15.初めての手料理
私は結局李斗と一緒に寝てから朝までずっと二人でいた。
最後の夜じゃあないんだけどね、今日出発するから李斗のために朝食は自分で作って見送りたいなぁってと寝服から私服に着替えた。
「李斗がまた寝ている間に朝食を作ろう」
李斗を見てみると私はベッドで寝ていたからわかんないけど、李斗転げ落ちて落下したのかな……?
「それとも私を優先してベッドの下で………?」
何とも言えないベッドに顔を置いて伏せて寝ているから静かにボソッと言った。
そして静かに忍び足で部屋から出てキッチンに行って色んな調理器具に食材に調味料を出してみた。
「えっ…と,トーストとご飯だったらどっちなのかな?」
ガチャガチャと音がしながらも徹底的に考えた。
何を作ろうかな李斗の好物を作りたいけどあんまり料理の腕前が低いため,私が今作っている料理がスクランブルエッグとベーコンエッグ焼きにトーストと野菜サラダを作れるから頑張って野菜を切っている。
卵も割って卵焼き器を使いスクランブルエッグをかき混ぜて一品出来た。
「恋歌……朝早くから何をしているの……」
音で気付いたのかなお母様がキッチンから覗いてきた。
お母様はまだ入退の繰返しが続いたから少しは良くなったのかな?
「お母様!?」
私はベーコンエッグの下準備だけやってお母様のいる方向に歩いて私のスクランブルエッグの味見をお母様にしてもらった。
「ベーコンエッグも作るの恋歌?」
「うんっ!,李斗が喜んでくれるのかが不安だけどね……」
私はお母様に言いながら話して、お箸を口の方に持っていたお母様に味見の感想を聞いてみた。
「どうかな?,味見の方は」
「とっても美味しいわ恋歌」
「本当、お母様早くベーコンエッグも焼くね」
美味しいの言葉で嬉しさがあって野菜サラダも盛り付けて二品に三品が出来上がりキッチンから出てダイビングに向かった。
ダイビングにはもう李斗が座っていて私の手料理を見つめた。
「これ全部朝食を作ったの,もしかして恋歌か?」
「うん……嫌だったらゴメン…」
そう言って一口李斗が食べて,また一口食べながら美味しいって言ってくれて嬉しさが溢れてきた。
私の趣味が手料理になっても良いって思い始めて大好きになったのも事実だから、もっと上手くやれる様な手料理を作りたいな。
>>42の続きを書きます。
李斗が口に運ぶ事で味は,良いのか悪いのかなって思い拝みながら全部の手料理を食べた李斗が言う。
「…うん、全部美味しいし良い感じだと思いますお嬢様…」
また私をお嬢様と言ったけれど、今日が最後だから許してあげても良いって思った。
「ありがと、李斗……私なりの感謝だよ?」
ちょっと首を傾けて言い、私も朝食を食べて旨いけど美味しいって感じはあんまりしない……
私は李斗がなんで[美味しくない]って言わなかったんだろうかって思うし、私のためだったら嫌って思った。
「李斗は嘘つきだね……」
「えっ、恋歌お嬢様……どういう意味…?」
「あっ,そうだ私フルーツも切らないといけないんだった!」
私の言葉に李斗が何かを言ったって感じだったんだろうけれど、私は動揺に戸惑いを隠せれなかった。
「ちょっ,お嬢様フルーツは要らない……行っちゃた」
そう無視してキッチンに走って行き揺れ動く恋の涙が溢れていきそうになってくる。