繋げてってなんかお話作って!
601:匿名:2018/08/05(日) 00:07な、何⁈
602:匿名:2018/08/05(日) 00:10振り返ってみると…
603:匿名:2018/08/05(日) 00:13ぎゃああああ!
604:匿名:2018/08/05(日) 00:35うおおおおおおおお!?
605:匿名:2018/08/05(日) 00:37ホワイトニングを含めての法外な治療代の書かれたレシートだった
606:匿名:2018/08/05(日) 00:40 レシートは風にのって飛んでいった。
あれがないとあいつに怒られる。
あいつというのはもちろん……
友人の相津(あいつ)だ。
608:匿名:2018/08/05(日) 01:08 くそっ……レシートっ……レシートがないとダメなんだっ……!!!!!!
返してくれよっ……レシートをっっっ!!!!!!!!!!
相津(あいつ)にコロコロされるー!
610:匿名:2018/08/05(日) 11:50(あいつwwwww)
611:匿名:2018/08/05(日) 15:44 相津にコロコロされるなんて絶対に嫌だ。
もう経験済みなんだよっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(え…っ)
613:匿名:2018/08/05(日) 17:52あ…そう言えば俺…
614:匿名:2018/08/05(日) 17:53何回死んでるんだww俺すげえww
615:匿名:2018/08/06(月) 22:37よーし生きよう
616:匿名:2018/08/07(火) 07:26「おい良治」
617:匿名:2018/08/07(火) 07:27お、おまえ…
618:匿名:2018/08/07(火) 07:28尾前(おまえ)
619:匿名:2018/08/07(火) 07:29(カオスwwwww)
620:匿名:2018/08/07(火) 07:33「もまいら」
621:匿名:2018/08/07(火) 20:04その言葉に良治、相津と尾前、そしてクラスメイトの茂間(もま)と井良(いら)が振り向いた。
622:匿名:2018/08/07(火) 20:17茂間の特技は巨乳のプーチン大統領を呼び出すことだ
623:匿名:2018/08/07(火) 20:28一方井良の特技はと言うと
624:匿名:2018/08/07(火) 20:32良治を呼び出すことである
625:匿名:2018/08/07(火) 20:35そこで、呼び出してみたら、
626:匿名:2018/08/07(火) 21:54スパイダーマンが鬼の形相で突撃してきた
627:匿名:2018/08/07(火) 21:55なんと相津は・・
628:匿名:2018/08/07(火) 21:57 >>626 スパイダーマン ✖
美菜子 〇
トイレ中だった
630:匿名:2018/08/21(火) 00:54お邪魔しました〜
631:匿名:2018/08/21(火) 12:29ちゅどーん
632:匿名:2018/08/21(火) 19:33はーい
633:匿名:2018/08/22(水) 09:23ここからはオラのステージ
634:匿名:2018/08/22(水) 11:00 と言って出てきたのはなんと、
一人称が変わったサーバルちゃんだった
「ここからはオラの番だよー!」
と大声で言った
しかし角川からお達しが来たのでステージは解体され、
跡地にはこのスレの初期を支えた地下アイドルを讃える碑が建てられた
まぁすごーい
637:匿名:2018/08/22(水) 19:20やったね‼
638:匿名:2018/09/24(月) 00:24 「…い。…おーい。」
鼓膜が震えるのを感じ、俺は勢いよく起き上がった。
と、ほぼ同時に全身に痛みが走った。
「あーあ。いきなりムチャしたらあかんって。傷口開くで。」
聞き慣れない声に反応し目線を左にやると、そこには見たことのない男。
金髪で、動きやすそうな服装に細い体。しかしスポーツマンのような雰囲気はしない。
自分が建物の中でベッドに寝かされていて、全身に包帯が巻かれているのも同時に理解した。
「だいぶうなされてたみたいやけど、どんな悪い夢見てたん?」
「あなた…は?」
先程の声からするに俺と同い年ほどだろうか。しかしそれにしては背が高く、雰囲気か大人びすぎている。
「俺か?俺は武田。武田彬や。」
彬さんか…そこまで悪い人には見えない。とりあえず、信用してみることにした。
本当なら俺も名乗らなくてはいけないのだろうが、そんなことより今は聞かなければいけないことがある。
「…あの、彬さん。何で俺はここにいるんですか?」
「そりゃ、自分が全身酷い怪我しとるから運んできたんや。酷いっつっても、回りの奴に比べたら軽い方やったけどな。」
「俺、酷い怪我なんていつしたか分からないんですけど…。それに、回りの奴…?」
彬さんが深刻そうな表情をした。直後、目をそらしながら重く閉ざしていた口を開いた。
「隕石が…凄い数落ちたんや。それも、ごっつでかいのがな。そのせいで…多くの人間が死んだ。」
インセキ…オチタ…シンダ…
彬さんの話す言葉が、自分の知らない言語のように思えてきた。
「建物までほとんど潰れてもうたからな。ここに来るまでも大変やったわ。」
「…すいません、俺ほとんど何も覚えてなくて…隕石とかいきなり言われても…」
俺は苦笑いと呼べるほどうまくできたものでもなかったが、「とりあえず」の笑みを浮かべた。
「覚えてない…無理もないわ、彼女さん庇って全身にかなりのダメージ受けてるんやからな。」
彼女?今の俺に彼女はいないし、彼女と間違われるような親しい女友達だっていない。
彬さんは誰の話をしているのだろう?と一瞬のうちに思考を駆け巡らせているうちに答えが出た。
美菜子だ。俺は美菜子を庇って全身を怪我して、記憶を少し無くしたんだ。
そうと分かれば、俺が黙っていられるはずがなかった。全身に力をこめて、立ち上がろうとする。
「彬さん!」
「な、自分…何考えとんねん⁉動いたらあかん言うたやろ!死にたいんか⁉」
「美菜子は…美菜子は⁉今、どうしてるんですか⁉」
俺は彬さんの胸ぐらを掴み必死で問い詰める。
「大切な妹のいる場所も分からないのに兄貴が寝てられるはずないじゃないですか!美菜子が無事なら俺は死んでもいい!」
止まれ、止まってくれ。
自分で自分をコントロールできなくなっているのを感じながら、語気を強める。
目の前の彬さんの表情からは、呆れと恐怖のようなものを感じた。
「なあ!俺の妹はどこだ!生きてるんだろうな?美菜子を…美菜子を出せ!」
「落ち着けって‼」
突然の彬さんの大声に、不意打ちを食らい俺は一歩後ろに下がる。
「妹さんは今ここにはおらへんから出すことはできひん。でも、自分が庇った後に何を思ったか比較的被害の少ない方へ逃げていったから、生きてはおるはずや。」
淡々と宥めるような口調で俺に語りかける。その物腰から、賢いことがと推測できる。
「それに、探しに行くにしたって兄貴が全身包帯グルグル巻きじゃ美菜子さんも心配するやろ?
せやから兄貴、しっかり寝ないとあかん。分かったか?」
彬さんに説得され、全身から力が抜けていく。俺はベッドにへたりこみ、再び眠ってしまった。
どれくらいたったのだろう。良治が再び目を覚ますと、眠る前の天井と同じ天井が目に入った。「う…」寝起きの身体を起こすと、さきほどの身体中の痛みは和らいでいた。
640:匿名:2018/09/24(月) 13:53 「あら、やっと目を覚ましたのね!」
そこには、母に似たきれいな女性が立っていた
「か、母さん…?」
「そうよ、あなたに会いに来たの。良治、大きく育ったわね。」
俺は夢中になって母さんを抱き締めた。
「う…かあ…さんっ…」
この時間が永遠に続けばいいのに…
「…苦しいんやけど…」
母のものではない声に顔を上げると、彬さんがいた。
気付かないうちに彬さんを抱き締めていたようだ。
「あっ…す、すみません。」
「ええよ、気にすんな。妹さんの夢でも見たんか?」
「…いや、ちょっと悪い夢を見ました。」
「そうか、それもしばらくは続くかもなぁ。まあ、とりあえずこれ食え。」
彬さんに差し出されたロールパンを受け取る。
…美菜子は今どうしているのだろう。無事を祈りながら、パンを貪った。
その日の夜。
ベッドに体を横倒してはいるものの、なかなか眠ることができない。
彬さんは何者で、なぜ俺を助けたのか。なぜ今、母さんの夢なんかを見たのか。何より、美菜子は今無事なのか。考えが頭の中を駆け巡り、俺が休もうとするのを妨害している。
「わけわかんねぇよ…」
息を吐くのと同時に、独り言をもらす。返事など帰ってくるはずもないのに。
「俺もや」
隣り合ったベッドから、返事が帰ってきた。予想外の出来事に驚く。
「彬さん…まだ起きてたんですか」
「そりゃあここ最近は忙しかったからな、今日は休みやのに昨日は会社で寝泊まり、朝六時頃に帰ってきたらお前がベッドで寝そべってたんやから」
「...え?」
良治は咄嗟に聞き返した。
「ここは俺の家なんじゃないんですか?」
「何言ってんねん、ここは先祖から受け継いだ土地やし」
良治の頭に嫌な予感がよぎる。
ベッドから飛び起き、妙な表情の彬を横目に玄関まで疾走し、扉を開けた。
しかし、そこに想像していた光景は広がっていなかった。
焼け野原…という表現が恐ろしいほどに当てはまる、変わり果てた街だった。
「言うたやろ、隕石が落ちたって。そのせいでほとんど建物は潰れてもうてん。この家が奇跡的に残っただけや。」
「そんな…俺の家は?」
「多分潰れたやろなぁ。回り見てみぃ、何も無いやろ」
玄関の扉のフレームに寄りかかって目をそらしながら、彬さんは呟くように言った。
風になびく金髪が美しい。
「今この日本にどれだけ生きた人間がいるかも分からへん。ここにいるのも俺と…」
「良治です」
「良治、お前だけや」
「そんな…」
「変なことは何もせぇへんから、落ち着いて寝ろや。」
(くそいいやんw)
647:匿名:2018/09/24(月) 17:10 「…彬さん」
「ん?」
「まだどれだけの人間が生きてるか、分からないんですよね?」
「おう。テレビやらラジオやらも繋がらへんし、情報が入らへんからな。」
「じゃあ…美菜子が生きてるかどうかも分からないんですか?」
「美菜子…妹さんか。せやな、100%無事は保証でけへん。」
「なら…俺、美菜子を探しに行きたいです。生きてるなら迎えに。もしそうじゃなくても…俺が無事だって伝えに。」
「そうか。なら怪我治してからやな」
「でもっ、一人じゃ難しいと思うんです!」
「…つまり?」
「あっ、彬さん。一緒に来て、くれませんか?」
「うーん、明日は仕事やし明日は無理そうやけど...」
「てか何の仕事してるんですか」
良治はさっと質問を投げ掛けた。
「え?市役所の住民課で働いてるわ、昨日は8時で閉める予定だったのが罹災者で溢れかえってしもうて」
「住民課...?じゃ、じゃあそこに『三崎美菜子』は居ませんでしたか? あ、あと『相津』って奴とか!」
「うーん…残念やけど一人一人の名前は覚えてへんなぁ…」
「そうですか…変なこと聴いてすみません。」
「ええよ。妹さんのこと、気になるもんな。」
プルルルル…プルルルル…
「あ、電話」
「俺や。…市役所か。…はい、もしもし武田です。はい。はい。…えっ⁉そうですか、はい。分かりました。はい。」
「ど、どうしたんですか?」
「しばらく仕事休みになったわ。」
「え⁉市役所が休んじゃダメなんじゃないですか?」
「いや、市役所自体は休まへんみたいやけど、俺みたいな下っぱはかえって混乱を招くとか何とかで、来なくてええらしい。」
「そうなんすか…でも彬さん、あんまり下っぱに見えませんよ?」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、まだまだ24の若造やからなぁ。年功序列はツラいわほんま。」
彬さんは腰に手を当てながら肘を張り、ふぅ、とため息をついた。そしてまた口を開く。
「ま、暇になってもうたから明日から手伝ってやってもええで。」
「ほんとですか⁉」
「おう。ここまで頼まれたら断られへん。この家は解放して食糧でも置いとけばええかな」
「明日から出発するんやし、早く寝とけ。俺はいろいろ準備しといたるわ。」
「…はい。ありがとうございます。おやすみなさい。」
「おう。おやすみ。」
俺はベッドに戻り、浅い眠りについた。
夢は見なかったが、寝ている間もどこか美菜子のことは忘れられない感覚があった。
シャーっという音で目が覚め、ビクッと身体を震わせて良治は起き上がった。
「あ、彬さん…」
「おお、起こしたな、すまんすまん」
彬がカーテンをおもいっきり開けていたらしい。眠りが浅かったせいか、すぐに身体が動いた。…綺麗だ。太陽の光が彬の髪の毛をよりいっそう美しく光らせていた。
約12時間後。俺たちは文字通り「道なき道」を歩いていた。
昨日までは立派な建物たちであったであろうがれきを、かき分けて進んでいく。
「彬さん…俺たちどこ向かってるんですか?」
「んー…この辺りのはずやねんけどなぁ…」
そう言うと、彬さんは腕を組みながら回りをキョロキョロと見回した。
目安になるものが何もないため、ここがどこか検討もつかない。
「良治!あそこや!」
彬さんがまばゆい笑顔で指差した方を見ると、地面に埋め込まれた扉のようなものが見えた。
「扉…?」
「あそこなら少しは有益な情報が手に入るんちゃうかと思ってな。行くで」
どうしたらあんな小さな扉の中で情報を得られると言うのだろう。疑問に思いながらも、どこか頼りがいを感じさせる彬さんの言葉を信じて着いていくことにした。
扉からは異様なものを感じた。良治は顔をしかめて、「ちょっ…彬さんこれ本当なんですか?」と聞いた。
656:匿名:2018/09/24(月) 23:21
「扉の前まで来てなにためらっとんねん。行くぞ」
扉を開けると、地下の奥深くまで階段が続いているのが見えた。
彬さんが先に軽い身のこなしで下に降り、俺の手を掴み降ろしてくれた。
「寒っ…」
思わず声が漏れる。こんなに冷えているのは、地下だからだろうか。
彬さんはすっかり慣れているようで、寒がっている自分が少し恥ずかしくなった。
15分ほどかけて階段を降りると、そこにはまた扉があった。
「まあ、ええ奴やから。仲良くしたってや。」
誰のことですか?と聞く間もなく、扉が開けられる。
そこには、いかにも「ハイテク」を感じさせるパソコンのような機械と、黙ってその画面を見つめる男性がいた。
「なーに可愛い顔してこわがっとんねん」
彬が良治の顔を覗き込んで笑う。
「いや、怖がってないっすよ…」
良治は引きつった笑顔を彬に向けた。
良治を見て微笑むと、彬さんは男性の方に目を向けた。
「大輔ー!久しぶりやな!」
「彬か。久しぶりって、お前10日ぐらい前にも来てただろ」
「俺には10日でも久しぶりやねん」
彬さんと男性があまりにも親しげで、俺はどうすればいいか分からなくなり佇む。
「おお、紹介忘れとったな。こいつは…」
「石橋です」
「そう、石橋良治。この前の隕石騒ぎから俺が助けてきたんや」
「良治か、宜しくな。俺は植村大輔。」
大輔さんはガタイはさほど良くないが弱そうな感じはせず、彬さんと同い年ほどにも、一回り大人にも見える。着ているTシャツにはドクロの模様がプリントされている。
違う。これはドクロじゃなくてプリキュアだ。
663:匿名 age:2018/09/25(火) 17:54 大輔の整った顔立ちとそれがなんだかちぐはぐで、失礼に当たると分かっていながらも良治はついそのTシャツを凝視してしまう。
そんな彼の視線に気が付いたのか、彬がニヤニヤしながら言った。
「良治、そんなにジロジロ見とったらどつかれるで」
「あっ、すみません」
慌てて姿勢を正す。すると彬はいたずらっぽく笑った。
「あはは、嘘や嘘」
「おい...余計な印象操作するなよ」
大輔が横目で彬を睨む。
「悪かったって、怒らんといて!」
そう言いながら彬は大輔の肩に片腕を回し、もう片方の手で彼の髪の毛をわしゃわしゃと撫でた。
大輔の方は整ってた顔を歪めて迷惑そうに相手の腕を振りほどこうとしている。
そこで良治は初めて大輔の背が彬よりも少しだけ低いと知った。
「良治も大輔と仲良くしたってや」
彬が良治の方を振り向いた。
「コイツ友達少ないねん。こういう、ほらなんていうんやっけ、ニジオタ?なせいで学生時代イジメられとったらしくてな」
その言葉に思わず大輔の顔を見つめると、彼はぷいと顔を背けてしまった。
「せやから他人と話すのはちょい苦手なんやけど、本当は良い奴なんや。根気よく付き合ってやってな」
良治はこくりと頷いた。そして恐る恐る彬の腕が首に巻き付いたままの大輔に尋ねる。
「プリキュア、好きなんですか?」
「...悪いか?」
無愛想な答えが返って来た。
「あ、いえ、そういう訳じゃ」
「実は僕も大好きなんですよ・・・プリキ●ア・・!」
大輔は驚いたように目を見開いた
「・・なんだと?」
「…分かってくれる奴がいたんだな…お前とは仲良くなれそうだ」
俺と大輔さんは固く握手を交わした。
「仲良うなれたみたいで良かったわ。んで、本題やけど…」
「実は大輔な、ハッカーやねん。」
「ハッカーって、あのネットから情報抜き出したり、ウイルスばらまいたりする、あの…?」
目の前のこの青年がそんなに悪いことをする奴には見えず、疑問を投げ掛ける。
「いや、こいつはそんな悪いことせえへん。ええ奴や言うたやろ?」
「はあ…」
「そうだな、俺のことはちょっとITに詳しい人とでも思ってもらえればいい。」
「そうですか…で、なんで彬さんはここに俺を連れてきたんですか?」
「ん、大輔の力借りれば良治の妹さんが見つかるんちゃうかな、思ってん。」
「…どうやって?」
「決まっとるやろ、このPCで調べるんやPCで!」
彬さんがいくつか並んだモニターのひとつを撫でながら笑う。
「触るな、指紋が付く」
「何てったってハッカーやで、人一人の居場所も調べられなくてどないすんねん。な?」
「まあな」
ふふん、と誇らしげに笑う。大輔さん、笑うこともあるんだ。
その後ろに妹がいた
と思ったら
消えた
「・・!?」
「良治ー?どないしたん?」
「あ、いや、何でもないです」
そう言うと同時に、俺はよろけて倒れてしまった。
「お前相当疲れてるみたいだな。ちゃんと飯食ったか?」
「いや…あんまり…」
「仕方ねぇなぁ、今から飯作ってやるから待ってろ。彬の分もな。」
「なあなあ俺の分はぁ?」
「静かに待ってればな」
「はーい!」
彬さんと大輔さんのやりとりに少し和まされ、俺は座って大輔さんの作るご飯を待つことにした。
「彬さん、大輔さんって料理お上手なんですか?」
「そりゃこの地下に一人暮らししとるからな。あいつの作るパスタ、めっちゃ旨いねん」
パスタか…美菜子は確かミートソースのパスタが好きだったな。
「何回も言うとるけど、妹さんのことも大事やけど自分のことも大切にせなあかんで。」
優しい笑みを浮かべた彬さんに背中をさすられた。
ふいに良治は吐いた
「どないした!?」
意識が薄れていく
倒れざま良治は大輔の首が切れ血が噴き出すのを見た
妹が笑った気がした
良治は自分が縛られていることに気ずいた。
「ふふっ・・」
そこにいたのは美菜子だった
「ん…」
「目ぇ覚めたか」
彬さんが上から覗きこんでいる。重めの前髪が垂れて表情がよく分からない。
声色からは、親友が大変な目にあったことへの悲しみや焦りのようなものは感じられない。
「彬さん…大輔さんは?」
「あいつも寝とる。隣見てみ」
彬さんに言われて右に顔をやると、気持ち良さそうに眠る大輔さんの顔があった。首は切れていないようだ。
「…大輔さん、首切れたんじゃ…?」
「首?大輔が?んな訳ないやろー」
彬さんに朗らかに笑われた。
「お前、俺が背中さすったら安心したんかすぐ寝てもうたやん。せやから、お前の分のパスタも俺が食ったったで」
そうか…また悪い夢を見ていたんだ。
「それにしてもお前、相当妹さんのこと大切に思ってるんやなぁ」
「え?」
「寝言でずっと美菜子、美菜子ぉって。」
「…はい。もう美菜子以外に家族がいないもんで。」
「そうか…家族、か。懐かしいなぁ」
「懐かしい?」
「あー、いや、何でもあらへん。そんな大切な妹さんのこと、明日大輔に探してもらおな。今日はとりあえず寝ろ。」
彬さんに優しく諭され、再び眠りについた。
「おい!良治!朗報や聞け!」
翌日は彬さんの興奮気味のモーニングコールで目が覚めた。
「…ん…なんですか?」
「美菜子さんの居場所、検討ついたで!」
待ち望んでいたことが突然に起こってしまい、脳が警戒し認識するのを拒んでいる。
「…ほんとですか?」
「おう!ほんまや!なぁ、大輔⁉」
「あぁ…間違いない。恐らくこの辺りだろう。」
目の前のひときわ大きなディスプレイを見上げる。そこには、聞いたこともない都市の名前が表示されていた。
「カルテップラ…シヤハタ…?」
「おう。東南アジアの『ナヤアラ』って国の首都だ。…それにしても、何で美菜子さんがここにいるか、全く分からないんだが…何か心当たりはあるか?」
15秒ほど前までは名前すら知らなかった都市の名前を挙げられ、困惑する。
心当たりどころか、美菜子も俺も海外に知り合いも居ないのにどうしてそんな所に美菜子が…?
不信感に耐えきれず俺は尋ねる。
「あの…そこに美菜子がいるって証拠でもあるんですか?」
「…ああ。残念ながらな。」
大輔さんがキーボードを操作すると、ディスプレイに美菜子の顔写真が大きく写し出された。
「こいつぁ市役所に登録されている『石橋美菜子』の顔写真だ。彬にパスワードを聞いて市のホームページからハッキングしたらすぐ出てきたよ。」
「これバレたら俺、即首切られるなぁ」
彬さんは仕方ないなぁ、とでも言うような笑顔を浮かべながら、親指で首を切る真似をした。
「で、カルテップラ・シヤハタについて詳しく調べると…」
また大輔さんがキーボードを操作する。見たことがないほど早い指使いだ。
「この写真。左上にはカルテップラのシンボルタワーが写ってる。そして右下には…」
異国情緒を感じさせる街の中で、ひとつだけ見慣れた顔。美菜子が、いる。
「美菜子!」
ただ、その顔は冷徹に嘲笑っていた。良治は驚いて横を向いた。
二人の首が飛び血があたりを彩る。良治は頬をつねった。痛い。
「あとは・・たの・・んだ・・・・・ぞ・・・・・・・・・・・・」
美菜子の顔が浮かんだ。
良治は走りだした
679:匿名:2018/09/25(火) 22:40 彬side
「おい良治!良治!」
「ダメだな…起きねぇ」
良治は先程の写真を見せるとまた倒れこんでしまった。そしてうわごとのように「首…首が…」と繰り返している。
「何がそんなショックやったんやろなぁ…」
「…いや、良治を苦しめてるのは良治自身じゃねぇ…美菜子だ」
ふと大輔を見る。今までに見たことがないほどの険しい表情だ。
「美菜子さんが…?なして?」
「この写真を見ろ。」
「…っ⁉これ…何や?」
そこには、床に倒れた良治とそこにのし掛かる半透明の少女が何体も写っていた。
「さっき、倒れた良治の写真を撮っておいたんだが…正解だったな。」
「お前…」
「これは美菜子の生き霊たち。きっと良治を想うあまり寄ってきてしまったんだな」
「その想いが強すぎて、今良治は悪い夢を見ているっちゅーことか?」
「そうだな…。きっと美菜子は兄に対して独占欲が強すぎるんだろう。悪いが、しばらく俺たちが側にいてやらないと良治は美菜子の念に押し潰されて間違いなく死ぬ。」
「そんな…良治の命まで自分のものにしようとしてるんか…」
にわかには信じがたい話だが、大輔の真剣な眼差しに嘘は感じられない。
「…にしても大輔、お前オカルト系の話詳しかったか?」
「おう。2次オタキャラが強すぎるが、俺の母方の家系は代々霊媒師だ。」
初耳だ。こいつの出生にそんな秘密があったとは…。
長い間仲良くしてきたと思っていたのに、まだ自分の知らないことがあるなんて、と少し悔しくなる。
「とりあえず、できる分は祓わないとな」
そう言って立ち上がると、大輔は手を何やら高速で動かし紋章のようなものを描き始めた。
やがて呪文が唱えられ始めると、風が激しく吹き、赤い光が眩しく射してきた。
「ううっ…」
大輔も苦しそうにしている。やがて風に負けて、大輔は倒れてしまった。
「大輔!」
「なんてこった…俺の力では祓えねぇ。美菜子の生き霊の力は絶大だ。」
「そんな…良治は助かるんか?」
「まだ何とも言えねぇな…」
俺と大輔は良治の前に座り、ただ黙っていた。
良治はゴジラになった
682:匿名:2018/09/25(火) 22:57 「ううっ…ギャオーっ…」
「良治…苦しいんやな…頑張れ…絶対俺たちが助けたるからな…」
「…なあ彬、お前は何でそんなに良治にこだわるんだよ。こいつ、所詮赤の他人だぜ?」
「…そりゃ、一番状態が良かったから」
「違うな。お前は嘘をつくとき、いつも目が泳ぐ。早く本当のこと教えてくれよ。」
大輔に嘘はつかれへんなぁ。俺のことをここまで考えてくれることへの嬉しさと見抜かれたことへの驚きから、つい頬が緩む。
「こいつは…良治は、俺の弟に似てるんや。昔死んだ、な。」
大輔と目を合わせたらきっと泣いてしまう。絶対に合わせないためそっぽを向く。
「あいつ、ユウジっていうねん。優しいに二つで優二。」
「優二…か。名前も似てるんだな」
「弟ができるって両親に聞いたとき、めっちゃ嬉しかってん。生まれてからはとにかく俺になついてなぁ。いつも兄ちゃん兄ちゃんってくっついてきて、いつも一緒やった。」
「…それで?」
「おう。…あれは俺が中学ん時やった。優二と二人で山に遊びに行ったんや。あいつ、まだちっちゃくてなぁ。可愛かったわ。」
大輔がこまめに相槌を打っているのが伝わってくるほど、回りは静かだ。
「そんで、俺、優二喜ばせよう思てカブトムシ取り行ったんや。そん時優二を一人で川の側に置いたのが、俺が今まで生きてきた中で犯した一番でかい間違いやった。」
「…んで、どうしたんだよ」
「暗くなった頃、カブトムシ取れへんかったーって優二に謝ろ思って川に帰ったんや。そしたら…優二はもうおらへんかった。履いてたサンダルの片方だけが転がっててなぁ。」
あの時のことを思い出すと、悔しさと申し訳なさで涙が出てきた。
「結局優二は…見つからへんくて…俺が17の時、捜査が打ち切られたんや。」
「そうか…。優二くん、見つからなかったんだな」
「おう。…でも良治は、今こうして生きてる。だからせめて、優二への罪償いも兼ねて良治だけは助けたいんや。」
改めて決意を口にし、涙を拭く。
こんなことをしている場合ではない。苦しんでいる良治の頭を優しく撫でて、俺は大輔と共に情報収集を再開した。
その頃。とある路地裏で猫が鳴いた。
686:匿名:2018/09/26(水) 12:13ブヒブヒ
687:匿名:2018/09/26(水) 16:33 「変な猫…」
女…否、美菜子はそう呟くと、口から何やら黒い煙のようなものを吐き出した。
それは猫を包み込み、やがて煙が消える頃には猫の息の根を止めてしまった。
もと猫がいた場所に、柔らかそうな白い玉が落ちている。
美菜子はそれを拾い上げ、自らの口に放り込んだ。
「ごちそうさま。これでまた生命エネルギーを吸い取れたわね…ふふっ。」
見た目は同じものの、不気味な笑みを浮かべる彼女に、かつて兄と二人で暮らしていた健気な「石橋美菜子」の姿は重ならない。
「全く酷い目にあったわ。いきなりこの国に連れてこられて生け贄にされかけるなんてね…。まあ、そのお陰で生き霊になることも生命エネルギーを吸い取ることもできるようになったからいいんだけどね。」
美菜子の身を包む黒いマントと長い髪が、風に吹かれて揺れる。
「さあ…早く探しだしてあげましょう…私だけの兄様…」
美菜子はふふっと笑い、路地裏を後にした。
不気味なモノがたくさん置かれた館の中央の机に、美菜子は腕を組み座っていた。
深紅のドレスを見にまとっており、先程のマントは椅子にかけられている。
ふと目の前の扉が音を立てながらゆっくりと開き、男が入ってきた。
美菜子は立ち上がり笑顔で男に近付いて行く。
「ジョー、待ってたわ。遅かったじゃない。」
甘い声でジョーと呼ばれた男からは、背こそ高くないものの貫禄を感じられた。
彫りが深いその顔からは、「感情」が読み取れない。
その後ろには目をギラつかせた化け猫がいた
化け猫はジョーの頭を食いちぎった。
美菜子は突然すぎて立ち尽くすことしかできなかった
しかし化け猫は言った
「お嬢さん、ウチと組んでみない?」
「・・面白そうね。いいわよ・・」
二人は握手した
・・・その化け猫の名は「雅」といった
それから、しばらくたった後の街のこと
美菜子のとなりにはぱっちりした目のくせ毛のロング美少女がいた
雅は人に化けることもできるのだ
「ねぇ美菜子ぉ、アタシ、退屈だわぁ。何か面白いことしなぁい?」
雅が、私にまとわりつくように喋りかける。さすがは化け猫、甘えるのが上手だ。
「そうねぇ…じゃあ、私の目的を果たすのを手伝ってくれない?」
「目的ぃ?面倒なことは嫌よぉ。」
「大丈夫…ちょっと人探しするだけだから…ね?」
そう言って私は雅に微笑んでみせた。
兄様…私の、私だけの兄様…。
時を同じくして、大輔は目覚めてきた良治に事の顛末を解説していた。
美菜子の良治への想いが肥大し、生き霊となってしまったこと。それらが取り付いているせいで、良治は苦しんでいること。また、それらを取り除かなければ良治は死を免れないこと。
急に重い話をさせているにも関わらず、良治は冷静そのものだった。
しかし、あそこまで妹を大切に思っている良治のことだ。今は落ち着いていてもいつ気が動転しても不思議ではない。俺はヒヤヒヤしながら横から眺めていた。
やがて大輔が30分ほどかけて話を終えると、良治はすべてを理解したかのように一度深くうなずき、口を開いた。
「美菜子が側にいるのは、何となく分かってました。この前から見てる悪夢は、全部美菜子に関係することですから。」
ひとことひとこと、自分で確認しながら発音をしているかのような話し方だ。
ひとこと口にしては息を吸う。自分の口にすることを確かめるように。現実を受け入れようとするように。それが、良治のやり方だった。小さい頃に大切な人を失ったことは決して無駄ではなかったのだ。
694:匿名:2018/09/26(水) 23:17 「でも…俺はまだ希望を捨てきれなかった。美菜子は実はこの辺りで普通に生きてて、ふとしたタイミングで『兄様、ここです』って飛び出してきそうな気がしてたんです。でも…悪い霊になってたんですね。…美菜子、ひとつのことが気になると回りが見えなくなるタイプだからなぁ…」
ここまで話してうつむいてしまった良治の顔を覗き込むと、瞳に涙をためているのが見えた。
その姿が幼かった弟と重なり、思わず良治を抱き締める。大輔はパソコンの前の椅子に座り、何も言わず胸の前で腕を組み優しい目でこちらを見ている。
「良治、もう強がらなくてもええねんで。お前の過去なんて全然知らんけど、それでも一人でいろんなこと耐えてきたんは分かる。このままじゃ死ぬって時まで、人のこと考えなくてええ。折角一緒におるんやから、もっと俺らのこと頼ってくれ。絶対裏切ったりせえへんから。」
そう言っているうちに、最初は驚いて背筋を伸ばし固まっていた良治はゆっくりと俺の背中に腕を回し、涙を流し始めた。
「彬さん…俺、死にたくない。相手が美菜子だとしても、死ぬのは絶対嫌だ。怖いんだ。今まで俺の回りでたくさんの人が死んでいったけど、俺は死にたくない。彬さん、お願いします。俺を助けてください…。」
良治は俺の腕の中で、嗚咽しながら言葉を吐き出した。大きいと思っていた身体も、俺より一回りか二回り小さかったんだと今知った。この身体ひとつに全て背負い込んでいたと思うと胸が苦しくなる。
「良治…よう言うたな。偉いで。そこまで言われたからには、絶対俺たちが助けたるから。大丈夫や。」
良治の頭を乱暴に撫で、また強く抱き締める。後ろでは大輔も微量の涙を流しているようだ。
今俺の胸で泣いているのは、「妹想いのよくできたお兄ちゃん」なんかじゃない。「なかなか本音が言えない、いたいけな少年」だ。
急に妙な感情が沸いた
「このままキスしたい」
俺は行動に移す前にそっと良治を離した
fin
697:匿名:2018/09/27(木) 17:38 優しく体を離すと、泣き止んだ良治はどこか空ろな目をしていた。
「良治どうした、ボーッとして。変な妄想でもしてるんか?」
「あっ、いや…はい。ちょっとしてました。すみません。」
申し訳なさそうにペコペコと頭を下げる良治を見て、しばらく黙っていた大輔が口を開いた。
「お前やっぱ疲れてんだな、もうちょっと寝てろよ」
そして物語は>>1に繰り返される...
699:匿名:2018/09/27(木) 17:48 「…ありがとうございます。じゃあ、少しだけ。」
また頭を下げると、良治はソファに体を横たえてまたかすかに寝息を立て始めた。
「彬…気付いてるか」
先程良治に語りかけた時とは全く違う神妙な表情の大輔に少し驚く。
「気付くって…何が?」
「ついに良治の思考も美菜子の支配下になろうとし始めているらしい。美菜子は幻想を見せて、俺たちから良治を離そうとしている。」
「幻想って、どないやねん」
「…知らない方が幸せだ。兎に角、良治の命が本格的に危うくなっている。あまり時間が無い。早く徐霊をしなければ…」
時間の流れは残酷で、俺たちが頭を悩ませる間にも刻一刻と過ぎていってしまう。
気持ち良さそうに眠っている良治を見ると、とめどない悔しさが湧いてきた。
そのころ美菜子は…
(ちょっとこの後長文書きたいんだけど、1時間程度待っていただけるだろうか)