>>653
瀕死に陥った狼谷を見て、駄目だと知りつつも焦ってしまう。
「チッ……嫌な手を使いやがる。昔やったゲームで見たことあるぜ」
眉間に皺を寄せ、嫌悪感を露(あらわ)にする。
わざと一発で仕留めず、他の敵を炙り出すために重傷を与える。プロのやり方だ。
「けど、あんたらの思い通りにはいかねえよ!」
すぐに不敵な笑みに切り替え、狼谷の大腿部に先程と同じく、針金で止血を行う。流石に輸血などは不可能だが、これで少しでも猶予は伸びるだろう。
「旦那、もう少しだけ踏ん張ってくれ……!」
そして桜空の肩へ触れる。すんでのところで転送が間に合い、漸く脱出に成功したのだった。
>>657
狼谷
「ぐおぉぉぉぉぉぉ……!!
痛ッ……死ぬ程痛てぇ……!」
桜空が転移した事で窮地を脱した。
狼谷が率いていた攻撃部隊の内の半数と、潜入部隊の全滅と言うように、ファーストと言う組織が深傷を負う事になってしまったものの、四人は生還する事が出来た……
また、狼谷が殿を勤めた事で攻撃部隊の半数は剱鴉から逃れることにも成功している。
中川が傷口を縫う際に、傷口を通る針に激痛を感じつつも、何時もながらの軽い皮肉を口にする辺り、一先ずは一命を取り留める事に成功したものの、それがどのぐらいの延命になるかはわからない……
剱鴉
「腐った正義……か。
私達をそうしたのはお前達の秩序への無関心からだと言うのに……
愚かな……」
四人の去った後、体に付いた土埃を払いながら、桜空が残した言葉に対する答えのようなものを呟くものの、その真意は現状では伺い知れない……
何が正義で何が悪なのか……
八咫烏との死闘はその答えを探すための試練なのかもしれない……
桜空「・・・・・中川、紀、狼谷・・・・・すまなかった・・・・・」
(桜空は、転送が無事に済みアジトへと帰還すると、すまなかったと言い土下座をする・・・・・
今回の件で、攻撃部隊や潜入部隊に徹したメンバーの多くが命を落としたことや、生き残ったメンバーを危険に晒してしまったのは、すべて自分の責任だ、償おうとしても償い切れない・・・・・)
>>657、658