>>281
職員室にて、今朝のことだった。
「暗殺、ですか…」
本郷海はポカンとした。
無理もないだろう、こんなご時世に中学生に暗殺任務を依頼するなど、ありえない話だ。
烏間はそう思いつつ、本郷に言った。
「その暗殺対象者がもうそろそろ来るはずだ」
言い終わらないうちに、校舎の外で激しい爆発にも似たような音が聞こえた。
「何ですか、あれは」
「あれが、暗殺対象者だ…」
職員室の窓がガラッと開き、そこから黄色い頭の超生物が現れた。
「ヌルフフフ。ようこそ、あなたが転校生の本郷海さ「ぎゃーーーーーーーー」
殺せんせーが言い終わらないうちに、本郷海は気絶してしまった…。
渚side
それって、つまり…。
「本郷さんは殺せんせーを見てびっくりして、気を失っちゃったってこと?」
カルマくんが答えを言った。
僕らは本郷さんを見た。
「は、恥ずかしい限りです…。まさか、あんな君の悪い生物がいたとは思わず…」
本郷さんは顔を真っ赤にしながら申し訳なさそうに言った。
僕が廊下に視線を走らせると、そこにはビッチ先生とハンカチを目にあてて涙をふきながら、本郷さんを見ている殺せんせーの姿があった。
渚side
殺せんせーも気の毒だなぁ。
でも、あんな超生物を前にして気絶しないほうがおかしいか。
僕らはすっかり慣れちゃったし…。
「本郷さんがヤツに慣れるまでしばらく苦労すると思うがよろしく頼む」
「お願いします…」
本郷さんが深々と、僕らに頭を下げてきた。
本郷さんはその日一日中、殺せんせーを前にしてビクビクしながら過ごしていた。
僕らが呆れるくらいに…。
「あ、殺せんせーだ」
「え⁉」
体育の時間中。僕らナイフの訓練をしていた。
カルマくんは事あるごとに本郷さんをからかっている。
「なぁんて、ウッソー」
「や、やめてくださいよぉ! もう怖くて怖くて…」
「にしても、本郷。そんなに怖がることないと思うぞ?」
前原くんが本郷さんに向かってそう言った。
「殺せんせーは俺らに対しては危害を加えないって、政府と約束してんだから」
「ううっ、ですが…」
「次、本郷!」
「ふぇ⁉」
烏間先生から使命が入り、本郷さんは大慌てで先生の元へ走って行った。
本郷さんのナイフが烏間先生に当たるとは思えないから、きっとこれから個人的に指導するのだろう。
帰りのHR。殺せんせーは本郷さんの様子をうかがいながらHRをしている。
本郷さんは殺せんせーと目が会うたび、怯えている…。
いったい、こんな状況がいつまで続くのだろうか。
「それでは、今日の授業はここまで…」
重々しい雰囲気の中、僕らは殺せんせーに向かって頭を下げた。
「さような…」
ドビュシッ!
え…。
発砲、音?
僕は後ろを振り向いた。
本郷、さん?
☆
長文すいません