他人の死体様が発見されましたか、それはそれは丁重にお飾り付けしなければ。
( それは呆れるほどに耽美で、清々しいほど瑠璃川であった。優雅に美しい姿勢で目の前で蠢くそれに歩みを順調に進め、その細っこい手のひらで嫌悪感を醸し出すこともなくひたすらに弄り続ける。顔には布が被せられていて誰かは判らないが、胸の膨らみがほんの少し感じられることから恐らく女性だ。手早く腐り落ちてしまう前に胸ポケットから装飾品の幾つかを取り出せば、まるで幼子のように小さな体躯をしているこの女性に似合うだろう物を見繕う。そして濁り味のない真珠を複数個と淡い色合いの貝殻達、最後に水色のレースリボンを選び取れば針等を扱い器用に死体に繋ぎ止めていく。…暫く経った時、虚凜のその瞳に映るのは…贅沢に様々な意匠が施された美しい『 ナニか 』だろう )
さぁてと、死体様に魔法をかけてあげましたあ。
( 間延びするような語尾を湛えたまま、彼は動揺することもなくそう言い終える )
>>649/俺の世界へようこそ、虚凜クン
…
( 当たり前だが、彼は普通の人間である。感性も何もかもがありきたり、平凡で凡庸な一般人。人を殺したこともなければ死体を着飾ったこともない。童話の人魚姫のように美しくも禍々しく魅せられる、最早死体とは言えないものに顔を青ざめさせては。あれは本気だったのか、と頭を抱えたがる手を理性で抑え、それにしても、如何にして目の前の彼は死体装飾なんぞに目覚めたのだろう?先程教えられたのかもしれないが、探っても思い当たることの無い思考に舌打ちを一つ。嗚呼、もっと集中していれば良かった!にしてもさほどの動揺を見せない虚凛の心臓はきっと、こんな現実の盛り上がりを見逃すなどありえないと高鳴っていることだろう。彼が今狂人ならば、自分は居合わせてしまったぶってる凡人?それなら精々彼の期待を裏切るように、最ッ高に最低に。…にしても、今から漏らす呟きは垂直に感じたものではあるが。 )
…気持ち悪い
( さっと青ざめた顔、喉奥から込み上げる吐き気を耐えるよう口に片手を口に当てれば片手では自分の体を抱きしめるように。薄く体を震わせることも忘れずに、涙の膜を張った瞳で半ば睨みつけるように死体を見て。絞り出すように出された声は泣きそうなほど歪んで震え )
>>650 お茶を出してよ瑠璃川君