…… おひとりですか ?
( 御家族は、御友人は。そう問い掛けようとしたが言葉を飲み込み。今時、一人で行動なんて普通かもしれない。まぁ私の場合はそうはいかなかったけれど。事情あっての単独行動の可能性だって無くはないのだ。それらを踏まえた上で、少女の目線に合わせるように屈むとゆるりと首を傾げ問い掛けて。然し、此処で何かに気づいたように、小さく あっ と声上げて。このままでは怪しい人に思われてしまうかもしれませんね。ふむ、少し唇に手を当て考えると、再びパッと顔上げて。にこりと、けれど少し困ったような表情を浮かべて。)
私 、見ての通りひとりなんです 。もし …… もし 、時間が許されていて貴女が嫌でなければ、少しの間一緒にいませんか 。
>>14 阿笠さん
( 掛けられた言葉を聞いてやっぱり一人でいることを心配されている…?と思った。
大丈夫であることを伝えようと口を開こうとした。その時視線を合わせようと屈んでくれた少女の目と正面から目が合い、思わず息を呑み、口をつぐんだ。)
( どうして言葉が出てこなかったんだろう、と璃乃は思う。それは研究施設では誰もこんな風に璃乃と正面から目を見て話してくれる者はいなかったからだ。だがそれを璃乃は気づくことが出来ない。)
( コロコロと変わっていく少女の表情や仕草を見ていてなんだか楽しい気分になってくる。それがどうして楽しい気分になったのかわからなかったが、直感的にこの人は、このお姉さんは、優しい人なんだろうな、と理解した。)
( 再び掛けられた言葉に「私で良ければ喜んで、楽しんでいただけるかわからないですけど…」と返事をしようとしたときだった。ヴーと片腕に抱えていた黒ウサギの人形越しに振動が伝わる。それは携帯端末にメッセージが入った知らせだった。)
ごめんなさい。ちょっと待ってください…。
( 楽しい気分に水をさされた気持ちになって、背中のチャックを開け、人形の中に入っていた端末を取り出す。受信したメッセージを確認した時その表情が強張った)
『目の前の人物は粛清対象だ。速やかに任務に移行せよ』
( それだけの短い文章。だが璃乃にとっては絶対的なものだった。"粛清対象"それは悪事に手を染めている存在であることを表す言葉。そしてその対象を動けなくなる状態にしなければならない言葉。そのやり方はとても荒い。手に掛けることも辞さなければならない。)
( このお姉さんが…?でもお姉さんは優しくて…。じゃあ、あの人達の方が間違っている…?ソンナハズハナイ、ソンナハズハナイ、ソンナハズハナイ……。
大量の言葉と感情の渦が頭の中で渦巻き処理しきれなくなり、頭を抱えて屈む。その時丸まった背中から大量のモヤが発生し、それが人の上半身のように集まると、はっきりとやたらと筋肉質な、黒い全身タイツに身を包んだような人間の上半身のようになり、しかも璃乃の背中から生えたようになっている。その顔には大きく裂けて牙が並んだ口だけが存在し、)
『 テメェはゴチャゴチャうるせえんだよッ!! 要はこの眼の前の女をぶっ飛ばしゃいいッ。それだけだろうがッ!!』
( とその口が叫ぶ。突如上げられた怒声と少女の背中から真っ黒な上半身が生えているという、異様な光景に周囲の人間は離れていき、"異能者だ!"の声が上がる。)
やだ……。そんなことしたくないよ……。
『 ダアアアアアアッ、テメエはもう引っ込んでろッ!!』
やめ…て…。
( その場にへたり込む。黒い上半身が再びモヤに戻り更に璃乃の体から大量のモヤが発生していく。それは完全に体を覆い隠し、3mにも迫ろうかという巨大な人型になっていく。モヤがはっきりとした輪郭になるとただでさえでかいのに、その上、全身筋肉質で立っているだけで高圧的な存在感を放つ、真っ黒な人型の存在になる。それは一言で化け物と言っていい存在だった。)
『ヒャハ…久々のシャバだァ…。』
(笑ったことを示すように口が歪に曲がる。眼はないがその顔は綴の方に向けられている。そして品定めでもするかのように無言で少しの間そうしている、しかしその直後に、)
『ミンチになっちまいなァッッ!!』
(と、突然叫びながら、その豪腕に依る打ち下ろしの右ストレートを綴の顔中心に向かって繰り出す。その威力はコンクリートを粉砕することのできる威力を持っており、そんなものが人体に当たったならば、その光景は言葉にするのにも憚られる惨状になってしまうだろう。)
>>15 姫宮様