>>434
突然かかってきた脅迫の電話。
その内容によると、中村さんたち一部の生徒たちはウィルスに感染したとのこと。そのウィルスを治すための治療薬は脅迫電話の向こう側にいる人が持っているとのこと。その人は誰だかはわからない。男性や女性という性別すらも。
海「おそらく変声機でも使ってるんだろうね」
そして、治療薬が欲しければ普久間島で最も標高の高い場所にある、普久間殿上ホテルの最上階に、クラスの中で一番背の低い男女2人で来いとのこと。しかし、タダではない。殺せんせーと引き換えに、だ。
ちなみに、クラスの中で一番背の低い男女2人とは、僕と茅野のことだ……。
寺「一番チビの2人で来い、だぁ⁉ このちんちくりん共だろ? 人質増やすようなもんだろーがっ‼」
うぅっ……。
寺「挙句、人のツレに手ぇだしやがって」
狭「単細胞が……」
村「キシシッ」
海が全員分の水を配りながら言った。
海「ホンット、寺坂の言う通りだよ。殺し屋だかなんだか知らないけど、標的を殺すためなら正面切って来やがれよ……。ねぇ、烏間先生? 渚とカエデを人質にさせるくらいなら私が行ってもいいかなぁ?」
茅「海ちゃん、怒ってるね」
渚「う、うん……」
殺「大丈夫ですよ、みなさん。律さんの下調べもどうやら終わったようです。元気な人は来てください。汚れてもいい格好でね」
?
車で1時間くらい走った先は普久間殿上ホテル、の。
渚「うわぁ……」
こんなに標高が高いのか。
僕らがいるのは、普久間殿上ホテルの真下。というか、この崖は。
海「ねぇ、殺せんせー」
殺「にゅ?」
海「まさかだとは思うけど、この崖を登れっての?」
殺「その、まさかです」
え⁉
殺「敵の思惑通りになりたくなければ、言う通りになりたくなければ、このホテルの最上階に行き、治療薬を奪い取るのです!」
岡野「おいてくよ〜」
岡野さんは崖をひょいひょいと登っていく。
木「身軽だな、岡野は」
磯「ああ。こういうことをやらせたらクラス1だ」
木「一方で、うちで動ける先生が3人中1人とは」
烏間先生はこの急な崖をビニル袋に入っている完全防御形態の殺せんせーと、ビッチ先生を背負って登っている。
菅「てか、海は着物なのによく身軽に動けるな」
海「あはは。こう見えて私、殺し屋時代……というか、E組に来る前か。そのときはずっと着物で仕事してたんだ」
茅「へぇ」
海「洋服より動きやすいんだよねっ」
頂上に到達。
烏「律、ホテル内のマップは表示できるか」
律「はい、警備の配置図も。私たちは正面玄関を使用できません。なので裏口から入ります。本来、専用のカードキーがなければ入れませんが、私の合図で開けられるようロックは解除済みです」
ロビーに着いたはいいけれど。
菅「げっ、あんなにたくさん見張りが」
木「どうやって通る?」
ビ「何よ、普通に通ればいいじゃない」
菅「はぁ⁉ 状況判断もできねぇのかよ、ビッチ先生」
木「あの警備の中、どうや……海?」
木村くんが話している途中で、海が木村くんの肩をつかんで止めた。
海「先輩、頼んだよ」
ビ「フッ。ねぇ、カラスマ」
烏「なんだ」
ビ「ストッパーの役割、頼んだわよ」
?
ビッチ先生は僕らがあっけにとられている間に、ロビーへ足を踏み入れた。