>>527
(あー……やっぱりな)
案の定、か。
さも当然の権利のように物理無効ですか。
深くため息をつきそうになるが気合いで堪える。
「まあいい、逃げることさえできりゃ何とかな……っとぉ!?」
正面へ向き直った瞬間、飛び込んできた光景に驚く。
「うっ……げえぇ〜、いやもうぶっ飛び過ぎてて語彙力無くすわ」
相手が能力者という点を差し引いてもなお異様な絵面だった。さしもの隆次もひきつった笑顔しかできない。
その直後、紀から提案がくる。
「……わかったよ、けど生き残る自信はあるのかい?」
先程と同じく拒否しようかと考えたが、彼女の強い意思を尊重することにした。
「そぉ〜ら、よっと!」
そして直径2mほどの巨大な鉄球を作り出し、虫の男に向かって勢いよく蹴ることで転がした。
勝手に進んでくれる大盾の出来上がりだ。
「どいて貰うぜぇ、マッチョマン!」
その後を追うように走ることで前方への攻防一体を成す。
いくら男や蝗が大柄といっても、こんな代物は容易に受け止められないだろう。
(さて、なるべく急いでくれよ、旦那……!)
もう少し経てば狼谷達の援軍が到着する筈、それまで何としても粘らなくては。
>>536
蟲鴉
「ダンゴムシ……ダンゴムシが転がって来る……」
蟲鴉は左右の目をギョロギョロと動かしながら、中川が生成して撃ち出した2mもの鉄球に対し、背後に控えていた八匹もの蝗が飛び掛かり、元の蝗の時点で強靭だった脚が巨大化した事で更に増大した脚力を活かして鉄球を押し返そうとする。
更に、追撃として、鉄球を押し返そうとするだけでなく、仮に押し返せなかった場合も考えて鉄球と天井の間にある1-2mの隙間を三匹の蝗達が飛び越えて二人を喰らおうと襲い掛からせる……
スッ・・・・・
桜空「うるせぇよ・・・・・」
ドゴォッ!!!!!
(桜空は、これを受けたら本当にやばいと直感したのか、急に動きが鋭くなり、相手の右ストレートをギリギリで避けると、そのまま相手の腹部へと全力の一撃をめり込ませる・・・・・
ここまでボロボロになってもまだこんなに戦えるというのは、火事場の馬鹿力、というやつだろうか・・・・・)
紀「馬鹿も休み休み言っていただきたい、私がこの程度の下等な奴ら相手に死ぬとでも?」
(キッと中川を睨みつけては、自分がこの程度の敵相手に死ぬとでも思っているのかと反論する・・・・・
生き残れるかどうかではない、勝つ、ただそれのみ・・・・・
「貴方の相手は私がしましょう、その虫けら共々文字通り虫の息にして差し上げますよ・・・・・?」
紀は、蝗の猛攻を避けると、そのまま蟲鴉に上記を述べる・・・・・)
>>536、537