>>78 ▽ クリフさん
あら、難しいことを考えるのね
( 彼の口から漏れた言葉に反応して、僅かに視線を上げる。くすくすと笑い声を漏らせば思ったままに口にして。何を生きる道とするべきか、かぁ。この方は今まで何を自分の道としてきたのかしら。…兎に角、その道を変える必要は無いと思ったらしく。無理に別の道を選んだとしても、それは苦しくなるだけなのではないかしら。例えば、私がこの人の生きる道に憧れたとして、真似たところで上手くいく気はしない。ほら、百合が薔薇になりたいからって頑張っても、難しいでしょう。百合には百合の、薔薇には薔薇の生き方があるもの。)
するべき、っていうのは何だか違う気がするわ。自然と歩んできたそれが、生きる道になっているんじゃないかしら
「成程な……、過去の堆積が今の吾を
作り出した事、それも事実に相違は無い。
そして、同じものを同じ様に繋げば、
それは歪み無き一筋の道となる、という事か。」
(相手の返す言葉を聞き、思考の内で咀嚼し、
理解の域に達した男は、感嘆の情を見せる。)
「だが……今しがたのその言葉で、
どうやら吾には一つの結論に辿り着いた。」
(脳内で複雑に組み上げられた思考の回路。
魔術師の反乱、王国の抑圧、国の有り様、
そして、工業技術の発達による情勢の変遷。
それらから、男は1つの答えを出した。)
「遥か昔からこの世界の中で、人類は、
国を築き、国と国が争い、勝者が栄華を誇り、
敗者が苦しみを背負う。その繰り返しだった。
だが、この国で起こり始めている『変化』、
吾は……。吾はこの『変化』を受け容れる事が、
この世界に可能性を齎すと考えている。
そして、戦いに生きてきた吾に出来る事……、
それは、魔術師と王国の争いを止める事だ。」
(産業革命。世にそう呼ばれる新たな波。
それは人類にとって大きな飛躍になる。
男はそれを確信していた。しかしその中で、
国王が姿を消してしまった事は重大な問題。
その為に魔術師は不信から反乱を企てている。
ならば、その反乱を止める事こそ最善の道。
男は、その様な結論に到達していた。)
>>81 リリィ