>>28
氷華
「……遺言の一つも聞かないほど情の無い人間になるつもりはないわ。言ってみなさい……」
既に勝敗は決まった。
このまま周囲の冷気を操って彼の体を凍らせる事で絶命させることが可能である事実と、唯一の肉親である彼へ微かに残った人として……いや、姉としての情が彼の最後の頼みへ耳を傾けている。
桜空「・・・・・抱きしめてくれ・・・・・」
(桜空はたった一言、シンプルな言葉を告げる・・・・・
長い年月、二人の間に出来た溝が、より一層この言葉をのしかからせる・・・・・)
桜空にとって、唯一残った家族に抱きしめられることが最後の願い・・・・・)
>>29