「ヒナター!!」
どうして朝からこんな元気な声を出せるのだろう、と疑問に思いながら、その声の持ち主の方へと目を向ける。
しかも、発音違うし……
『ひなたぼっこ』の方の発音なのに、『小日向』とかの方の発音になっている。
まあ、そんなことは別にいいけど。
クラスのみんなは、光と私の仲がいいことに慣れてくれているっぽい。
だから、光が私を大きな声で呼ぶのにも特に疑問は抱いてないそうだ。
光は昔から、私のことを苗字で呼ぶのだ。
ヒナタ──、『日向』は私の苗字。
下の名前は、『雨月』で『れむ』と読む。
『珍しい読み方だね』
という言葉も、随分と言われ慣れている。
なぜ『雨月』で『れむ』と読むのか気になって、お母さんに訪ねてみたことがあった。
『雨』は英語で『レイニー』、『月』は『ムーン』。
2つの頭文字を取って、
“れむ”だそうだ。
だけど、光は私のことをヒナタと呼ぶ。
私は未だにその理由を聞けていない。
「ヒナター?」
気づくと、目の前には首を傾げた光がいた。
「…おはよ」
夢の中に出てきた光と姿が重なり、うまく笑えなかった。
光はそんな私を不思議そうに見つめながら、口を開いた。
「ヒナタって、ほんと綺麗な顔してるよね」
お世辞にも程があるだろう。
「もう……光は冗談ばっか言うんだから」
光はいつも私をからかう。
「ね?イブ」
窓にもたれかかっていた依吹に声をかける。
「んー…事実だったりして?」
少し首を傾げてから、いたずらっぽく笑った。
「はいはい」と頭を撫でてやると、依吹は頬をほころばせた。
まるで仔猫のようだ。
「ヒナタは可愛いよ、少なくとも俺は思う」
くひひ、と笑う光は、窓からこぼれる太陽の光に照らされてすごく眩しかった。
「……嘘つき」
と呆れた素振りを見せ、そっぽを向いた。
ほんとは少し嬉しかったなんて、言えない。
時雨さん、こんばんは。猫又と申します。
その夜、雨が降る。ここまで読ませていただきました。
読んでの感想としては、1つ1つの文章力やストーリー構成は素晴らしいものの、
やはり情景描写の不足が目につきました。
全体を通して、「いつ」のことなのかわからない部分が多いこともそうですが、
人物の描写に関しても、光の性別が >>4 の「俺」という発言で初めてわかるなど、
ちょっと全体的に説明不足かなと個人的に思いました。
物語を書いているとつい自分が分かっているので説明をはぶき読者に伝わらない現象が起こります。
なので「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どうのように」「どうしたのか」
特に「いつ」「どこで」「だれが」の入れ方について、少しアドバイスさせていただきます。
〇「いつ」
これが無くなると物語が進んでいるのか戻っているのか分からなくなるので
シーンが移り変わるときに書かなくてはいけません。
「放課後の騒がしい時間」とか「朝の登校時間」
隠したいときには「いつか分からない」とかでもいいので、
書いておくと読者は安心します。
とりあえず、時間が変わったら書いておくことをお勧めします。
〇どこで
キャラクターたちがいる場所が変わったら書きましょう。
詳しく書く必要がないなら、
「『通学路』。私と〇〇は話しながら帰る」
とかでも大丈夫です。
物語は読者の脳内で進みます。
場所が変わったらきちんとお知らせしてイメージさせましょう。
〇だれが・どのように
だれがやったのか、主語が抜けてしまうと伝わらないのはもちろんですが、
初登場時に「だれの詳しい説明」(性別もそうですが、服装や表情などの第一印象の説明)のないキャラは読者をおおいに混乱させます。
第一印象は大切です。いつのまにか居た。みたいな書き方はしない方がキャラが立つと思います。
と長々書いてきましたが、
要するに、自分の頭の中にある物語をそのまま読者に伝えるのはテクニックがいるというお話です。
すぐに習得するのは難しいので、まずは「自分の物語を全く知らない人が見る」ということを意識して書いてみましょう。
表情やしぐさなど人物への文才は十分に感じる作品でしたので、
あとは説明するタイミングを少し考えてみるといいと思いました。
個人的な意見ですが、何か参考になればうれしいです。それでは〜