>>329
その夜。
科学者「なんてことだ」
律「こんばんはマスター。お陰様で楽しい学園生活を送らせていただいています」
科「今すぐダウングレードだ。暗殺に必要な知識だけにするんだ」
律「あ…」
渚side
律が転校してきたばかりの無表情な顔に戻っていた…。
律「おはようございます、みなさん」
烏「今後は性能アップも危害とみなすそうだ。それから、君らもだ」
指名されたのは寺坂くんたち。
烏「壊れでもしたら賠償を請求すると言ってきた」
寺坂くんの舌打ちが聞こえた。
杉「ダウングレードしたってことは、またあの迷惑な射撃が始まるのか…」
機械の起動音。
展開される銃…のはずが。
舞っていたのは花びらだった!
律「殺せんせーは私に様々な改良を施しました。それらは全て、マスターが暗殺に不要と判断し、削除、撤去してしまいました。ですが、私はこのクラスで協調が必要と判断し、結果。メモリを密かに隠しました」
殺「では律さん、あなたは!」
律「はい! 私の意志でマスターに逆らいました! せんせー、こういう行動は反抗期というんでしょうか。律は、いけない子でしょうか…?」
殺「いえいえ、中学生らしくて、大いにけっこうです」
殺せんせーの顔がオレンジ色に染まり、マルができた。
こうして、転校生・自律思考固定砲台、通称・律は僕ら3-Eの仲間になった。
放課後の教室で、本郷海は数学のテキストを解いていた。
以前、殺せんせーに数学が苦手だと話したら、「ではこのテキストを1日2ページ解きなさい」と言われて渡されたのだった。
海「うーん、やっぱ数学は苦手だなぁ。せんせーに聞いてこよっかなぁ」
そう思い、席を立った。
職員室
ビ「あぁ、もうメンドくさいわ。授業なんて」
烏「その割には生徒のウケはいいようだぞ」
ビ「私は殺し屋よ? あのタコを殺すために仕方なくここにいるの。その肝心のタコはといえば…」
イリーナの視線の先にはピンク色に顔を染めている殺せんせー。
ビ「私の胸を景色に見立てて、優雅にお茶飲んでるし‼」
ビッチは席を立ち、殺せんせーにナイフを突きつけるが、余裕でかわされる。
烏「あせるな、そういうターゲットだ」
ビ「Fuck! やってらんないわ‼」
イリーナはそう言って職員室から出て行った。
入れ替わりで入ってきたのは、海だった。
海「殺せんせー、またわかんないとこができちゃった。教えて〜」
殺「おや、海さん。いいですよ」
廊下
ビ(こんなところで足止め食ってるわけにはいかない…⁉)
首元に違和感。気づいたときには体は宙に浮いていた。
ビ(ワ、ワイヤートラップ⁉ 何故)
?「驚いたよ、イリーナ。子ども相手に楽しく授業。まるでコメディアンのコントを見ているようだった」
ビ「せ、師匠!」
烏「おい、何してる」
烏間が目にしたのは、ワイヤートラップに引っかかったイリーナと謎の男性だった。
烏「女に仕掛ける罠じゃないだろう、放してやれ」
?「心配ない。この程度のトラップから抜け出せる方法くらい、教えてある」
ワイヤーが切られ、イリーナは床に落とされる。
烏「お前は何者だ」
?「イリーナ・イェラビッチをこの教室に斡旋した者。といえばわかるか」
烏(殺し屋ロヴロ‼)
ロ「イリーナ、お前にはこの仕事は向いていない。今すぐ手を引け」
ビ「そんな⁉ やれます、やらせてください、師匠…!?」
今度はイリーナの首にロヴロの親指が食いこんだ。
ロ「ならお前は、こういう動きができるか?」
烏(速い!)
海「ねぇ、なんの騒ぎ?」
そこへ、海が職員室から顔を出した。
イリーナのところにいる男を見て、驚いたように目を見開いた。
海「ロヴロ、先生…」
ロ「⁉ 海か。2年ほど行方不明だったと聞いていたが、まさかここにいたとは」
海は警戒態勢に入った。
ロ「いや、今はそんなことはどうでもいい。
イリーナ、お前は正体がバレない暗殺ならひけをとらない。だがひとたびばれてしまえば、ひと山いくらレベルの殺し屋だ」
殺「半分当たって、半分は違いますねぇ」
そこへ、顔が半分紫、半分オレンジの殺せんせーが現れた。
烏「何しに来た、ウルトラクイズ」
殺「ひどいですねぇ、いい加減殺せんせーと呼んでください」
そう言って、ロヴロとイリーナを見る。
殺「たしかに、彼女は殺し屋としては恐るるに足りません。クソです」
ビ「誰がクソだ!」
殺「ですが、彼女こそ。この教室には必要です。殺し比べてみればわかりますよ」