>>328
結局、機械仕掛けの転校生の暗殺は、1日中続いたのだった。
ちなみに、転がった対せんせーBB弾は僕らが片付ける羽目に…。
そして、次の日。
砲台「殺せんせー、これでは銃を展開できません。拘束を解いてください」
自律思考固定砲台さんはガムテでぐるぐる巻きにされていた。
殺「そう言われましてもねぇ」
砲台「これは明らかに私への危害とお見受けしますが…」
寺「ちげぇよ」
ガムテを投げたのは、寺坂くんだった。
寺「やったのは俺だよ。どう考えたって授業の邪魔だろ。常識くらい、身につけてから来いよ、ポンコツ」
管「ま、機械にはわからないよ、常識は」
原「授業終わったらちゃんと解いてあげるから」
その日の授業は、安心して受けることができたんだけど…。
自律思考固定砲台さん、大丈夫かな。
渚「なんて、そんな心配いらなかったかも」
砲台「おはようございます、皆さん!」
杉「えぇ⁉」
ビジュアルが、大幅に変わっていた…。
いったい何があったのやら。
殺「実は昨夜、少し彼女をいじらせて…もとい性能アップさせてみました。あ、ちなみに彼女の殺意はいじっていませんのでご安心ください。彼女がいれば暗殺の幅は格段に上がるでしょう」
不「ねぇ、自律思考固定砲台ってさ、なんか長くない?」
原「たしかにそうねぇ」
不「自律……………あ! 律はどう?」
千「安直だな」
不「えぇ⁉ かわいいよー」
前「お前はどうなんだ?」
砲台「………では、律とお呼びください」
律を中心に、休み時間は賑わっていた。
岡野「すごーい」
机の上にはミロのヴィーナスが置かれていた。
実はこれ、律が自分の中でプログラミングして作ったらしい。
いくらなんでもすごすぎる!
矢「花とかも作れる?」
律「いえ。では、花のデータ収集をしておきます…あ、王手です、千葉くん」
千「さ、3局目でもう勝てなくなった…」
1人…もとい1台で数人を相手をしている。
器用すぎる…。
ガタッ
椅子を引く音が聞こえた。
海だった。
渚「どうしたの、海」
海「ううん、別に。ただ、最初は機械を転校生にするなんてって、ちょっと呆れてたけど、仲良くなれそう」
律「あ、えっと…」
海「律、私のことは海でいいよ」
律は少し驚いたような顔をした。
律「はい。では海さん。ちょっと質問をよろしいでしょうか。2点なんですが」
海「? いいけど」
律「では、まずは1点目。海さんはもう1人の転校生暗殺者なのですが?」
海「…いやま、転校生暗殺者だけど、私は招かれざる客みたいなもんだよ」
皆「⁉」
何、それ。
海「なぁんてね。で、次は?」
僕らが海を質問攻めしようとした時、海はそれを察したのか急いで会話を次に持っていった。
律「はい。では、2点目。あなたから微弱な電波を感じるのですが…これはいったい?」
微弱な、電波?
渚「携帯とかじゃなくて?」
律「はい。全く違います」
海「……あ、もしかしてあれかも」
?
海「いやぁ、実は今日、シリアル食べてたんだけどさ寝ぼけてて。たぶんICチップを飲み込んじゃった可能性が…」
皆「はぁ⁉」
海「まぁ、大したデータ入ってなかったし。別にいいんだけどね」
海はケラケラ笑いながら教室をでていった。
その夜。
科学者「なんてことだ」
律「こんばんはマスター。お陰様で楽しい学園生活を送らせていただいています」
科「今すぐダウングレードだ。暗殺に必要な知識だけにするんだ」
律「あ…」
渚side
律が転校してきたばかりの無表情な顔に戻っていた…。
律「おはようございます、みなさん」
烏「今後は性能アップも危害とみなすそうだ。それから、君らもだ」
指名されたのは寺坂くんたち。
烏「壊れでもしたら賠償を請求すると言ってきた」
寺坂くんの舌打ちが聞こえた。
杉「ダウングレードしたってことは、またあの迷惑な射撃が始まるのか…」
機械の起動音。
展開される銃…のはずが。
舞っていたのは花びらだった!
律「殺せんせーは私に様々な改良を施しました。それらは全て、マスターが暗殺に不要と判断し、削除、撤去してしまいました。ですが、私はこのクラスで協調が必要と判断し、結果。メモリを密かに隠しました」
殺「では律さん、あなたは!」
律「はい! 私の意志でマスターに逆らいました! せんせー、こういう行動は反抗期というんでしょうか。律は、いけない子でしょうか…?」
殺「いえいえ、中学生らしくて、大いにけっこうです」
殺せんせーの顔がオレンジ色に染まり、マルができた。
こうして、転校生・自律思考固定砲台、通称・律は僕ら3-Eの仲間になった。