>>12 . ❁¨̮ 芹斗くん
うわ!ごめん! すぐ置いてきます!!
( ご指摘のあった利き手のそれと目を見合わせ、今にも落ちそうな雫を輪郭に保つ様を確認しては肩を大きく跳ねさせて上記をまたやかましく。 廊下は再び走ってしまうのだが 緊急事態だからきっと許されるであろう…、ぴゃーっと台所から戻ってくれば、空いたはずの手にはまた何か握られていて。 )
裏庭の大きな木、リンゴの木だったんだよ〜! 後で一緒に採りに行こ!
( 走ってきたことで上気した自身の頬の隣に、その手の赤い実を並べてみせては宝物を見つけた子供のような笑顔で。且つ宝探しの同行を求めては にひひと歯を見せたまま相手の顔の高さに合わせてしゃがみ。共に喜んでくれるだろうかと、少しだけ様子伺うように瞬き繰り返し顔見つめ。 )
_あ、あァ……
( 来たときと同じようなやかましさと速さで出ていった訪問者に、一瞬事態に思考が追い付かず呆然と宙を見つめて、誰もいない空間に向かって弱々しい言葉を返す。しかしまあ、こんなことは日常茶飯事。すぐに気持ちを切り替えると、彼の廊下をつっ走る音にちょっと眉潜めながらも落ちた液体がないかしゃがんで確かめ、被害は何もなさそうだと感じるとほっとしたように一歩下がり。 / と、ずっと遠ざかっていた足音が近付いてくる。ぱっと障子の方見やり耳を立てて鼻を利かせると、いつもの足音に、何処かで嗅いだような甘い香り。やがてやって来たその原因に、睨むようにそっと目を凝らすと、嬉しそうな彼の顔と、甘い香りの果実。ぱっと表情を明るく。確か、あれなら幾度か口にしたことがある。ふわりと広がるみずみずしい香りと、とろけるような美味しさ。何ヵ月も前の記憶を思い出し、思わず頬緩めて果実の名前を発する。しかし、照れたのか直ぐにいつもの不機嫌そうな顔をしてぎゃんぎゃんと。どうやら行くことは行くらしい )
り、んご……ッ、勘違いすンなよ、! お前が行きたいから行くだけだかンな!!
>>13 科邉