>>428
磯「浅野」
期末返却後はほどなくして終業式だ。僕らは五英傑を体育館前で待っていた。
磯「さっき、報酬の件についてメールで伝えたけど、あれでいいよな」
浅野くんが黙っていると、寺坂くんが進言した。
寺「なんなら五教科の中に家庭科を入れてもいいんだぜぇ?」
……つい、さっきのことだった。
寺「おいタコ、五教科1位は3人じゃないぜ」
殺「うん? 3人ですよ、寺坂くん。国・英・社・理・数……」
寺坂くんは村松くん、吉田くん、狭間さんと一緒に殺せんせーの前に立って。
寺「ちげぇよ。五教科つったら、国・英・社・理、あと家だろ」
教卓に投げ出されたのは、4枚の答案用紙。しかも、100点の!
殺「家、家庭科ぁぁぁぁ⁉ ちょっと、家庭科なんてついででしょうに」
カ「なんてって言っていいの、殺せんせー? 五教科最強の家庭科さんにさ」
菅「そうだぜ、殺せんせー。最強の家庭科さんで4人がトップ!」
倉「合計触手7ほーん!」
そして、7本コールが始まり、収集がつかなくなった。
磯「それと、殺せんせー。これはみんなで相談して決めたんですが。今回の報酬に賭けも加えさせてもらいます」
殺「What?」
というのが、家庭科が五教科の中に入る理由……。
僕らが体育館に入ろうとすると、小山くんが海に声をかけた。
小「おい、お前」
海はそれを無視していた。
茅「海ちゃ……じゃなかった。海くん、呼ばれてるよ」
海「僕、お前なんて名前じゃないし」
あはは……。
どうやら海は相当怒っているみたいだった。
別に、1位を取れなかったことじゃないとは思うけど。
小「本郷海!」
海「なんか用?」
小「お前の名前、覚えたからな」
海「キョーミなしっ!」
海はそう一言言うと、体育館に入っていった。
E組にて
殺「触手7本の大ハンデにも関わらず、周囲をせんせーの苦手な水で囲む。正直に認めましょう、君たちは本当に侮れない生徒になりました」
今回の、A組との賭けの報酬。それは!
殺「沖縄リゾート2泊3日!」
夏休みスタート。
沖縄リゾートの前に、僕らは計画の詰めのために学校に集まった。今回はロヴロさんがプロの視点から助言をくれるために来てくれたから、最高のコンディションだ。
一通り作戦について話していたとき、僕はふと気になってロヴロさんに聞いた。
渚「あの、ロヴロさん」
ロ「⁉ ……なんだ」
渚「僕が知っている殺し屋は今のところ、あなたとビッチ先生しかいないんですが、最強の殺し屋っているんですか?」
ロ「興味があるのか、殺しの世界に」
渚「え、あ、いや……」
興味がある、というわけではない。ただ、ちょっと気になっただけだ。
ロ「そうだな」
ロヴロさんはチラッと視線を違う方向へ向けた。
僕はそちらをなんとなく見た。
そこには、厳しい顔つきをした海がいた。
渚「海……?」
ロ「最強の殺し屋、そう呼べる奴はこの世界でただ1人。それは『死神』だ」
渚「しに、がみ……」
ロ「君たちが奴を殺せなければ、やがて現れるだろう」
そんな人が! ますます島の暗殺計画は逃せない。
ロ「では、君には必殺技を授けよう」
渚「⁉ 必殺?」
ロ「そうだ。プロの殺し屋が教える、必殺技だ」
そして、暗殺夏休みが幕を開ける!
in 沖縄離島(普久間島)
フェリーで移動して、僕らはすぐに普久間島に着いた。
ウェイター「ようこそ。サービスのトロピカルジュースでございます」
三「いやぁ、最高だね」
菅「な」
僕らは修学旅行の班に分かれて殺せんせー暗殺の準備にとりかかった。
1班が殺せんせーと遊んでいる間に、僕らは暗殺の準備!
ここはE組の校舎と違うから、暗殺に適した場所か。綿密なチェックが必要だ。
杉「茅野と海は泳げないから、ここで待機な」
海「オッケ」
茅「スケジュール管理なら任せて」
僕とカルマくん、杉野で海に飛び込んだ。
茅「ところで、海」
海「何?」
茅「……どうして着物なんて着てるの?」
そう。それは僕も気になっていた。
海「私の家、私服これしかないんだよね」
茅「そうなんだ……」