君に、愛の言霊を――、

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2:遥姫 ◆ml2:2015/09/02(水) 21:56 ID:NrY


 名前を、  【 学園アリス / なつみかん 】



――棗、

 目の前の、少女は寂しそうに笑って自分の名前を呼んだ。
 蜜柑、と口を動かしたところで少女は、遮るように次の言葉を口にする。

――もう、さよならや。

 そう、少女はその瞳に涙を浮かべた。
 嘘だと、少女に向かって手を伸ばす。けど、その手は届かず、逆に彼女は遠ざかっていくばかりで。

――蜜柑っ!!

 愛しい、少女の名前を叫んだ。



 はっ、と目を覚ます。目に映ったのは見慣れてしまった病室。
 先ほどの夢が頭の中に焼きついて離れない。汗が、頬をつたった。
 荒くなった息を整えて、起き上がると同時に病室のドアが開く。

「っ、棗!」

「ルカ……」

 ドアから入ってきたのは、学園入学前からずっと親友だったルカ。
 ルカは、起き上がっている棗に驚き、ベットへと駆け寄る。

「目、覚めたんだね」

「ああ」

「棗、起きたのか!」

 続いて、騒がしく病室に入ってきたのは目の下に星の印を入れた、翼。

「うるせぇよ、ハゲ」

「ハゲてねぇよ!」

 不意に、あの夢が脳裏を掠めた。なんとなく、あれはただの夢ではないんじゃないかと思った。どうしても、そう思ってしまうのはきっと、ここにいるはずの彼女の姿がないから――。

「おい、ルカ。……あいつは? 蜜柑は……?」

 純粋な質問だった。
 自分の言葉に、顔を強ばらせ、ルカは視線を逸らす。様子がおかしい親友に、嫌な予感を感じた。
 ルカ、と名前を呼ぼうとした矢先、「……棗、黙って聞け」と、翼が告げた。



 翼から、聞かされたのは今回のことの結末。そして、蜜柑のこと。
 彼女は――アリスを無くし、学園から出て行った。ここで過ごした、すべての記憶を消して。

「蜜柑……」

 呆然と、呟いた名前に答えてくれるものはいない。

――棗!

 もう、あの笑顔を見ることはできないのか。
 自分の名前を呼ぶあの声を聞くことはもうできないのだろうか。

「み、かん……」

 翼は、悲痛そうに棗を見つめて、ルカは顔を歪めて俯かせている。その目には涙が光っているように見えた。





 それから、5年後――。
 少しずつ、彼女がもういないということを受け入れて。そして、もう一度会うためにずっと、生き続けようと心に決めて。
 そして、その日はやってくる――。


「待ってや! 二人共――――っ!」

 あの幼い頃よりも、だいぶ大人びた容姿。けど、あの頃を一切変わらない笑顔を高台の上から見下ろした。
 どれだけ、この日を待ちわびたのだろう。やっと、彼女に会えると思うと心が震える。 

「蜜柑」

 もうすぐ、彼女は自分のもとへ帰ってくる。そのことを、噛み締めながら小さく彼女の言葉を呟いた。

――棗っ!

 それに答えるように、遠き記憶の中の彼女が答えた気がした。
 あの、自分が好きだった笑みを浮かべて――。


‐‐‐‐‐‐


最初は、学アリのなつみかんで!…といっても、蜜柑でてないし。伽羅の口調迷子だ、笑。
でも、どうしても書きたかったんだ。このスレだって、これが書きたくて立てたもんだし()

学園アリス31巻の、棗が叫ぶシーンで少しだけど、書かれていた過去の絵から妄想を含まらせた結果がこれだ。
…うん、後悔はしてないよ←




追記.翼先輩の口調が、わかんねぇ、笑
 

 


遥姫 ◆ml2:2016/07/08(金) 00:32 [返信]



目次のようなもの。
今まで書いたのがバラバラだからちょっとまとめてみた。

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【ルーンファクトリー4】

・朝。 / ( ダグ×フレイ )

【ポケモン(アニポケ、ポケスペ混合)】

・お姫様、迎えに来たよ。/ ( サトシ×夢主 )>>9
・タイトル未定(友人へと誕プレ小説) / ( グリーン×ブルー )>>42


【学園アリス】

・名前を、/ ( 棗×蜜柑 ) >>2


【らくだい魔女】

・お姫様と、その騎士 / ( チトセ×フウカ )>>20


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