戻ってきました
先刻にも書いた通り
「アビス」と呼んでくれて
構わないですよ
閲覧は自己責任で
御願いしたいです
猫も食わない生魚の戯言は
聞き入れる心算は御座いません
ちか ちか ちか ちか
夜の顔の目が光り
ぼくを見ているよ
これは何かな
何の生き物の顔だろう
わからないよ
猫が屋根の上で欠伸する
私の手のひらには
生鮭の切身が
乗っています
そして朝ごはんとして
目玉焼きを
作ろうと思うのですが
手のひらの切身が
邪魔であられるので
作る事ができません
私は目玉焼きが
食べたいのです
どうしてもと云う程
ですが切身は
自分を焼いて食べてくれと
云わんばかりに
クリスマスのモミの木に飾られる
電飾並みに
エレクトリカルキラキラに輝き
激しい自己主張を
繰り返しているのです
背中あわせの
貴方は誰ですか?
人間の様な
頭を持っていて
人間の様な
手を持っていて
人間の様な
足を持っている
貴方は誰ですか?
おかえりなさい。
深河春淵という名も素敵だと思いますが、
やはり今まで通り、アビスさんと呼ばせていただきます。
詩の雰囲気も少し変わりましたね。
それでも、素晴らしい作品ということには変わりない。
新しくもアビスさんらしい、またそんな詩が読めると思うと胸が高鳴ります。
私の庭に
生命は無い
種を与えられた
お前の庭はあまりにも
寂し過ぎるからと
蒔いて埋めても
種は花を咲かせるどころか
芽吹きすらもしない
路上を歩く人間を
私はカァテンの
隙間から見ている
人が怖くて仕方がない
何時でも自分を見張っていて
今にも彼処の扉から
私を中傷する言葉の
羅列が綴られたる手紙が
投函されるかもしれない
顔の無い人間が好きだ
顔のある人間はどうにもいけない
顔のある人間は私に対して
面と向かって話せと
がなり立てるからだ
他人と話そうとするだけでも
私は足がすくみ
其の他人が
世にも恐ろしい
怪物に見えてくる
あたしと同じ顔
あたしと同じ手
あたしと同じ足
きれいに並べられて
あたしは掴まれて
目玉をはめられて
服を着て
化粧して
箱に入って
トラックに乗って
売られて
あなたに買われて
いっしょに遊んで
捨てられた
小さな歯車がありました
なんの為に作られたのかは
わかりませんでした
歯車には仕事があります
他の歯車と合わさって
回り続ける事です
ですがこの小さな歯車は
他の歯車とどうしても合わなくて
いつも工具箱のすみで
ひとりぼっち
小さな歯車は
見上げるだけでした
他の歯車が
人間の手に
つまみあげられて
カチッとはめられて
ぐるぐるカチカチ
楽しそうに
回る姿を
ある日小さな歯車は
つまみあげられました
そして落っこちて
わずかなすき間に
すべり込んでしまいました
小さな歯車は
ホコリを被っています
小さな歯車は
外に出ました
外では雨が
ざあざあふっていました
小さな歯車は
段々さびていきました
小さな歯車は
もうなんにも
役に立ちません
種を蒔かなかったら
そりゃ咲く物も咲かない
だからあんたの鉢植えは
いつまでも土のまんまさ
種は蒔いたと?ほう
ならば何故あんたの
鉢植えの花は咲かない?
ビスケット
今日は僕達が
人間に食べられる
仲間のチョコやケーキは
先に行って食べられた
人間は二人いる
小さい男の子と女の子
二人は仲良く分けあって
僕達を食べた
僕達が一個
男の子の口の中へ
僕達が一個
女の子の口の中へ
入っていって
サクサク歯で
かみくだかれていく
僕達に
人間みたいな
内臓があったなら
ポロポロこぼれる
僕達のカスはさしあたり
肉片なんだろねと
僕達のひめいを聞き乍
思っている
僕達は食べられて
僕だけになった
男の子と女の子は
どっちが僕を食べるかで
もめている
僕達を作った人が
半分こしなさいと云ったので
僕は割られて
ふたつになった
僕は二人に食べられて
のみこまれて とけた
うわあ
13:深河春淵◆wc:2020/02/15(土) 21:39 彼は嘆いている
自分がこんなにも
身を粉にして
安い賃金で働いて
いると云うのに
其の全ての金が
親に管理されていて
自分の自由に
全くならないと
彼は何を
云っているのだろうと思う
彼には優しい
叔父さんがいるらしく
ゲーム機だったり
テレビだったりと
其の他色々くれると云う
私は彼が
正直愚かに見える
気付いていないのだ
彼は自分がどれだけ
恵まれた環境に
いるのかを
或る所を走っている女がいる
後ろを振り向き乍
女は何かを恐れている
其の様を
森を作る木々が見ている
草を薙ぎ辺りを見回し
息を荒くして何かを探している
男か女か定かでは無い
人の影が
人の影は右手に
鉈を持っている
持つ手から伝わるのは
其の何かを探し出し×すと云う
明確な意思
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から少女が
落っこちる
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から少年が
落っこちる
きれい キレイに砕けた
少年と少女の体は
ふわぁーって飛んだ
空へと飛んでった
淀む空をいろどる
星になるよ
魚がやってきて
星を食べようとする
逃げるのだけれど
大体逃げられなくて
食べられる
チカ チカ チカ チカ
星はまばらに光る
星座は
結べない
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から男が
落っこちる
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から女が
落っこちる
汚い 汚いに砕けた
男と女の身体は
星にはなれずに
塔へとなるよ
少女と少年は
そこを昇って
ひゅー ひゅー…
ひゅー ひゅー…
落っこちる
また
はーっ…ああぁぁ…
惜しかった…
君の事をもう少しで
絞め×せそうだったのに
なんで起こしたのかな 君は
なんだ 僕が涙を流していたから
起こしたのかい?
愉しい夢だったよ
苦しんでいたからね 君が
段々青ざめていくんだよ 顔が
そして白っぽくなるんだ 次は
そんな君を僕は
笑って見ていたんだ
流石に声までは上げないよ
其処まで異常では無いし
抑々僕は普通の人間だ
失敗したって良いじゃない
誰かが助けてくれるんだもの
今の世の中はそう云う感じ
誰か一人が失敗しても
皆が助け合えば成功する
なんとまぁ素晴らしい
世の中なのでしょう!
それだったらもう
足の引っ張り合いをしたって
バレやしませんものねぇ
誰がやらかしただの
こいつがやらかしただのって
犯人を探す必要なんて
ありゃしない!
あーっはっはっはっ!
責任を負わなくたって
良いのだものねぇ!
彼女は妬ましいのです
幸福なる全ての者達が
生命に満ちた彼の地に住まう
生き物達が全て呪われ息絶えるよう
何時でも地の底で
そう願っているのです
右手と左手を合わせよ
瞳を形作れ
そして見るのだ隣人を
隣人もまたお前の事を
見ているのだから
思想を持つ無かれ
思慮は罪なり罪は思慮なり
平凡なる幸福のみを求めよ
身の丈に合わぬ幸福は
邪なる罪への入口なり
絞首台に立つ罪人に
憎悪せよ群衆共
刑に処され命絶つ者へ
狂喜の歓声を上げよ
罪人を処し刑を執行せし者へ
惜しみ無き賛辞の拍手を送れ
我々が定めし規則には
順守せよ
規則を破る者あらば
其れはこの世にいては
ならない罪人故に
其処彼処にある
我々の耳と眼に
密かに告げよ
それが例えお前の
両親、兄弟、姉妹等の血縁者や
友人、恋人であろうとも
躊躇う無かれ
躊躇うならばお前もまた
其の者と同じく罪人故
首に縄を掛ける身となるだろう
群衆共よ知るが良い
安寧たる日々は
我々が作り出している事を
偉大なる我々は
行き交う人々の中にいる事を
我々の目は
常にお前達を見ている
我々の耳は
常にお前達を聴いている
我々の口は
常にお前達を語っている
我々の足は
常にお前達を追っている
我々の手は
常にお前達を捕らえている
何時まで君は
愛されていると
思っているのだろう
表の言葉に隠された
裏の言葉の真実に
君はまだ
気が付か無いんだね
ねぇ 君は幸せ?
本当は辛い?
生きていればそのうち
良いことがあるのかな?
少なくとも君を取り巻く環境に
そんな要素は無いと
思うのだけれど
光に夢を
見ないでよ
君はもう
闇にいるのに
深すぎる闇はね
呑み込まれている事を
悟られ無いんだよ
みんな逃げたよ
僕がこの姿になってから
家族も 友達も
僕の知っている人達
みんな逃げちゃった
怖いんだって 僕の事が
近寄るな!化け物めが!とも
云われたっけ
何でだろうね
僕は僕のままなのに
確かに体は
こんな怖い
化け物だけれど
でも心は
僕のまんまなんだよ
まぁ良いや
みんなの事なんて
まとめてぷちっと
つぶしちゃえば良いよね
人間が虫を
歩いて踏んじゃうようにさ
(1)
かあさん
あれを取って
くれませんかねぇ
そう それです
貴女の右目を突き刺した
そのハサミを
次は
左目を刺したいんです
痛いでしょうね 右目
ドクドクドクドク
流れてますもの 血が
かあさん
貴女は今 どんな表情を
しているのですか
教えて下さいよ
口の糸は
切ってあげますから
ねえ ねえ
違うのですよ かあさん
今貴女から聞きたいのは
ボクに対する罵倒の
言葉では無いんです
…アレ?何でしたっけ
貴女から聞きたい言葉は
まぁ良いです
かあさん貴女を
後何回か刺せば
思い出すでしょう
それまで ねえ かあさん
生きてて下さいね
(2)
ボクは悪い子じゃ
ないでしょう?
いいこでしょう?
かあさん ねえ
かあさんは
虫がだいきらい
だったから
いつもボクが
たいじしたんだよ
それでね
ほめてもらいたくて
みせてたの
羽なしちょうちょとか
まっぷたつのいもむしとか
それを両手にいっぱいのせて
そしたら かあさんは
可哀想だから
庭に埋めておやんなさいと
おばけやら なにやら
そう云う類いを見る様な
こわぁい目をして
ボクに云ったんだ
なんでかあさんは
あんな目をしたんだろと
思いつつ
庭に埋めたっけ
埋めてもまだ
手にはちょうちょの
羽がついてたよ
ねえ かあさん
何故うごかないのです?
ねえ ボクは
何故 こんな所に
いるのですか?
いいあらそい
どっちが悪いか
どっちが正しいか
わからない
そんな二のけんかに
まき込まれたんです
一方が一方を
指指して云います
あいつが悪いんだ
僕が正しい と
一方が一方を
指指して云います
あいつが悪いのよ
私が正しい と
知りませんよそんな事
だってその場に
居合わせた訳では
無いのですから
ですからどっちが
正しいだの 悪い だの
知ったこっちゃあ
ないんですよ
無責任!無責任!と
責められましてもね
事実なんです それが
ぎゃいぎゃい
わいのわいの
やかましい
三の
いいあらそい
お前を許さない 絶対に
お前に私の苦しみが判るまで
私はお前を苦しめ続ける
主は星震を用いて
災いをもたらさんが為に
暗黒の宇宙より飛来せり
或る願望を持っていた
愛する者の腹の中で眠りたいと
まだか まだかと
思っていた
彼女が寝る時を
となりで寝ている
彼女を置いて
台所へと向かい
彼女の腹を裂く為だけに
新しく買った包丁を
取りに行く
包丁はわずかに
カァテンの隙間から
漏れ入る月光により
刃の先が
鈍く反射している
静寂な夜だ
階段を昇る時の
踏んだ足の木の音が
いつもより良く響く
起こさない様に
ドアを開け
物盗る人の様に近付き
躊躇っている間なぞ無いと
繰り返し云い聞かしては
両の手に握った包丁を
彼女の喉に
降り下ろした
包丁とベッドは瞬間
血に染まり
声を発する事無く
絶命した
包丁を彼女に刺したまま
子供の時にした
解剖の授業よろしく
喉から腹の辺りまで
包丁を滑らせた
滑らせて見えたのは
彼女の内臓と骨
腹の中で眠りたい願望を持つ
私にとってはそれは
邪魔な付属品でしか無いので
素手で彼女の開けた腹の中を
グチュグチュこねくり回しまくり
臓物を千切って骨を折り外し
彼女の腹を空っぽにした
彼女の空いた腹に
丸まって入る
やわい皮と温かい血が
全身を包み込んで
この上無い安心感だった
彼女が生きて私の事を
愛していた時よりも
猛烈な眠気が
襲って来たので
そのまま彼女の腹の中で
朝を迎える事にした
何処からか来たか
判らない蝿の複眼が
此方を見ている事に
気付かずに
或る願望を持っていた
愛する者の腹の中で眠りたいと
まだか まだかと
思っていた
彼女が寝る時を
となりで寝ている
彼女を置いて
台所へと向かい
彼女の腹を裂く為だけに
新しく買った包丁を
取りに行く
包丁はわずかに
カァテンの隙間から
漏れ入る月光により
刃の先が
鈍く反射している
静寂な夜だ
階段を昇る時の
踏んだ足の木の音が
いつもより良く響く
起こさない様に
ドアを開け
物盗る人の様に近付き
躊躇っている間なぞ無いと
繰り返し云い聞かしては
両の手に握った包丁を
彼女の喉に
降り下ろした
包丁とベッドは瞬間
血に染まり
声を発する事無く
絶命した
包丁を彼女に刺したまま
子供の時にした
解剖の授業よろしく
喉から腹の辺りまで
包丁を滑らせた
滑らせて見えたのは
彼女の内臓と骨
腹の中で眠りたい願望を持つ
私にとってはそれは
邪魔な付属品でしか無いので
素手で彼女の開けた腹の中を
グチュグチュこねくり回しまくり
臓物を千切って骨を折り外し
彼女の腹を空っぽにした
彼女の空いた腹に
丸まって入る
やわい皮と温かい血が
全身を包み込んで
この上無い安心感だった
彼女が生きて私の事を
愛していた時よりも
猛烈な眠気が
襲って来たので
そのまま彼女の腹の中で
朝を迎える事にした
何処からか来たか
判らない蝿の複眼が
此方を見ている事に
気付かずに
…おや、
同じ物を載せて仕舞った様だね…。
久々にやらかしたかな