思い付いたときに詩を書いていきます。
詩ではなく短文に思えることもあると思いますが、
本人は詩のつもりで書いております。
乱入は可ですが、感想を添えて頂けると幸いです。
また、こちらからの感想はあまり期待しないでください。
何分、自分の意見を述べるのが苦手なもので。
或る国へと続く路を
不気味なマスクの少女が往きます
まだ知らぬ人々と触れ合うため
まだ知らぬ土を踏みしめるため
少女は踊るような足取りで
口もとには見えない
笑みを浮かべて
さて
国へと着いた少女はまず
小ぢんまりとした喫茶店を目指す
ことにしました
喫茶店では見習いが
カップを磨きながら
口ずさんでいました
「“ ”を崇めなければ
“ ”はどんなに修行を積んでも
超えられも逃れられも
しないのだから」
喫茶店を出た少女は次に
可愛らしい花屋を目指す
ことにしました
花屋では店員が
花束を作りながら
子供に言い聞かせていました
「“ ”を崇めなさい
“ ”はどんなに健気に咲く花も
たちまち枯らして
しまうのだから」
花屋を出た少女は次に
古びた文具屋を目指す
ことにしました
文具屋では主人が
インキをくるくる練りながら
口の中だけで呟いていました
「“ ”を崇めろ
“ ”はどれだけ名のある文豪も
正確に書き切れは
しなかったんだ」
文具屋を出た少女は最後に
騒がしい公園を目指す
ことにしました
公園では国王が
唾を飛ばしながら
叫んでいました
「“ ”を崇めよ!
“ ”はどれだけ金を積んでも
この私でさえ抗えぬ
ものなのだ!」
公園を出た少女が振り返ると
喫茶店の見習いだったもの
花屋の店員だったもの
文具屋の主人だったもの
この国の国王だったもの
が、転がっていました
少女は言います
「“ ”を崇めるの
“ ”は誰にも平等で
色んな形で忍び寄ってくる
ものだから
例えば
黒い病の間、とか」
貴方のふとした時の
虚ろな表情が好きだ
どこか遠くを見つめている様にも
何も見ていない様にも
思える
思案に暮れている様にも
何かを考える空白の状態にも
見える
いつも陽気に笑っている
貴方が浮かべるには
あまりに無機質で、
感情も警戒も抜け切った
その表情は
目の前にあっても決して見えぬ、
”最期”と目を合わせている様だった