>>384
次の日
渚「海、ごめんね」
海「何が?」
渚「昨日、怒ってたでしょ」
海「あー、あれね。私も大人気(おとなげ)なかったし。それに、渚たちは悪くないよ。悪いのはあいつらだよ」
僕が黙っていると、海はため息をついてさらに続けた。
海「こう言ったら身内びいきみたいに聞こえるかもしれないけどさ、ケンカを売ってきたのはあっちが先だよ。だから、渚たちが気にする必要なんてないよ。それに、あいつら……」
あ、あれ?
海、怒ってる?
海「一度として謝ってこなかったし……。ぜってー、私が総合順位で1位とって、あいつらに地べたをなめさせてやる……」
中「アハハッ、海。その意気だよ」
授業
海「ねぇ、殺せんせー」
殺「なんですか、海さん」
海「数学ってどうやったら得意になるかな」
殺「ふぅむ。ちなみに海さんは何故、数学が苦手なんですか」
海は少し考えた。
海「答えが確実に決まってるってとこかな。いくら公式を使ってもうまく導けない。出口はわかっているのに、そこまでたどり着くのが難しい。そういう脱出不可能な迷路の中にいる気分」
殺「別に得意にならなくてもよいのです」
海「え?」
殺せんせーからそのような台詞が飛びだすとは思わず、海はぽかんとした。
殺「一生懸命に勉強すれば、おのずとわかるようになりますから」
海「……そういうもんかな」
殺「ええ、そういうもんです」
一方で、カルマは授業中だというのに寝ていた。
殺「こら、カルマくん。ちゃんと勉強をしなさい。君なら総合でトップを狙えるでしょうに!」
カ「言われなくともちゃんととるよ。あんたの教え方がいいせいでね。それにさ、せんせー。最近あんた、トップトップばっか言って、つまらないね。そんなことよりいいのぉ? A組の持ちだした賭けって、なんか企んでると思うんだけど」
岡「心配ねぇって、カルマ。このE組が失う物なんてこれ以上はねぇよ」
倉「勝ったらなんでも一つかぁ。学食の使用券とかほしいなぁ」
殺「むぅ……。では、これをくれと命令するのはどうでしょう」
殺せんせーが取りだしたのは、学校案内?
殺「これです」
学校案内が開かれた、そのページには!
皆「わぁ……」
殺「せんせーはね、今度は君たちにバチバチのトップ争いを経験してほしいのです」
テスト当日
本校舎の廊下を歩いているとき、隣にいる中村さんが僕に聞いてきた。
中「どうよ、渚。ちゃんと仕上がってる?」
渚「あはは。まぁ、山が当たれば」
中「男ならちゃんとしなっ! あんただって頑張れば英語でトップとれるんだからさ」
?「あーあ、お前ら。A組の奴らと無謀な賭けをしたそうじゃないか」
あ、田中くんたちだ。
田「楽しみだなぁ」
高「どんな命令されちゃうんだろうなぁ」
相変わらず嫌味ったらしいな。
そう思っていると、中村さんが無言で近づきざま、鉛筆を田中くんの両方の鼻に突き刺した。
田「ホゲェェ」
中村さん……。
中「さぁて、誰か来てるかな」
E組が試験を受ける教室に到着した。
ドアを開けると、そこには……。
渚&中「誰⁉」
見知らぬ生徒がいた。
あんな人、いたっけ?
烏「律役だ」
そこへ現れたのは、烏間先生だった。
烏「さすがに理事長に人工知能の参加は許可されなくてな、律の代わりを務める替え玉で決着した。交渉のとき、理事長に『大変だなぁ、こいつも』という憐みの目を向けられた俺の気持ちが、君らにわかるか?」
渚&中「頭が下がりますっ!」
烏間先生は僕らの緊張をほぐすためにその話をしたのか、それとも本心からなのか。ともかくも微笑むと、僕らに励ましの言葉を与えてくれた。
烏「律からの伝言をあわせて、俺からも一言。頑張れよ」
中村さんはにやりと微笑み、僕は元気よく「はい」と答えた。
本来、1人1人で受けるはずのテスト。なのに、色んな人と戦っているのを感じる。仲間となって戦う者、敵となって戦う者、ヤジや声援を飛ばすギャラリー。
これはまるで……。
闘技場の門が開かれる。
僕らは殺し屋。おまけに今日はグラディエイター。
闘いのゴングが今日は鳴る!
☆
本編と変わらなくてごめんなさい!