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氷華
「貴方こそ察しが悪いわね?今更私が私情に駆られるほど腑抜けていると思っていたの?私は私の信じる正義のために多くのモノを捧げてきたし、立ちはだかるものは全て潰し来た。」
氷華は再び視線を暗闇へ戻すと、そのまま足場としている氷塊を浮遊させ、緋染から離れて行く……人間の頃の情はとうに捨てた、自分はあくまでも八咫烏の"金鵄"であり、正義の執行者。過去に対する執着やしがらみなど存在しないと断言する。
氷華
「……例えそれが肉親であろうと変わりはない。
下らないことに力を使う暇があるのなら、一人でも多くのファーストの者を潰して成果を残すこと。それが出来なければ……貴方の居場所は八咫烏から無くなるでしょうね。」
氷華は去り際に、これ以上遊ぶだけで成果を残さないと言うのならば、八咫烏内において彼の居場所は無くなると警告する。そして……影の組織から脱退すると言うことは"死"を意味している。
氷華はその持ち前の戦闘センスと異能によって経験や知識の差を埋め、僅か2年で金鵄にまで登り詰めた事からもわかるように、良くも悪くも実力至上主義者であり、成果を出せず、まともに戦う覚悟も気概も無い者を生かしておくつもりは最初から無い……
悠矢「・・・・・仕方が無い、これはまた、別の機会にとっておくか・・・・・」
タンッ・・・・・!
(氷華に対して、これ以上何を言ったところで自分の身が危うくなるだけで何も得しないと察した悠矢は、小瓶をスーツの内ポケットにしまうと、地面をタンッと強く蹴って氷華の乗っている氷塊へと飛び移る・・・・・
悠矢からすれば、送迎用の乗り物的な感じなのだろう・・・・・)
【本部にて】
桜空「げほっ・・・・・お、おーい・・・・・誰かいるかー・・・・・」
(片腕を押さえながら、吐血混じりの咳をしながら、ファーストのボスである桜空が本拠地へと戻ってくる・・・・・
ただでさえ片目は視力を失っているのに、戦いのダメージで視界がぼんやりとする今の桜空は、暗闇を歩く雛鳥も同然、かなり弱っているのが声の張り方だけでもわかるほどだ・・・・・)
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