お姫様、迎えに来たよ。 【 アニポケ / サトシ×夢主 】
私は、一世一代の告白をした。幼い頃から想いを寄せてた少年に。
好きです、と伝えたあと、少しの沈黙、そして返ってきたのは、ごめん、という謝罪だった。そこで、私は振られたのだと理解する。直ぐにその場を逃げ出したくて、私は駆け出した。
その背中に向けて、彼は何かを叫んだんだ。
――――。
それが数年前ぐらい。あの日を境に、私は彼の旅から抜けて故郷のマサラタウンへ戻った。それからは、彼の母親と同じように、彼を待つ人になった。
帰ってきては、また別の地方へ。博士のところへ預けられていくポケモンたちから、帰ってきた時に聞かせてくれる冒険物語から、彼は私が以前から知っている彼ではなくなっていることを知った。
悔しい。私が一番彼を知っていると思っていたのに、今では私の知らない彼を知っている人が居る。でも、振られた以上、もう彼のそばにはいられなかった。彼が許しても、私が許せないのだ。
――そして、ついにその時がやってきた。彼が、夢を叶えたのだ。
テレビで報道するそれに、私の両目には熱いものがこみ上げてくる。ただ、嬉しさがこみ上げた。彼が夢に向かってどれだけ努力をしてきたかを、苦労をしてきたかを知っている。それが報われた。彼の夢が叶った。私は自分のことのように喜んだ。
数日後、彼は帰ってきた。その後はただ、パーティーだ。その騒ぎように、シゲルは苦笑していたけれど、どこか嬉しそうだった。
彼は言った、「ここで終わりではない、まだまだ強くなってやる。だから、また旅に出る」彼らしいと思った。同時に、寂しくなった。
パーティも終わりを告げて、私は一人マサラの夜空を見上げていた。その時、つん、と足をつつかれた。足元にいたのはピカチュウで、その手には赤いバラの蕾が握られている。それを私の方に差し出しているのだから、多分、私への贈り物だ。
「……ありがとう」
ピカチュウを抱き上げれば、甘えた声を出しながら擦り寄ってくる。それが可愛らしくて、頭を撫でていれば走ってくる足音が聞こえた。
「ピカチュウっ!」
息を切らしながらやってきたのは、今日のパーティーの主役、サトシだった。ピカチュウは、彼を見るなり、私の腕から抜け出し、今度はサトシの肩へと登った。
「全く、先駆けしやがって……」
「サトシ?」
「いーや、なんでもない! それで、その花受け取ってくれたんだな」
その目線は、私の持つバラの蕾へ注がれる。
「サトシからだったんだね。……ありがとう」
きっと鈍い君のことだから、この花の花言葉を知っている私が浮かれていることを知らないのだろう。花言葉は――。
「“純粋な愛、愛の告白”」
「え?」
まさか、その言葉が彼の口から出てくるなんて思っても見なくて、私の口からは間抜けな声がこぼれ出る。
彼の顔は、バトルで見せる真剣な表情そのもので。
「……聞こえてなかったかもしれないけど、あの日、俺から逃げたお前に俺、言ったんだ」
――“俺がポケモンマスターになるまで待ってろ”って
「あの時、俺はトレーナーとしても、男としてもまだまだ未熟で。そんなんじゃ、絶対にお前に迷惑かけるってわかってたから。だから、ケジメとして俺が夢を叶えるまで待ってて欲しかった」
帽子のつばを下げて、一瞬表情を隠したあと、私に顔を見せたサトシ。その表情はとても、柔らかいもので。言うならばそう、愛する人に向ける顔。
「遅くなってごめん。でも、聞いてくれるか?」
(俺は、お前のことが好きだ)
(俺のそばにずっといてくれ)
(その言葉は、とても嬉しくて涙が溢れた)
(私は、勿論――はい、とか細い声で答えた)
‐‐‐‐‐‐
あけおめー、()
前の小説のやつの続きがかけなかったので、あれは放置。今回はサトシだよー。なんか、再熱した((
捏造ばっか、笑
目次のようなもの。
今まで書いたのがバラバラだからちょっとまとめてみた。
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【ルーンファクトリー4】
・朝。 / ( ダグ×フレイ )
【ポケモン(アニポケ、ポケスペ混合)】
・お姫様、迎えに来たよ。/ ( サトシ×夢主 )>>9
・タイトル未定(友人へと誕プレ小説) / ( グリーン×ブルー )>>42
【学園アリス】
・名前を、/ ( 棗×蜜柑 ) >>2
【らくだい魔女】
・お姫様と、その騎士 / ( チトセ×フウカ )>>20