>>619
《カコンッ》
剱鴉
「不意討ちとは随分とつまらない真似をする。」
背後にて、自然に起こることのない異音が聞こえると、即座にそれが他者による背面からの奇襲である事を察知し、振り返り際に大太刀をしまったまま鞘によって形成されたナイフを中川に向けて弾き返して対処しようとする。
剱鴉にはこれまでの蟲鴉や水鴉のような油断や慢心は何処にも無く、常に冷静に周囲の状況を分析し、攻撃に備えている彼女には一瞬の隙も無く、奇襲や不意討ちと言ったものは剱鴉には通じないだろう……
まともに戦おうとすれば全滅する…
不意討ちや奇襲も通じない…
逃げようにも唯一の出入口は剱鴉の後ろ…
剱鴉
「姑息な真似が出来ないように退路も絶たせてもらう。」
《ヒュカカカッ》
剱鴉の右手と、彼女が背負った大太刀が一瞬だけ激しくブレたと思いきや、その次の瞬間に三人が通って来た大穴の天井部分が切り裂かれ、人工建材によって作られたコンクリート塊や合金の鉄骨や鉄板が落下して退路を塞いでしまう……
大穴へ戻ってこの場から離脱すると言う策さえも潰そうとする。加えて、剱鴉が見せた攻撃の速度や攻撃範囲は明らかに人間の域を超えており、刻一刻と状況は絶望的なものへ変わってしまっていく……
だが、桜空は相手の異能を打ち消す鉄甲があるため、これを使って剱鴉の後ろにある扉を通って外へ脱出すればそのまま桜空の異能でアジトへ帰ることが出来るだろう。
問題はそれを剱鴉が大人しくさせてくれるかどうかだ……
桜空「ふざけんな!!!!!てめぇの状態よく見ていいやがれ!!!!!そんなボロクソの状態で何ができんだ!?言ってみろ!!!!!次まだ同じようなこと言ったらぶっ飛ばすからな!!!!!」
(桜空さは狼谷の自分の命を投げ出してでも自分達を守ろうとする行動に怒りを顕にして怒鳴りつける・・・・・
過去の大切な人と重なる部分があるからか、桜空は尚のこと狼谷を置いて逃げるだなんて考えられないのだろう・・・・・
桜空は怒鳴っているが、同時に少し涙目になっているようにも見える・・・・・)
桜空「・・・・・中川、紀と中川を頼んだぞ、こいつは俺が対処する・・・・・」
(中川の不意打ちも不発に終わり、紀は意識不明、狼谷は片腕切断の重症、となれば今異能を打ち消すことが出来る鉄甲を付けた自分が戦い、狼谷と紀の二人のことは中川に任せた方が最善の策だろう・・・・・
桜空は、剱鴉に立ち向かう決意をする・・・・・)
>>619
桜空「・・・・・お前の相手は俺だ、他の奴らには手を出すな」
(桜空は、剱鴉の顔を見ると、仲間達には手を出さないという条件を叩きつけ、お前の相手は俺だと告げる・・・・・
正直、相手から見たら桜空程度、ただの生意気なクソガキほどにしか見えないだろうし、鉄甲を付けていたとしてもそれでも純粋な戦闘力に大きな差があると思われるが、それでも桜空は怯むことなく立ち向かう・・・・・)
>>620
>>620、626
返されたナイフを減速させ、側面を摘まむように受け止める。
「ちぇー、割と頭捻って考えた策なのによ」
内心の焦りを悟られない為、わざとらしい位に軽口を叩く。
(わかっちゃいたが……こいつ、口だけじゃねえ)
『本物』だ。達人だとか超人だとか呼ばれる類いの。
顔色一つ変えずに対応されたとなると。小手先は通用しないと断じていい。
格の違いは明確、その上で遊び無しで潰しにくる。
(今回ばかりは、お手上げかねぇ)
太刀筋も全く見えないときた。ここらが年貢の納め時となるか。
桜空と狼谷については、どうやら桜空が戦う方針になったようだ。
「了解です大将、二人のことは任せて下さい」
紀と狼谷を守って欲しいという命令を聞き入れ、動けない紀を鎖で巻き付け、部屋の隅まで運んだ。
(忘れないで下さいよ大将、仲間が死んだら嫌なのは、なにもあんただけじゃないんだぜ?)
怯むことなく立ち向かう彼の背中を見て、祈る。
祈ったところで何も変わらないかもしれない。だが、そうせずにはいられなかった。
「さ、旦那も下がってくれ。五体満足かつ二人がかりなら、まだ幾らか希望はある」
最低限の勧告を終え、自身も前へ出る。
「おっとお嬢ちゃん、俺とも遊んでくれよ?」
言いながら、パチンコ玉指弾を放つ。