ふらりふらりと歩く猫
目の前には不思議な館
中は不思議な光景
文字が宙を漂っている
ゆらり ゆらり
ふより ふより
まるで海月の様だ
中に入ったら
さっさと閉めてくれ
文字が鳥になって逃げてしまうから
館の主は云う
文字が友だと
館の主は云う
人が信じられないと
猫は問いかける
他に誰もいないのか
宙に漂う文字と君以外に
>>32の続き
館の主は答える
いる訳がない
此処にあるのは
文字と
私と
そしてお前だ
猫は問いかけた
してはならない
禁忌の問いかけを
君は寂しいのか
それとも満足か
存在するだけで何も意味をなさない
文字が
友達で
館の主は
猫を見つめたまま
黙りこくる
猫は続ける
黙りこくらないで
答えてよ
早く
早く
孤独な館の主様とやら
(作者より)
>>32−>>33−>>35の題名は
「文字館 好奇猫」
>>73−>>74−>>75の題名は
「文字館 愚ノ冒険者」
“しりぃず”みたいな物ですね
第弐部
>>32>>33 『文字館 好奇猫』
>>37>>38
『七人岬 罪数』
>>42
『御伽語 何方葛』(舌切雀)