…
( 当たり前だが、彼は普通の人間である。感性も何もかもがありきたり、平凡で凡庸な一般人。人を殺したこともなければ死体を着飾ったこともない。童話の人魚姫のように美しくも禍々しく魅せられる、最早死体とは言えないものに顔を青ざめさせては。あれは本気だったのか、と頭を抱えたがる手を理性で抑え、それにしても、如何にして目の前の彼は死体装飾なんぞに目覚めたのだろう?先程教えられたのかもしれないが、探っても思い当たることの無い思考に舌打ちを一つ。嗚呼、もっと集中していれば良かった!にしてもさほどの動揺を見せない虚凛の心臓はきっと、こんな現実の盛り上がりを見逃すなどありえないと高鳴っていることだろう。彼が今狂人ならば、自分は居合わせてしまったぶってる凡人?それなら精々彼の期待を裏切るように、最ッ高に最低に。…にしても、今から漏らす呟きは垂直に感じたものではあるが。 )
…気持ち悪い
( さっと青ざめた顔、喉奥から込み上げる吐き気を耐えるよう口に片手を口に当てれば片手では自分の体を抱きしめるように。薄く体を震わせることも忘れずに、涙の膜を張った瞳で半ば睨みつけるように死体を見て。絞り出すように出された声は泣きそうなほど歪んで震え )
>>650 お茶を出してよ瑠璃川君
…俺の作り上げた作品を完膚なきまでに否定するなんて、非道い方なのですね、貴方は
( 非道なのはどっちだ、と端から見れば激しく罵られているだろうその言葉をやや眉尻を下げ言い、また理解者は得られなかったかと寂しげにそう考えては、所詮は常人である彼の精神力なんてこの程度のものかと半ば失望を意味するその冷たき視線で顔面を蒼白させている虚凜を射抜けば、然しまだ自分の見込んだ人間だからと完全に見捨てる踏ん切りは付いていないようで彼に“こんな素敵なもの見たことがない、って俺の周りの人達は褒めて下さいましたけど“と周りの環境に対する責任転嫁に走り、それでもまだ高鳴ったままの鼓動に舌打ちを一つ落とせば、また口元を引き上げて )
人の化けた欲を最大限まで表した物がこの物体です、素直に悪くはないって言っちゃいませんかァ?
( それでもまだ彼の返答に優しさと情が混じっていることを期待しながら、自己の心を防衛するように歪められた表情を浮かべた彼をじぃっと観察するように見つめる。彼だってきっと理解してくれる筈だ。自分が美術館にあるどんな名画よりも美しいと思えたのはこれだけなのだから )
>>651/虚凜クン