「あ、黒瀬君も来てたんだ」
私は動揺を隠すため、努めて冷徹に言い放った。
「う、うん。奏と来てて。今『Pick flowers』って言ってはぐれちゃったところだよ」
「それ動かない方が良いやつ……それで? 別れたのはどこ?」
「僕たちはまだカップルだよ?」
「そうじゃなくて……」
なんで伝わらないかなぁ。もしかして、バカなの? 前の会話から奏と別れた場所を聞いてるんだけど、伝わってない? それとさりげなく『奏』って言ってたよね。
いや本当はわかっててボケてるんでしょ? ……首を傾げてる当たり本当にわかってなさそうなんだけど。もしかして、本当に、黒瀬君って、ポンコツ?
「とにかく、奏と別れたところまで戻りなって」
別れてからどれくらい時間が経っているのかは知らなけど、一応戻った方が良いと思う。そのつもりで言ったんだけど……
「ごめん。それはできない」
黒瀬君から放たれたその言葉に、私は言葉を失った。真剣な表情で帰ることを拒否……? 黒瀬君は一体何を考えて……?
黒瀬君の言葉はそこで終わっておらず、次の発言を聞いた瞬間、私は絶句した。開いた口がふさがらない、とはまさにこの事だろう。もし金魚のモノマネグランプリがあったらぶっちぎりで優勝できそうなほど口をパクパク開閉させる。
「だって僕、迷子だもん☆彡」
中学生にもなって遊園地で迷子とか貴様本当に何者だ! 奏が可哀そうだろ! てか連絡先くらい交換しとけ!
黒瀬編
>>24「自分の幸せか、親友の気持ち……それは、僕には決められない。僕なら、両方得る道を探し出す。どれくらい時間がかかろうと」
黒瀬君・・最初は良いやつだったじゃないか・・
>>459「だって僕、迷子だもん☆彡」