旅鼠の厭世詩

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1:レミング◆yc:2019/09/13(金) 12:00

思い付いたときに詩を書いていきます。

詩ではなく短文に思えることもあると思いますが、
本人は詩のつもりで書いております。

乱入は可ですが、感想を添えて頂けると幸いです。
また、こちらからの感想はあまり期待しないでください。
何分、自分の意見を述べるのが苦手なもので。

349:レミング◆yc:2023/09/20(水) 01:24

空中ブランコで宙を蹴った

土星が泣いている
君が玩具を取り上げたから

沸き立つ雲は
燃える快晴は
みんな君を責め立てていた

被害者だった
そんなような気がしていた

帰り道には飴を買って
水銀製の蛇口で手を洗おう
ひとり多い遊戯場から目を逸らして

ちゅうぶらりん
インスタントカメラには映せない
焦燥 懐古 狂悦

二度と帰ってこないでね

虹が滲んだ雨上がりは
もう全く煙ってしまっていて
君の顔はわからなかった

青と藍の境目を探そうか
斑模様にピントが合わないうちに

夏と冬の境目を探そうか
飽きが来ないうちに

浮かばれない声が
聞き取れないうちに

350:レミング◆yc:2024/02/20(火) 14:17

貴方だけを見ていてあげる
鍵穴の外側から

孤独な貴方を
惨めな貴方を
大好きな貴方を
亡霊なんかに盗られた貴方を

怨嗟と呪詛が聞こえてくる
鍵穴の向こうから
私はそれを子守唄に
今日も眠りにつこうと思う

貴方は夜な夜な吐き出している
切らなくても擦らなくても
吐き出されるそれは
紛うことなき血の想いだ

飲んであげる
苦くて酸っぱくて
嫌な匂いのするそれを
全部残らず飲みほして
私の喉を焼いてあげる


貴方 私を好きだと言ったのにね
月明かりに夢見てしまったのね
可哀想な人

ねえ
まだ許してあげるから
少しだけ私を見てちょうだいよ
まだそこに戻ってあげるから
みんなみんな忘れてあげるから

ねえ
ねえ……

貴方が死んだら
そうしたらきっと私
貴方のお家に行って
貴方の嫌いな人を
みんな残らず殺してあげる

棺桶に眠る貴方を見て
鼻で笑って
攫ってあげる

空っぽの底に
菊の造花を一輪残して

だからね 今日も見守ってあげる
鍵穴を覗いて
饐えた匂いの箱庭に
たったひとり閉じ込められた貴方を
ずっとずぅっと見ていてあげる

351:レミング◆yc:2024/03/25(月) 06:33

桜の樹の下には

今日に至るまで
何度繰り返された詩だろう

桜の樹の下には死体が埋まっている

憂鬱の彼は考えたのだ
満開の桜があまりに美しいから
それには対価があるに違いないと

桜の樹の下には死体が埋まっている

では、
桜を前にしてなお輝くばかりに美しい
あなたの足元にも
死体が埋まっているのだろうか

桜の樹の下には

あなたが踊るように歩む
全ての道の先にも後にも

死体が埋まっている

それを足蹴にしておきながら
養分を吸いさえしない
あなたの完璧な美しさは
あなたのみで完結する

あなたの下には

淡い花曇りの空の下
咲き誇る幾万の花の下

死体が

色素の薄い虹彩が
全ての輪郭を溶かす

埋まっている

桜の樹の下
その上に立つあなたの足元には

死体が埋まっている

風に乗って運ばれる微かな香りに
満開の桜さえも霞むようなほほえみに

あなたの足元になら
埋まってやってもいいとすら思った

あなたの下に

あなたの

花弁を踏みつける足取りの
なんと軽いことか

352:レミング◆yc:2024/08/25(日) 07:25

救いの無い因果だと吐き捨てた

安酒の酔いは未だ醒めやらず
洗浄しきれない橙が
喉の奥に溶け残っている

盛り立てた奇跡は
感謝さえ取り溢して
水溜まりに映る空中庭園にすら
希っていた

明る日の後悔が呼んでいる
帰り来る憧憬が死んでいる
投げ出すこともできず、
ただ百年後の白夜に怯えている

砂粒ほどの結晶が
空気を圧縮した白色が
あの日からずっと
俺を責め立てている

双葉はもう芽を出さないよ
お前が摘んでしまったから

レコードは音を紡げないよ
お前が初めを壊してしまったから

あの子はもう戻って来ないよ
お前があの子の匙を奪ってしまったから

お前があの子の朝を奪ってしまったから

救いは
あったはずだった

お決まりの因果だと吐き捨てた

朝の次には昼が来て
昼の次には夜が来て
起きれば朝になっているのだから
それらが地続きなのだと
てんで疑いもせずに

353:レミング◆yc:2024/10/24(木) 06:01

例えば

雨の夜にワルツを踊るとか
ふたりでドレスを着るだとか
一度死んでみたりだとか

あなたとしかできないようなことがしたい
あなたとしか分かり合えないことがしたい

甘い甘い瞬きは
まるで永遠みたいに感じられて
子どもの頃みたいに笑いたい
恋するみたいに死んで生きたい

そんな
そんな ふたりだけの箱庭

屋根裏部屋より微かな光
糸を紡ぐより微かな音
ただ流れ合う時間だけを
あなただけを いつまでも見つめていたい

カーテンを閉め切って
光さえも締め出してしまって
無粋な言葉なんかも無くて

今更何を言ったってきっと
あなたに似合いの言葉なんて
存在しやしないのだから

ただ
私があなたの名前を呼んで
あなたは何も言わず
そっと心音を寄越すような

そんな
ふたりだけの箱庭

354:レミング◆yc:2024/10/25(金) 17:27

昨日昇っていたはずの
太陽の色が思い出せない

最後に空を見上げたのは
いつだった?
最後に眩しさに目を細めたのは
いつだった?

最後に、あの青色を見たのは

鉛筆で描く空には
綿のような雲があって、
歯車のような太陽があって、
夜空には三日月が浮かんでいて、
五芒星をいくつか散らして、

その全ては
一体いつから記号になったんだろう

今日昇っていたはずの
太陽の色が思い出せない

明日はまた見られるだろうか
まだ間に合うだろうか

あの歯車でない太陽を
熔岩の星でない太陽を

まだ、私は、私のこの目は、

355:&◆7M:2024/10/26(土) 20:49

太陽好きっすね✋️

356:レミング◆yc:2024/11/07(木) 17:01

>>355
同意していただけるのですね。
私は太陽が好きです。私の愛する世界の全ては、太陽の反射光で構成されているので。

357:ピーマン:2024/11/15(金) 14:21

いっぱい文字書けてえらいね😅

358:レミング◆yc:2024/11/19(火) 00:42

>>357
ありがとうございます。
一行以上文字をしたためると心が落ち着きますよ。どうか試してみて。

359:レミング◆yc:2024/11/19(火) 00:46

あなたは秋が似合うね

郷愁って、ほら
秋が入っているから

私きっと
あなたの胎から生まれたの
だから還りたくて私
あなたを見ると悲しくなるの

疑ったことなんてなかった
あなたのいない人生なんて
思ってもみなかった
考えたこともなかった

だって私
あなたの腕の中じゃないと
息ができないの

落ち葉を踏む
私は今外にいるんだっけ
それとも心の中にいるんだっけ
なんだか夢みたいなの
平衡感覚も失って
もうてんで現実味がなくって

女の心は秋の空、とか
ねぇ、嘘みたいね
だって私の心は生まれてこの方ずっと
変わったことなんてないのに

ぐらりと視界が回って
ねぇ、私泣いているの?
それとも転んだの?
教えてくれないとわからないの
あなたが教えてくれないと
なんにも

終末を過ごすなら
あなたと一緒だと思ってたの

花が落ちたのを報せるのは
葉が舞うのを隣で眺めるのは
目が覚めて最初に見るのは
目を閉じる前に最後に見るのは
生まれ変わっても出会うのは
純白のドレスを着るのは
一生をかけても誓えるのは
おはようを言うのは
おやすみを言うのは

この人生のタイトルになるのは

鮮やかな紅葉が散らばる
赤いままで朽ちていく
色づいたまま
褪せないまま
きっといつまでも
このままずっと

ねぇ、私
ずっとあなたの一番だと思ってた

360:レミング◆yc:2024/11/19(火) 17:38

あなたが死んで未だなお続くこの世界の、
なんと情緒のないことでしょう

361:レミング◆yc:2024/12/19(木) 11:51

美しい色彩を放ったそれは
今思い返してみると全てが純白で
だってあなたの光を反射していたから

あなただけが極彩色だった

あの日誓った出鱈目な夢は
愛は
永遠は
白昼夢は

きっと今日も床に横たわっているままで
見向きもされないまま
美しいまま

私が取り零したまま
あなたに忘れられたまま
いつか花になってしまうのでしょう

テーブルクロスのような
洗いたてのシーツのような
カーテンのような
それを被ってふたりきりで笑っていた

誓ったはずだった
私は本気であなたに誓った
私は本気であなたに永遠なんかを

抉れて血の滴る傷あとを舐めないで
その足元が汚れてしまうから
その純白すらも守れなくなってしまうから

だってあなたの光を反射していたから
あの日々が輝いて見えたのは
あなたのせいで
だってあなたの光を反射していたから
だから私は間違えた
あなたのいる方が太陽だと思っていた
あなたのいる方がソラだと思っていた
あなたのいる方が

ああ、
そんな、
だって、
その身勝手な信仰を押し付けたのは
私の方だというのに!

灰色の泥を被ったあなたは
見たことがないほど綺麗で
美しくて
見たことがないほど

それで、
私は世界という嘘に気がついたのです

世界は丸くて太陽に生かされているなんて
まるきり嘘っぱちで
世界はあなたに生かされているんだと
世界の全てはあなたの
反射光でできているんだと
そんなふうにぐしゃぐしゃに握りしめた
真実に気がついた
気でいた

それは世界の一番最後の夢でした

 あなたを永遠に

362:レミング◆yc:2025/01/28(火) 04:59

淡く白んだ朝焼けの空
雨も上がってぬかるんだ庭
曖昧な時間と視界と悴む身体に
貴方の笑顔がひどく滲みる

足元に目を落とす
水たまりに映る貴方が嫌いだ

ひとりだけ吹っ切れたような顔
こっちの気も知らないで
僕がどんな思いで
雨に打たれたかなんて
考えたこともないくせに

乾いた風が背中を叩いて
寒くて震えて
そんな僕を貴方は
心配そうに抱きしめた

ああ、嫌だ
大嫌いだ

雨なんて上がらなくて良かった
雨に打たれたまま
誰かになんて救われないまま

いつか貴方が僕の涙に気付くまで
慟哭さえ掻き消す騒音の中で
貴方の声を聞いていたかった

朝なんて明けなくて良かった
夜に囚われたまま
誰かになんて救われないまま

いつか貴方が僕の心に近付くまで
一寸先も見えぬ闇の中で
貴方と見つめ合っていたかった

土砂降りの嵐の中
永遠に続くような夜の中
貴方の鼓動で踊っていたい
貴方の体温を頼りに生きていたい

あわよくば二人きりで
どうかずっと二人きりで

渇望と絶望が同居する
僕の空っぽな心臓を
貴方に預けてしまいたい

貴方に満たして欲しかった


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