「御伽語 夜共浦」
細波白立つ
青の海
其処に似合わぬ
亀苛めの餓鬼達
のろまだ 蹴ってやる
痛みに耐え
助けを願い
現れは
腰簑履きし
釣青年
金で餓鬼釣り
亀助けん
助けた亀に
連れられて
向かいた先は
海底に在りし
絵不描なる
美しき竜宮城
迎えたるは
竜宮の姫君
暫く居なさい
この城に
貴方に退屈
させません
昼の時も
夜の時も
昼は魚が
舞い踊り
夜は
体の遊戯を
致しましょう
楽し時を
過ごし続けて
幾星霜
帰りに
渡された
玉手箱
海から
久しく
地を踏みしめ
母の元へと
急ぎたるも
母は亡し
村の者達は云う
放蕩息子の
お帰りだ
お前の母は
帰りをずっと
待ち続けた
出ていけ
親不孝者が
さ迷う青年
箱を開けるも
僅かな飾り物
時が経ちて
砂浜を
虚ろに歩く
一人の翁
翁は
探し続ける
亀よ
出てきてくれ
其して私を
もう一度
あの場所へと
第七部
『焼豚』(三匹の子豚)
>>125
『文字館 弧ノ主』
>>142
『御伽語 夜共浦』