_あ、あァ……
( 来たときと同じようなやかましさと速さで出ていった訪問者に、一瞬事態に思考が追い付かず呆然と宙を見つめて、誰もいない空間に向かって弱々しい言葉を返す。しかしまあ、こんなことは日常茶飯事。すぐに気持ちを切り替えると、彼の廊下をつっ走る音にちょっと眉潜めながらも落ちた液体がないかしゃがんで確かめ、被害は何もなさそうだと感じるとほっとしたように一歩下がり。 / と、ずっと遠ざかっていた足音が近付いてくる。ぱっと障子の方見やり耳を立てて鼻を利かせると、いつもの足音に、何処かで嗅いだような甘い香り。やがてやって来たその原因に、睨むようにそっと目を凝らすと、嬉しそうな彼の顔と、甘い香りの果実。ぱっと表情を明るく。確か、あれなら幾度か口にしたことがある。ふわりと広がるみずみずしい香りと、とろけるような美味しさ。何ヵ月も前の記憶を思い出し、思わず頬緩めて果実の名前を発する。しかし、照れたのか直ぐにいつもの不機嫌そうな顔をしてぎゃんぎゃんと。どうやら行くことは行くらしい )
り、んご……ッ、勘違いすンなよ、! お前が行きたいから行くだけだかンな!!
>>13 科邉
>>14 . ❁¨̮ 芹斗くん
… 芹斗くん、りんご好きなんだね
( 相手が一瞬見せた頬の綻びを見逃さず。すぐに眉間に皺寄せてそっぽ向いてしまう彼には構わず、先の表情に釣られるようにへら〜と口角を上げれば、好奇心から確認をぽつり 独り言のように。 答えがイエスなのは自身の中でわかりきっているため、ひとつ見つけた共通点に一人で嬉しくなっては にまにまと満足げにしながら立ち上がって。 解いた三角巾の清潔な面で手の果実を磨きながら、障子の方を向いてから振り返ると下記、かなり上機嫌に。伝えてから部屋を後にし、今度はゆっくりと廊下を歩いて行って。 )
じゃ、りんご狩りにいくには腹ごしらえしないと! 先に待ってるね〜