>>286
氷華
「……それを悪と呼ぶのなら……私は大悪党になるわね。」
かつて両親や弟が襲われている頃……
自分は惨劇が起こる事を知らず、弟の誕生日のために街へ買い物のために出掛けていた……もし、惨劇が起こると知っていればこの命をかけてでも戦っていたのに……
強く生まれたにも関わらず、自分は守るための戦いすら出来なかった。帰った頃には既に両親は殺害され、弟の消息もわからなくなっていた……家を襲った強盗達は仲間割れを起こしたのか、二人死亡していたものの、弟の生存も絶望的な状態だ……
夕渚の言葉から自分に近い境遇をしてきたのだと知ると、氷華は憎悪と憤怒の感情を再び瞳の奥に隠し、氷の瞳に戻すと夕渚の方へ振り返り、守れるだけの力がありながら、その戦いすら出来なかった無力と無能の極みだった自分は悪どころか大悪党になるだろうと応える。
夕渚「・・・・・でも・・・・・あなたは今、悪人を裁く正義になっているんでしょう・・・・・なら、大悪党ではないですよ・・・・・」
(震える声で、過去を悔いても悔いても悔いきれない罪だとするならば、その過去を力に変えて今悪を裁くことで償っている、正義になっている氷華は、大悪党なんかではないと言葉を返す・・・・・
声に力がこもらない・・・・・)
>>287