>>526
>>536
蟲鴉
「ダンゴムシ……ダンゴムシが転がって来る……」
蟲鴉は左右の目をギョロギョロと動かしながら、中川が生成して撃ち出した2mもの鉄球に対し、背後に控えていた八匹もの蝗が飛び掛かり、元の蝗の時点で強靭だった脚が巨大化した事で更に増大した脚力を活かして鉄球を押し返そうとする。
更に、追撃として、鉄球を押し返そうとするだけでなく、仮に押し返せなかった場合も考えて鉄球と天井の間にある1-2mの隙間を三匹の蝗達が飛び越えて二人を喰らおうと襲い掛からせる……
>>537、538
「チッ……」
(存外統率が取れてる上に、割と器用な芸当もこなすか)
醜悪な外見に反して、その戦闘スタイルは高いレベルで洗練されていた。
やはり彼もまた、幹部クラスの能力者らしい。
「でも、よぉ!!」
だからといって諦観するような柄ではない。止められた鉄球に両手を当て操作。
鉄球の表面から、海栗(ウニ)よろしく無数のトゲが突き出す。無論、自分には当たらないよう調整してだ。飛び上がってきた個体に対しては、頭上に金属板を形成しその場を凌ぐ。
「悪手だったなぁ、マッチョマン?」
わざわざそちらから密集、それも大半は鉄球に体を押し付けてくれるのだから、手間が省けるというもの。
(これでサクッと終わってくれりゃ、肩の荷が降りるんだがなぁ……)
何故だか、この程度ではまだまだ終わらないという嫌な胸騒ぎを覚えた。そして、経験上この手の予感が外れたことはない。