(群衆を本気で手に掛けるつもりでいたが、それはあくまで標的を呼び寄せるための手段。だから常に周囲には気を張り巡らせていた。特にあの水溜りの様なものには。だから背後に気配を感じた時足を止め、直様その気配の方へと向き直った。思ッタヨリモ近クにイヤガルッッ。と首へと迫る斧の軌道見ながら思ったものの、ダガ関係ネェッ、コノ首ガ飛ブヨリ早クコッチの一撃ヲ決メリャァソレデ終イダァッ!と、構わずツルハシを振り下ろす。首に喰い込んだ斧の一撃は切断するのに十分な威力を持っていたが、太い首は容易には断ち切れず。また、斬撃を放った際の僅かな迷いがよりツルハシの切っ先が綴の身体に届く可能性を上げてしまっていた。オレノ勝チダァッッッ。そんな確信があった。だがほんの一瞬、身体が止まる。それは本当に僅かなモノだったが、この局面ではその僅かさで十分だった。化物の首が飛ぶ。クソガキガァァァアアアアッッッ!!!化物はそう叫ぼうとしてだが叫べなかった。黒いモヤになって顔が崩れていく。残った身体の方も黒いモヤになり崩れていく。中から璃乃が引きずり出され地面に力なく倒れると、崩れたモヤが身体に戻っていく。ウウ…と呻き声を上げながら腕を使って上体を持ち上げ座り込むと。)
お姉さん…ごめんなさい…。
(それ以上はなんと言っていいかわからない様子で、うなだれながら力なく呟いた。)
>>22 姫宮様
( 死んだ、そう思ったのは攻撃の一瞬が嫌に長く感じられ、且つ自分が冷静に居られたからかもしれない。斧に入った僅かな亀裂、目前に迫るツルハシと表情こそ見えないものの、何処か勝利を確信したような敵の姿。私は最後まで戦うぞ、そんな意味を込めて力を入れ続ければ何が起こったのか、敵の首は落ちていて。自分で状況が分かっていないのか、一言も発せずに暫し呆然と立ち尽くしては横たわる敵を見つめ。崩れゆく黒いモヤと、合わせるように溶けていく斧。ふら、とよろめくも踏ん張り。)
終わっ 、た … ?
( そうぽつりと呟いたタイミングで、少女の声が聞こえて。項垂れた様子に、外傷はなくともかなり負荷が掛かっているような気がして。力ない呟きに、どうやら異能が暴走してしまったと判断したらしく。周囲への被害は不思議と少ないが、移動させてしまった人達を戻すことや、少女の体調を考えては 今何を最優先にすればいいのかしら なんて思考がぐるぐると追い付かず。そんな自分への苦笑もあるが、少女の安否が確認できた安堵やなんとも唐突で迫力ある体験への驚きに、思わず笑みが溢れて。再び少女と目線を合わせるように座り込めば、その頭を撫でようと手を伸ばしつつ。)
…… ふふ 、ちゃんと謝れて偉いですよ 。お互い吃驚しちゃいましたね 。大きな傷は見られませんが …… 体は大丈夫ですか ?
>>23 阿笠さん