レス・スクール 2時限目

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209:虚凛 柚木◆p/A:2020/05/03(日) 23:37



( / 長いので2回に分けます〜、連投すみません… )


 ( 瞬間、時が止まったような気がした。頬に走る鋭い痛み。その瞬間に今まで見てきた世界から霧が晴れたような、場違いにも漸く目の前の現実が見れるような気がして、その痛みを与えた相手である彼を見る。灰色の瞳に与えられる視線は慣れないものであったはずなのに何故だか懐かしいような気がして、寧ろ何処か他人事だった世界が、達観していた自分自身が引きずり出され無理矢理融合されるような感覚に身を任せた。今までの抵抗は何処へ行ってしまったのか心の奥深くの鍵が崩されていくように感じられる。同時に溢れ出したのは今までの記憶の全て。この学校に来る前、白に揺れた融ける瞳と赤く染まった空想、観劇に触れたきっかけよりもずっと前。無抵抗のまま体を倒せば腹部に感じた苦しみに更に、強く、これが現実であり、今であるとの認識を深めると夕焼けにより赤く染った部屋に幻影を重ねて。それは今よりもっと小汚い赤。部屋中を埋めつくしたその赤色はいつも見ていた赤と一緒だったのに美しい夕暮れの陽射しに照らされ燃えているようになっていた。その色を撒き散らす原因を作った両親が床に倒れ込んでいた。動かない二人にそっと触れてみると冷たくて、自ら触れれば汚物を見るような視線を向ける二人は動かない。その事に確かに寂しさを感じると同時に、満たされていたのだ。 
それと連なって思い出されたのは暗い部屋の中。薄汚れた壁にこびり付いた血液と積まれた黒いゴミ袋。ボロボロになっていつのものかもわからないシミのついた布団と、それに寝かされていた兎のぬいぐるみ。腹は無造作に裂かれていて、中には綿の代わりに詰められていた、部屋に投げ捨てられる小さな、小さな、 )

 …あ、……う゛ッ、
( 巡る思考の中何度も何度も繰り返し流れる光景。全てが同じものではなく全てが微妙に違っていて、それは決して一つの記憶ではないと知る。その正体に気づいた時の不快感。今まで目を逸らし続けてきた現実。これが自分自身が向き合わなければならない世界であり、今であると理解した時、胃の奥、腹の裏側から突き上げてくるような窮屈感に起き上がろうとしていた身を屈ませると罪人のように頭を垂れて。脳内に反響していく声は一人のものでは無く、強く願ったところで止むわけも無かった。口に手を当て止めるのすら間に合わず焼けるような痛みと心臓に纒わり付くような罪の意識に苛まれた胃の内容物を口から吐き出せば溶けかけた朝食の粒が喉に引っかかる感触に何度も嘔吐き。強い咳を繰り返しながらも生理的に出てくる涙も大量に肌に浮かんだ脂汗も逆流した吐瀉物と混じり流れる鼻水も拭おうともせずに唯、唖然とし眺めた自分の嘔吐物は幻覚と重なって。赤く染まった部屋と肉片、泣き止んだ声、動かない四肢は更に自分自身を絶望に叩き落とそうとしていることを、今まで平穏に生きてきた、よりも乖離することで保ってきた均等による現実は一度に受け止めるにはあまりにも一人で耐え切るには罪の多いもので、縋り付く親族や家族も帰るべき家も無い、確かに心の隙間が満たされたのにまた欠落していく、自分でも意味のわからなかった体の震えや憐れみへの反発の由来を知り、感情の由来が理解できない涙が瞳から溢れ出る。悲鳴を上げる心臓への慈悲は、耐えられないと頭痛を訴える脳への救済はこれしか無いのだろう。回避しようのない運命はきっと、たまたま今日来てしまっただけなのだろうか。こんな異常な状況下でそうなってしまったことは残酷ではないと信じたかった、最後に彼の姿を瞳に映してみた。…そういえば、友達も出来たんだっけ、と自らが過ごして触れた中、走馬灯のようにこの学園内で笑ってくれた存在と、自らを称した人のことを思い浮かべ、それとほぼ同時期に嗚咽を漏らす。それは生の誕生である産声とは逆に、死による自らの崩壊の音だった )

>>207
 
 


西野 砂魚 ◆GE:2020/05/04(月) 05:02 [返信]

、 あ…
(何も考えられない。鉛のように重く心の底に沈んでいく怒りと恐怖に思考を飲まれたまま肩で息をし、もがき苦しむ虚凛をぼんやりとした瞳で眺め続けていると突然霧が晴れたように正気に戻り、吐瀉物を撒き散らして嗚咽を漏らしている虚凛を見ると本当に取り返しがつかないとんでもない事をしでかしたことにまた脚がガクガクと震えて立っていられなくなり座り込んで、パニックを起こしヒュウヒュウと過呼吸気味になりながら足をもつれさせ這うように虚凛の方へ手を伸ばして、服の袖にまだ少し形状の残った吐物が付着するがそんなことは気にならず、虚ろな目を見つめながら。なぜか涙は出てこなかった。)
ごめん、ごめ、ごめんごめん、ごめんね、ゆう、柚木、あ、あ俺、俺

>>209


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