繋げてってなんかお話作って!
101:匿名:2018/06/14(木) 00:08 >>100
ミスった。
ぐえ。
犬が吐いた
お兄さん!!
誰かに呼ばれて振り返った
そこには髪の長い、薄い紫色のワンピースを着たかわいらしい女の子が頬を膨らませてお兄さんを睨みつけていた。
「もう!いつも帰りが遅いんだから...兄様。迎えに来ましたよ」
彼女はお兄さんの最愛のただ一人の妹、美菜子だ。
「ごめんごめん…悪かったよ、美菜子。ごめんな?」
そう言って頭を撫でて、かがんで目線を合わせる
「もうっ…兄様は…しょうがないですわね…」
顔を真っ赤にして照れる妹は俺にとって宝物だ。
ふとお兄さんが辺りを見回すと、おじいさんも地下アイドルもいなくなっていた。
「ああ...そうか。また俺のいつもの想像癖が行き過ぎてしまったんだな。あんな夢を見ていたなんて」
お兄さんはため息をつき、妹の手を取った。
「さあ、美菜子。帰ろう」
「はい!」
花が咲いたような笑顔で美菜子はお兄さんを見上げ、頷きました。二人で手を繋いで家まで歩きます。彼らの家は川原沿いにある一軒家でしたが、それは大層古いものでした。土砂降りの日には天井からぽつぽつ雨漏れし、冬はおもてと同じくらい冷え込みます。それでも彼らにとって住む家があるのは有難いことなのです。
なぜなら彼らはもう両親を亡くしているのですから。
彼は手の温もりを逃がすまいとぐっと握りしめた。
109:匿名:2018/06/17(日) 23:22 「兄様、今日の夕飯はお鍋ですよ。野菜たっぷりの。わたしいつも一生懸命メニュー考えてるんですよ。兄様が風邪を引かないようにって。兄様ったらひ弱な癖にお野菜ちっとも食べないんですもん」
美菜子が白い息を吐きながら言う。
「美菜子は優しいなぁ」
彼は美菜子の頭を撫でた
美菜子は愛らしい大きな瞳を細めて笑った。
112:匿名:2018/06/17(日) 23:38 「あはは・・・毎日ありがとうな。その野菜、どこからもらって来たんだ?」
「深川さん家!」
両親のいない二人を不憫に思って、近所の人達はいつもお裾分けをしてくれるのだ。
「そうか、後で深川さんの家にお礼を言いに行かないとな」
114:匿名:2018/06/17(日) 23:41それを見ると彼はとても安心した。彼も色素の薄い、目の前の美菜子だけをうつす瞳を細め、「美菜子だってお肉食えよ?」と笑った。
115:匿名:2018/06/17(日) 23:46 「わたし毎日給食残さず食べてますよ!」
美菜子は再び頬をぷくりと膨らませる。だが、急に真剣な面持ちになって言った。
「兄様。試験、受かるといいですね。深川さんも言ってましたよ。あなたのお兄さんいつも頑張り過ぎていて心配だわって」
・・・試験。今から約4ヶ月後の、高校入試のことだ。
117:匿名:2018/06/18(月) 00:12 『君は』
お兄さんの頭に今日の先生の言葉が蘇る。
『石橋君。君は県立トップクラスの進学校を志望していたね。うん、このままの成績で充分だ。君の努力はちゃんと知っているよ。僕からは何も言うことはない。引き続き気をしっかり持って頑張りなさい』
でもそれはたくさん、たくさん勉強しているからだ。たしかに俺は無理をしている。だから家事は美菜子に任せっきりなのだ。
119:匿名:2018/06/18(月) 18:45 「兄様。」
美菜子が綺麗な顔を彼に近づけた。
「うん…大丈夫だよ。無理なんかしてない。心配性だなぁ」彼は笑顔の仮面をつけた。
ついでにひょっとこのお面も付けた
121:匿名:2018/06/18(月) 18:53 「わたし、本当はいいんですよ」
不意に美菜子が顔を上げて言った。
「・・・え?」
お兄さんはきょとんとする。美菜子は彼を見つめたまま続けた。
「兄様があの一番の学校に受からなくても。わたしは・・・兄様とこうして楽しく暮らして、そして兄様が側で笑っていてくれればそれでいいんです」
お兄さんは目を見開いた。美菜子はうふふと笑って、彼の手を握る手に優しく力を込めた。
「わたしはもう十分にしあわせです。だから兄様、無理はしないでくださいね」
ひょっとこのお面を外し、
おかめのお面を付けた
「ありがとう…」彼の視界が滲んだ。
124:匿名:2018/06/18(月) 19:10 その一部始終を目撃していた野生のきよし師匠が
「君らはええ兄弟やなぁ…今日び君らのような愛のある兄弟おまへんてぇ…!」
とか言いながら顔を鼻水と涙でぐしゃぐしゃにしながら現れた
「あ、大丈夫です。」
彼らは家に帰った。
お面は付けたまま帰途についたのは、もはや言うまでもない。
127:匿名:2018/06/18(月) 19:32台の上に鍋が乗せられた。
128:匿名:2018/06/18(月) 19:54 「いただきます」
二人で同時に手を合わせる。ぽつぽつと窓に雨が当たる音がした。どうやら雨が降り始めたようだ。
だが兄妹の家の中は実際の気温とは対照的な温かい空間である。
お兄さんは鍋の中の人参を口にした瞬間、思わずこう漏らした。
「うわあ、おいしい。美菜子・・・お前、また料理の腕を上げたな?」
「えへへー」美菜子が愛くるしい笑顔を見せる。
130:匿名:2018/06/18(月) 20:36 その笑顔を見て、お兄さんはこの妹のことを絶対に守ると改めて決意しました。
その夜のこと。お兄さんは夢を見ました。
『...ウジ....良治!』
自分を呼ぶ声がします。けれど周りは真っ暗闇。何も見えません。呼び声はどんどん大きくなっていきます。お兄さんはしゃがみ込み、頭を抱えてじっとしていました。
『良治!!』
ぬっと目の前に人が現れました。大量の血を流しています。お兄さんを見てヒューヒューと苦しげな息を漏らす男性。あれは・・・
「と、父さん...」
その男性はお兄さんの父でした。あの日の事件で死んだはずの。
彼にとって思い出したくもない事件。
美菜子の悲鳴。逃げ回る人々。倒れているあの子。そして何よりも、頭から血を流す父。
傍らには穴という穴からきよし汁を垂れ流すビチャビチャのきよし師匠。
そう、あの日もやはりこの兄妹の運命はきよし師匠とは切っても切り離せなかったのだ。
それはまるで、もがけばもがく程に絡みつく糸のように、坂道を転がり落ちるボールのように、確実に二人のゆく末を捉えて放さなかった。
環状のレールの上をぐるぐる回るが如くに、きよし師匠から始まり、きよし師匠へと収束する。
そんな自分たちの運命を、そしてこの世のすべてを呪った二人はボロボロになりながらも辿り着いた貧しいながらも幸福な生活。
絶望にまみれた地獄のような人生にやっと見出し たひとときの安寧。
そんな何物にも変えがたい宝物のような時間をようやく勝ち取れたと思った矢先に、残酷な運命はまたしてもきよし師匠を二人へと導いた。
た●し「お前を食ってやるぞ〜」
135:匿名:2018/06/19(火) 23:38 お兄さんは荒い息をもらした。頭に割れるほど強い力で爪を立ててうめく。
「もう、もう許して!ごめんなさい‥‥ごめんなさい‥‥」
「兄様。」
美菜子が彼の手を取った。彼はだらだらと血が流れる頭を上げた。「兄様は悪くない。」美菜子が微笑む。
「もう忘れてください。兄様は、兄様自身が悪い夢を見せているんです。」
138:匿名:2018/06/20(水) 19:16 「...ううぁ」
お兄さんは絞り出すような声を出した。涙がどんどん溢れてくる。
「うぅ、か...れん...父さん...」
『大丈夫ですよ兄様、大丈夫』
美菜子は優しく彼の頭をなでた。
「いやだぁ、椛怜...美菜子...いなくならないでくれ...美菜子」
うなされている兄の髪を、美菜子は撫で続ける。彼の固く閉じた目からは涙が流れていた。
「大丈夫ですよ」
悲しげな笑顔を浮かべて美菜子は呟く。
「いなくなったりなんかしませんよ。兄様、美菜子はずっと側にいますよ」
あれは、彼のせいではなかった。だが、大切な人が目の前で死んでいくのを見た事で、彼の心はズタズタだった。
140:匿名:2018/06/20(水) 20:38妹になだめてもらうなんて情けなくて仕方なかった。だが、彼は怖くて怖くていてもたってもいられないのだ。
141:匿名:2018/06/20(水) 20:47
その夜。良治は勉強をせずに疲れ果てて深い眠りについていた。泣きはらしたあとの彼の白い肌、閉じた目は不安と悲しみに満ちてより一層美しい。
美菜子はそっとお兄さんの頬をなぞった。
それが夢の中での感触なのか現実の感触なのか曖昧なまま、彼の意識は遠のいていった。
雀の鳴き声でお兄さんは目を覚ました。朝がきたようだ。昨晩の悪夢のせいかまだ頭がぼうっとする。
ふらふらした足取りで台所に向かうと、美菜子がすでに居た。卵焼きを焼いていたようだが、こちらの足音に気が付いたのか振り返る。
「おはようございます、兄様!」
元気よく挨拶してたったったと駆け足でこっちに向かってくる。
144:匿名:2018/06/20(水) 20:54手には朝ごはんかのっていた。
145:匿名:2018/06/20(水) 20:56「おはよう」良治が微笑む。いつもの日常だ。
146:匿名:2018/06/20(水) 20:59 「美菜子、今日は...って、うわあ、焦げてるぞ!卵焼き!」
良治は今日の予定を伝えようとしたが、じゅうじゅうとフライパンの上で焼けて黒くなっていく卵焼きを見て思わず叫んだ。
「あっ、いけない!」
美菜子ははっと後ろを振り返り、慌ててその火を弱めた。そして舌を出して恥ずかしそうに笑う。
「えへへ...兄様、教えてくれてありがとうございます」
美菜子が料理の失敗をするのは珍しいことだ。
148:匿名:2018/06/20(水) 21:22 「あの、兄様」
美菜子が何か言いたそうに口を動かす。だが言葉が出てこないようだ。黙って俯いてしまった。
「美菜子、どうした?」
良治が妹の顔を覗き込んだ時だった。
「美菜子ちゃあん、学校行こう!!」
どんどんと少し乱暴に玄関の戸を叩く音と共に、美菜子を呼ぶ声がした。
「あ、の…」
美菜子が気まずそうに俯いた。「…ふっ、いいよ、学校行ってらっしゃい!」
お兄さんは美菜子の肩を笑って叩いた。「すみません、行ってきます!!」美菜子は玄関に向かって走っていった。
ドアが閉まる瞬間、美菜子の友達が「美菜子ちゃんのお兄ちゃんかっこいいのに、お料理できないのー?」と話しかけているのが聴こえてきた。
「うん、家事は私の仕事だからね!自慢の兄様だよ」
その声と同時にこんな言葉も聴こえた。
良治は少し赤くなって下を向くしかなかった。
153:匿名:2018/06/21(木) 00:06 頬杖をついてぼんやりと窓の外を眺めながら、美菜子はふと考えた。
兄様は今頃どうしているだろうか。
実はその兄様は海老天を食べていたのだが、スパイダーマンは知るよしもない。
155:匿名:2018/06/21(木) 22:01海老天を食べ終わると、良治はすぐに勉強を始めた。試験に受かるためには勉強しかなかった。勉強以外何も。
156:匿名:2018/06/21(木) 22:05 『良治くんは勉強以外何でもできるよねー』
『頭悪いくせしてちょっと顔がいいから調子乗ってるよな』
ふいに、昔のことを思い出した。自分を変えたかった。ずっと変えたくて、頑張ってきたのだ。
良治は俯いた。
俺は...変わることが出来たのだろうか。
『リョウ君は』
昨晩夢で見たあの子の言葉を思い出す。
『そのままのリョウ君がいいよ』
自分が見捨ててしまったせいで死んでしまった、あの子。
「忘れろ」
自分に言い聞かせるように良治は呟いた。
「忘れるんだ...忘れることにしたんだ」
深く深呼吸して窓を見る。優しく差し込む朝日が目に入る。気持ちも少し落ち着いたような気がした。
「かれん…」
落ち着いたことで、その名が口からこぼれた。
2巻へ続く!
160:匿名:2018/06/21(木) 22:35
薄いこげ茶の肩まで伸びた髪。吸い込まれるような赤朽葉色の瞳。『リョウ君!』と手を振る1人の女の子を、良治はまたもや思い出してしまっていたので
↑でじゃなくて だ。
162:匿名:2018/06/21(木) 22:41 椅子から立ち上がり、いつもより少し早いが学校に行くことにした。あの子のことを早く忘れたい。彼の頭の中はそれだけであった。
時計の針が午前七時三十分を指した。それを確認してから、身支度を整えた良治は玄関の引き戸を開けた。ガラガラという乾いた音ともに、外の光が彼の全身をさす。
「行ってきます」
自転車に跨りぼそりと言う。良治は学校へ向かってペダルをこぎ出した。
(>>160 なんか>>138の名前の意図を分かってくれて嬉しい)
164:匿名:2018/06/22(金) 21:24 冬の冷たい風を頬に受けながら良治は自転車で通学路を走り続ける。
青空を見上げた。今日は快晴のようだ。
あの子と出会ったのも、こんな冬の朝だったな。
そう思ってから、結局家を出発してもあの子のことを考えてしまっているじゃないかと気が付く。彼は乾いた唇をかみしめた。
163←あってた?(笑)
166:匿名:2018/06/22(金) 21:57 「あぁ、会いたいなぁ」
忘れようとすればするほど人は想ってしまうものだ。
下り坂に入った。彼は足をペダルから離した。冷たい風が顔に当たって彼は右目を閉じた。髪の毛がサラサラと風にふかれた。
168:匿名:2018/06/22(金) 22:15下り坂の右側に赤毛の女の子が見えた。彼女の名前は二階堂吟。かれんの友達だ。
169:匿名:2018/06/22(金) 22:23 「あっ」吟が振り返った。
「良治くん、おはよう!乗せてってくれるー?」
彼は自転車を止めて後ろに吟を乗せた。
彼女はかれんと違って落ち着きがない子だ。
171:匿名:2018/06/22(金) 22:39「いえーい!」吟が良治のお腹に手を回して叫ぶ。「おい、目立たないで乗ることはできないのか?まったくー…」良治はため息をついてゆっくり下って行った。
172:匿名:2018/06/22(金) 23:10 「良治くん、川だよ。止まってこ!!」吟が後ろからハンドルを手にとってぐんっと曲げる。「う、うわぁ!」自転車は吟の思うままになって曲がった。
「冷た!!」吟は水に手を突っ込んで思いっきり笑った。真冬の川の何が嬉しいのか。良治は吟を見てるだけで疲れた。
「…良治くんはさー、かれん覚えてる?」
吟がいきなり聞いてきた。
「当たり前だろ…。」
良治は触れられたくないところを突かれて何を言ったらいいかわからなかった。
「あの子とね、小学校の時よくここに川遊びに来たんだ」
川の流れを見つめたまま、吟は言う。
「え...椛怜がよく川遊びを?」
良治の思い出にあるあの子からは想像し難い姿であった。そんな驚いたような彼の顔を見て、面白そうに相手は笑う。
「あはは、良治くんは私達が中学校に上がった時この町に引っ越して来たんだから知らなかったでしょ?あの子、ああ見えても小さい時はとっても活発だったんだから」
本当に知らなかった。自分の知るあの子はいつもつんと澄ましていて、その成績の良さ故に嫌味ったらしいところもあって、それでも時々見せるとても小さな子供のような無邪気な笑顔が眩しくて...
「でね、今の時期こんなに水があるのが嬉しくって、つい止まってもらっちゃったんだ」
吟の声で良治ははっとした。
そういえば真冬に川の水がこれほどあるのも珍しい。
良治は水に近づいた。サラサラと水の流れる音が耳に響いて心地よい。
176:匿名:2018/06/23(土) 15:06 https://i.imgur.com/jeO2Aly.jpg
吟のイメージこんな感じ
「私はねー、ここに来るとかれんと繋がってる気がするんだー」吟が赤髪を揺らして口角を上げる。
178:匿名:2018/06/23(土) 18:00 良治は微笑んだ。
学校に着いて吟をおろした。
「ありがとねー」
吟が走って先に行く。
「俺もここなんだけど…」良治も自転車を止めて学校に入って行った。
良治の下駄箱と吟の下駄箱は一例とばして隣だ。良治が下駄箱のドアを開けると、何通か手紙が落ちてきた。彼は無言でそれらを拾いカバンに入れると「なんで良治くんばっかそんなもてんの?!」と、吟が頬を膨らませていた。
181:匿名:2018/06/24(日) 17:53 「あはは...二階堂の大好きな寺川先輩が高校でもちっともモテないからって、俺に僻みか?」
良治がからかい気味に笑うと、吟が目の色を変えて飛びかかってきた。
「何い?!先輩を馬鹿にしないで!いいの!先輩はとっても純粋だし、高校で野球も上達してだんだん日の目を見始めたらしいんだから!」
悪い悪いと言いながら自分より頭一つ分ほど小さな吟の頭を抑える。
「けれど、俺も始めから皆と上手くいっていた訳じゃないんだ。二階堂は中学校に上がってすぐイギリスに行っていたから知らないだろうけど...」
ぴたりと吟が暴れるのをやめた。決まりの悪そうな顔で良治から目をそらす。吟は中学校入学後すぐに家庭の都合で渡英し、日本に帰ってきたのはつい半年前であった。...そう、あの子が死んでしまう2ヶ月前。
「俺がこんなに皆と仲良くなることが出来たのも、全部椛怜のおかげだよ」
寂しそうに良治は笑った。
「…ふーん」吟が気まずそうにバンっと良治の背中を叩いた。「いった!!お前少しは力弱くしろよ、女子らしくない」
「うっさい!」さっきよりも強い力で吟は良治を叩く。
ぎゃーぎゃーと2人が騒いでると、「何やってんだよーまた夫婦喧嘩かー?」と本条がニヤニヤと近づいてきた。
本条みなと。良治の幼馴染だ。
良治は幼稚園生の時までこの町に住んでいた。だがその後、とある事情で卒園とともに別の街に越すことになった。
その彼の幼稚園の時までの幼なじみがみなとだ。
「何言ってんのみなと。」
「ちょっとやめてよみなとー!」
ややこしいことに、みなとは吟の元彼でもある。
「みなと、違うって」
慌てて良治は吟から体を離す。そして少しの間黙って、深刻そうに言った。
「いや、でも実際の夫婦喧嘩もこんな感じなのかもしれないな...恐ろしい」
ぶふっと吟とみなとが同時に吹き出す。
「何真面目に考えてるんだよリョウちゃん、お前はいつもこう他人の冗談を本気にするんだからさ、言ったこっちがおかしくなるよ」
みなとは本当に腹を抱えて笑っている。
「可愛いー!」
「良治すきー!」という声が飛び交った。
「ああ、そうだよな...俺はどうしてこうなんだろう」
顔を赤くして良治は黙る。その反応もまた二人にとっては面白かったようだ。
一通り笑った後、みなとは職員室に用事があるからと言って去って行った。
吟と前後並んで廊下を歩く。
「でも、私嬉しいな」
突然相手が良治の目を見つめて言った。
「何が?」
良治も吟を振り返る。朝方の廊下の空気は冷え切っている。早くストーブのついた教室に入りたいという思いから、先頭を歩く良治の足は速まっていた。
「良治くんと、また普通にあの子の思い出話が出来て」
一呼吸間をおいてから、吟は続ける。
「ほら、椛怜が死んじゃってからの良治くんはさ...あの時の私から見てもすごく心配だったし...もちろんみんなも心配していたし...。けれど、こうしてまた楽しくお話出来て嬉しいなあってこと!」
「おいおい、見せ物じゃないんだぞ!散れ散れー」
みなとが騒ぎを聞いて近づいて来た野次馬たちに手を振る。
(誰かイラスト描くのが上手くて暇な人、気が向いたら良治のイメージ像描いてください〜)
190:匿名:2018/06/25(月) 22:16189→それな!
191:匿名:2018/06/25(月) 22:18 188送るの遅くなっておかしくなった(笑)
抜かして!
(187からいきます。)
「…うん、俺もだよ。ありがとな。」良治も一呼吸して笑った。
(187からいきます。)
「…うん、俺もだよ。ありがとな。」良治も一呼吸して笑った。
↑うん、ダブった!
195:匿名:2018/06/25(月) 22:34(良治くんかっこいい、いい人だしかっこいい。まじ現実にいないかな)
196:匿名:2018/06/25(月) 22:43↑ほんとそれ。
197:匿名 hoge:2018/06/25(月) 22:48朝会が済んだ時、丁度1時間目の予鈴が鳴った。
198:匿名:2018/06/25(月) 22:49良治は席について黙々と数学の予習をしていた。
199:匿名:2018/06/26(火) 19:40「おーまーえーなー!勉強しか頭にないのかよー。たまには俺とデートしようぜ、デート!」職員室から帰ってきたみなとが良治に絡む。
200:匿名:2018/06/26(火) 21:22いかにも嫌そうな顔をした良治には目もくれずみなとは、はははっと笑っている。