「周りがお嬢様お嬢様言うても、春菜はうちに、普通に接してくれた。跡取りとして完璧になるための歌声も、
笑顔で褒めてくれた」
―――だって……さっきの歌、すっごく声がきれいで、先生もびっくりするくらいだもん。
そんな人に習いたいなぁって
褒めすぎた。って、あのときは思った。
でも、まやさんにとっては、すごく嬉しかったんだ……
「自分のしてきたことに、もっと別の使い方があるんやないかって思い始めたんよ」
「……別の使いみち?言うてみ」
まやさんのお父さんは、真剣な顔でまやさんを見ている。
「お嬢様としてじゃなく、一人の女の子として、自分の歌で人を笑顔にしたい!……アイドル目指したいんや!」
「まやさん……!?」
アイドルを目指したい……まやさんの口から、すごいことが言い放たれた。