルドは賢いのね」
「ち、ちがっ──」
否定の言葉が途切れた。アーノルドは笑っていた。それは幼い少年のものではなく、下卑た蛇人間のような、……狡猾な笑みだった。
『──オリビアが馬鹿だから悪いんだよ』
『アーノルドとオリビア』
『お母さん、できました!』
『あら、満点! すごいわねえ』
満面の笑み、赤い丸だけの答案。
もう慣れた作り物の表情。それに気づきもしない母親の後ろに、姉≠ェいる。
ここからだとよく見えるんだよ。
『……』
ああ、『俺に嫉妬してるんだな』って。
なんであの子ばかり褒められるの、わたしだって頑張ってるのに、でもそんなこと言えない、だってわたしは姉さんなんだから。
……っていうさ、そういう声がいやってくらい聞こえてくる。
そうだよね、オリビア。
本当の子じゃない♂エばかり可愛がられてちゃしかたないよね。
「オリビア」
「……なによ」
「嫉妬してる?」
そう悪戯に聞いてみれば、オリビアのつり目がちな瞳が動揺で見開かれた。
「……ばっかじゃないの」
見開いたあと、すぐに細めた双眸には淡い涙が浮かんでいる。
──ああ、ほんとうに。
俺に嫉妬してしまうくらい、泣いてしまうくらい、自分を責めてしまうくらい、オリビアって馬鹿だな。
「大丈夫だよ」
泣いている彼女≠フ手をするりと取った。
「可哀想にね、無能だと誰にも見向きされなくて」
でもさ、
「俺だけがオリビアを見てやるから安心しなよ」
そういうところが、心の底から好きだって。
……気づいてる?
(>>2->>3の兄弟。こういうのが性癖すぎる)
『悪女ちゃんと一途な寡黙男』
「今日は楽しかったぁ♡」
「そうですか……私もです」
「かれぴと一緒ならどこでもたのしーよぉ」
「あなたに楽しんでいただけるなら、それが私の本望ですよ」
「えへへ♪︎」
──あー、つまんない。
細い腕に抱かれながら、心の中でそっと毒を吐く。
もう言い慣れた薄っぺらい愛の言葉も、機械的な温もりも、そのすべてがあたしに退屈を感じさせる。
彼≠ヘ大学で出会ったあたしの恋人。
喋らないし、暗くて、一緒にしてつまんない男。
え? 彼氏なのにひどい言い様だって?
……だって彼、あたしに貢いでくれるんだもん♡
財布は長持ちさせなくちゃね?
『悪女ちゃんと一途な寡黙男 part2』
──ピコン
『次の日取りを考えておきたいのですが、あなたの希望を聞かせてくれませんか?』
「……」
──うざ。
なんでいっつもこんなに堅苦しいかなぁ。
あたしは別にあんたのことなんて好きじゃないっての。
……利用されてるって気づかないから便利なんだけどね。
ぼふっ
返信せずにスマホをベッドに投げ置く。
「……」
そろそろ飽きちゃったなぁ、今の彼氏≠焉B
次の彼氏でも探そうかな?
あたしは投げ置いたスマホを手に取り、出会い系サイトに指を滑らせた。
『悪女ちゃんと一途な寡黙男 part3』
「あっ、ユウキくん!」
「かれんちゃん?」
たたた、小走りで彼に駆け寄る。
彼は出会い系サイトで出会った、あたしの次の彼氏=B
貢いでもらうためにもちゃんと落としとかないとね。
「うん、かれんだよ〜! ユウキくんって写真で見るよりかっこいーんだね、ビックリしちゃった」
「え、そんなことないよ……かれんちゃんこそめっちゃ可愛い」
「え〜、やだ〜! 嘘でも嬉しいなぁ♡」
距離を詰めて、シャンプーの匂いをふわりと香らせた。指先は彼の肩に、笑顔は常にあざとく。細かく細かく計算して、男を落とすための算段を練る。
悪い女? ううん、賢い女の子よ。
騙される方が悪いんじゃない。
『花恋さん』
……あの彼みたいにね。
『悪女ちゃんと一途な寡黙男 part4』
「花恋さん」
「ん?」
背後に声がかかった。振り返り、無意識に目線を上げる。すらりと伸びた背丈は見慣れた彼≠フものだった。
あたしは笑いかけて、彼の体に触れる。
「かれぴ〜、どうしたのぉ?」
「……」
話しかけても答えない。彼はいつにも増して寡黙を貫いていた。
……なによ、せっかくあたしが聞いてあげて──
「昨日」
突然、思考を遮るように語り始めた。
「?」
「知らない男といましたね」
ひやり、背筋が氷ったような感覚になる。
それでも笑顔は崩さずに、そう、いつものように。
「ああ、あれはね? 友達だよ?」
「友人にしてはやけに距離が近いように思えましたが」
「だから、えっと……」
いつもの、ように──
「……お、怒らないでよ。えへ、許してくれるよね? かれぴ優しいから」
「──許しませんよ」
「……え?」
信じられなかった。
目の前の彼は、困惑するあたしの手をとり、髪を梳き、抱き寄せる。
「あなたの匂いや温もりを他の男が感じたなんて、私が許すとでも? あなたは私のものなのに」
「いや──」
もう遅かった。
「そうですか、ふふ……あなたは簡単に私の腕から逃げてしまうんですね。それなら……閉じ込めておけばいい。もう逃げないように、捕まえておけばいい」
「──」
「……愛していますよ」
(こういう悪女ちゃんとヤンデレ一途な男、という組み合わせが非常に好きなのですよ、、、)
10:cmねる。:2021/05/24(月) 23:57 『復讐者×悪女+純愛者』
──
最近、彼が冷たい。
「ねえ……今度の予定いつにする?」
「んー……またあとで連絡していい?」
「……ええ」
あなたが見つめる視線の先に、私じゃない、他の女がいることも分かっていた。
ねえ、最後に写真を撮ったのはいつ?
(──私ばかり必死で馬鹿みたいね)
そう思う心さえ乾ききって、
カチン
垂直に力を込めたフォークが皿の間で音を立てた。
……いつからこんなふうになってしまったの?
『part2』
いつからか愛は冷えきって執着と化していた。
始まりは分からない。けれど、もう終わりは見えている。
彼と私の思い出を乗せた香りをまとって、時々思い出すだろう。
熱く愛し合ったあの日々のことを。
(……そう、そうよね)
(分かってる。あなたが私に飽きたことくらい)
(だってあなた飽き性だもの、ずっと傍にいたから分かるの)
(未練がましいことはなしにしようって?)
(ううん、分かってるの、でも、私……)
(…………)
「──あんなちゃん可愛いね」
(……)
(ねえ、私……)
(これでも愛していたのよ)
見知らぬ女と交わされる言葉、それに孕んだ温もり。
全部私にはない。彼はもう私に笑いかけてもくれない。
……私のことを、あんなふうに呼んでくれない。
(分かってる)
(だってあなた、素敵だもの)
諦念はすでにあった。
小さく小さく、積もって。それが今、私の心に押し寄せている。
塞き止める術を持たない。きっと全ては瓦解してしまう。
あなたを引き止めることもできなかった。
「どうして……」
ぽつり
零した言葉を、誰かが拾い上げた。
「──おねえさん、大丈夫?」
「へ──」
幼い少女だった。
「悲しいの?」
「……」
よく見ると、少女の手からハンカチが差し出されていた。
百合の花の刺繍が入った、きれいなハンカチ。受け取ろうして、でも躊躇して、結局視線を上に向けた。少女はベンチに座る私を心配そうに見つめている。
一つにまとめた長い髪、前髪からのぞく大きな瞳。あまりに綺麗で、思わずまた視線を下に向けてしまった。
「ええと……」
「大丈夫だよ、これ、おねえさんにあげるから」
ぎゅう、ハンカチを空っぽの私の手に握らせた。
そして、隣に腰掛けて。
「──ぁ、あの」
「えんりょしないで、おねえさん。なにか辛いことがあったんでしょ?」
「……」
見たところ少女は、13か15ほどの年端もいかない子どものようだ。だというのに、私を見つめる金色の瞳はどこか大人びていて、えもいえぬ雰囲気を感じさせた。
……指先が触れ合う。呼吸が詰まった。
それでも必死に声を絞り出す。
「──その、……ねえ、大丈夫よ。あなたみたいな女の子に話せることじゃないわ」
「──」
少女の双眸が細められた。かと思うと、弧を描き、三日月のようになった瞳を私迫らせて。息が触れ合うほどの距離。
少女は言った。
「──おれ、男だよ」
(まだ途中なんですけど、なんていうか、、、一途が好きなのか浮気性が好きなのか自分でもよく分かりません笑笑 多分どっちも好きだと思いますけど。ていうか、あきらかにショタおね性癖です、はい。)
15:cmねる。:2021/07/12(月) 13:25(私の性癖刺さりまくりの女の子でギャルゲーしたいみたいな欲望があります。ので、何人か。めっちゃ適当な設定ぽい文だけ書きます。)
16:cmねる。:2021/07/12(月) 13:34 『芸術になりたい女の子』
──白いキャンバスをなぞる筆に、窓の外からもれだす夕暮れが色をつける。
静まり返った美術室に響くのは、筆がこすれる音と、絵の具を水に落とす ぽちゃん という音だけ。
彼女はまっすぐ前だけを見つめていた。
これから映し出される芸術に、期待と興奮を孕んで。
─
──やがて筆が止まった。
かつて白色だった想像図に映されたのは、とある少女の姿だった。
目がくらむほどの星の中、宇宙を迂回する銀河の中でさえ、ひときわ強い輝きを放つ星がある。
神崎創は、この学園では一等星に値する存在だ。
「神崎さんほんとかわいいよなぁ。」
「勉強もできてスポーツ万能。」
「おまけに誰にでも優しくて、非の打ち所がない。」
はぁ……と3人がいっせいにため息をついた。
「でもさぁ、誰とも付き合ってないってマジ?」
「マジらしいぜ。これまで受けた告白全部断ったとか。」
「とかいって……どうせ他校のイケメンと付き合ってんだろ!」
「普通はそうだよな。だってあんなに可愛いんだもん。」
だよなぁ…3人の声が揃った。
「……」
その会話を物陰から聞く男が一人。
学園では知られた金持ちの息子、いわゆるボンボンである。
彼の形のいい唇は自信げに弧を描いていた。
「──神崎創くん。」
「……どうしたの?」
放課後、踊り場。
オレンジが、影の先から2人の全身を覆う。
……神崎創。
絹糸のような金髪は腰まで流れるように伸び、桜色で染まった双眸は大きく開かれている。目の前には例のボンボン。
相も変わらず彼は笑みを崩さない。
かと思えば薄く唇を開き、まるで最初から決められていた二言目を紡ぐ。
「僕と付き合ってほしい。」
その言葉を聞いた神崎創の瞳が、淡く揺らいだのを見逃さなかった。
彼は続ける。
「君は芸術だ。なによりも美しく完璧な。」
「──」
「僕の父さんは芸術家でね。家には数億の値が着く絵画がこれみよがしに飾られているよ。……でも君は、そんなものよりも美しい。だから欲しいんだ。僕のもの≠ノ、いや……僕だけの絵になってくれ。」
「……」
戸惑い。ではない。
神崎創はなにか考えているような素振りを見せて、衝撃的な告白の言葉から少ししたあと、ようやく顔を上げた。
その顔には笑みが隠れていた。
「……ありがとう。明日、返事させて。」
──美術室で。
彼女はそういって笑った。