「ねえねえ美夜月さん!算数難しくなかったの?」
算数の授業が終わり、5分休憩に入った。
次は、国語ということを予定表で確認して、教科書を取り出すところだった。
「前の学校ではね、ここまで進んでたんだよ!早いってよく言われてさ〜!成績までいいって言われたんだよね〜」
そう言ってしまいかけの算数の教科書を引っ張り出し、130ページを指差す。
確かに120ページは苦戦したけど、テストのためにしっかり復習してたから、バッチリになった。
「…は、早いね」
私は、想像と違うその子の反応に、少し驚いた。
苦笑いしていて、黒板の方に走っていった。友達がいるようだ。
「……なんかしたっけ……私……」
もし、この出来事が原因で省かれるようなことになったら、転校失敗だ。
誰か、友達作らないと、守ってくれない。
私は、そう決めていた。なのに、何で作ろうとしなかったのだろう。
ここまでプロローグ(のつもり)です
本編に入っていきます
「ねえ。最近みよ帰るの早いよね」
「ほんと。無視されてキレてたり?」
「ま、美姫(みき)に自慢したもんねー」
帰りの会も終わり、ランドセルを背負った時、そう聞こえた。
どうやら、クラスの女子の一部が固まって話しているようだ。
……私を嘲笑っている。
後に分かったことだが、私が自慢…と、思っていなかったが、それを(>>8参照)言ってしまった子こそが、クラスのリーダー。
朝木 美姫(あさき みき)だ。
あっという間に噂が広がり、無視される日々。
でも、私は気にしないのだ。
だって、私には味方がいる。欟はもちろんだけど、涼(りょう)君。
学校で一二を争うほどのモテ男子。優しくて、私の前の席。
無視されたときに涼君がいたら必ず注意してくれる。
無視するのは女子だから、聞いてくれる。
私は、涼君に恋的な好きって言う感じじゃないけど、感謝してる。
そして、私は嘲笑う声を無視して、教室を飛び出した。
早く帰って、やらないといけないことがある。