夏休みスタート。
>>431
沖縄リゾートの前に、僕らは計画の詰めのために学校に集まった。今回はロヴロさんがプロの視点から助言をくれるために来てくれたから、最高のコンディションだ。
一通り作戦について話していたとき、僕はふと気になってロヴロさんに聞いた。
渚「あの、ロヴロさん」
ロ「⁉ ……なんだ」
渚「僕が知っている殺し屋は今のところ、あなたとビッチ先生しかいないんですが、最強の殺し屋っているんですか?」
ロ「興味があるのか、殺しの世界に」
渚「え、あ、いや……」
興味がある、というわけではない。ただ、ちょっと気になっただけだ。
ロ「そうだな」
ロヴロさんはチラッと視線を違う方向へ向けた。
僕はそちらをなんとなく見た。
そこには、厳しい顔つきをした海がいた。
渚「海……?」
ロ「最強の殺し屋、そう呼べる奴はこの世界でただ1人。それは『死神』だ」
渚「しに、がみ……」
ロ「君たちが奴を殺せなければ、やがて現れるだろう」
そんな人が! ますます島の暗殺計画は逃せない。
ロ「では、君には必殺技を授けよう」
渚「⁉ 必殺?」
ロ「そうだ。プロの殺し屋が教える、必殺技だ」
そして、暗殺夏休みが幕を開ける!
in 沖縄離島(普久間島)
フェリーで移動して、僕らはすぐに普久間島に着いた。
ウェイター「ようこそ。サービスのトロピカルジュースでございます」
三「いやぁ、最高だね」
菅「な」
僕らは修学旅行の班に分かれて殺せんせー暗殺の準備にとりかかった。
1班が殺せんせーと遊んでいる間に、僕らは暗殺の準備!
ここはE組の校舎と違うから、暗殺に適した場所か。綿密なチェックが必要だ。
杉「茅野と海は泳げないから、ここで待機な」
海「オッケ」
茅「スケジュール管理なら任せて」
僕とカルマくん、杉野で海に飛び込んだ。
茅「ところで、海」
海「何?」
茅「……どうして着物なんて着てるの?」
そう。それは僕も気になっていた。
海「私の家、私服これしかないんだよね」
茅「そうなんだ……」
磯「じゃあ、殺せんせー。夕飯のあとは暗殺なんで……」
殺「はーい」
殺せんせー、いくらなんでも遊びすぎじゃ。
なんであんなに日焼けしたんだ。
海「真っ黒じゃん」
殺「おやおや、船上でのディナーですか。どうやら私を酔わせて、戦力を削ぐつもりですね」
磯「ええ、これも暗殺の基本ですから」
殺「ですが、本気になったせんせーにとって、船酔いなど恐るるに……」
中「だから黒いよっ!」
たしかに、黒すぎる。
目も、口もわからない……。
海「挙句、お歯黒じゃん」
殺「そんなに黒いですか?」
中「表情どころか、前も後ろもわからないわよ」
片「ややこしいからなんとかしてよ」
殺「ヌルフフフ。私の脱皮をお忘れですか?」
しゅるん
殺せんせーが黒い皮を脱ぎ捨てた。
不「あ、月1回の脱皮だ」
殺「そうです。本来はヤバいときの奥の手ですが……あ」
皆「あ」
あっ!
殺せんせーの弱点、脱皮直後は反応速度が落ちる!
杉「ばっかでー。暗殺の前から自分で戦力減らしてやんの」
この日のために、みんなで準備をしてきた。
みんなで、この作戦なら!
殺「にゅやぁぁ……」
海「結局酔ってんじゃん」
磯「じゃ、せんせー。次はこっちです」
そこは、水上チャペルだった。