>>447
⁉
烏(ガスかっ!)
謎のガスが部屋一面に広がっていった。
と思ったら一瞬で消えてしまった。
これは一体?
男「殺気を見せずにすれ違いざまに殺る。俺の十八番だったんだがなぁ。何故わかった」
不「だっておじさん、ホテルでサービスドリンク配ってた人でしょ」
……あっ!
男「断定するには証拠が弱いぜ」
不「ふふん。夕飯を食べずに映像編集をしていた三村くん、岡島くんも感染していたことから、ウィルスは昼間のドリンクにしぼられる。よって犯人はあなたよ、おじさんくん」
男「ぐぐっ」
ドサッ
海「烏間先生⁉」
烏「くっ……」
男「俺専用の室内用麻酔ガスだ。一度吸えば象すらオトす」
殺「毒物使い。しかも、実用性に優れている」
男「お前たちに交渉の余地がないのはよくわかった。交渉決裂、ボスに報告でもするか」
道を引き返そうとした毒物使いの殺し屋。僕らは急いで烏間先生に言われた通りの行動をした。
すなわち、逃げ道をふさぐこと!
男「⁉」
烏「敵と遭遇した場合、すぐさま逃げ道をふさぎ、連絡を絶つ。指示は全てすませてある」
男「ふん。お前が倒れれば統制がとれず、逃げだすだろうさ」
瞬間、烏間先生は毒物使いに膝蹴りをもろにくらわせた!
男(はぇー……、人間の速さじゃねぇ……。だがな、おっそろしい先生よ。お前の引率もここまでだ……)
烏間先生が倒れた。
皆「か、烏間先生!」
廊下
烏間先生は磯貝くんに支えられながらなんとか歩いていた。
菅「象すらオトすガス浴びて、歩ける方がおかしいって」
不「あの人も充分バケモノだよね」
さすが、経験と知識を兼ね備えたプロは本当に強い。
僕らの力だけで、勝てるのか。
殺「いやぁ、いよいよ夏休みって感じですねぇ」
………。
片「何よ、自分だけ絶対安全な形態のくせして!」
菅「渚、振り回して酔わせろ!」
僕はビニル袋に入った殺せんせーを振り回した。
殺「にゅやぁぁぁぁぁぁっ!」
カ「ねぇ、寺坂。これねじ込むから、パンツおろしてケツ開いて」
寺「死ぬわっ!」
あはは。
ところで。
渚「なんでこれが夏休み?」
殺「夏休みとは、学校を離れ自立性を養う場でもあります。大丈夫です、君たちにならクリアできます。この暗殺夏休みを」
しばらく歩いていると。
海「⁉」
渚「海?」
海「みんな、気をつけて。これはちょっとまずい」
茅「え?」
正面を見ると。
あ!
矢「あの雰囲気……」
吉「ああ、いい加減見分けがつくようになったわ。間違いなく、殺る側の人間だ」
海が警戒している。
ということは、相当にヤバい殺し屋かもしれない。
烏(くっ。実弾の銃がほしい。よもやこの島で必要になるとは思わなかった)
「海さん、銃はあるか」
海「さすがに持ってません。ナイフならあるんですが」
ピシッ
⁉
寺「なっ」
木「素手で窓にヒビいれたぞ」
男「つまらぬ。足音を聞く限り、手ごわそうな者が一人もおらぬ。精鋭部隊出身の引率の教師もいるはずなのぬ、だ。どうやらスモッグのガスにやられたようだぬ。でてこい」
僕らはゆっくりでてきた。
それより、なんていうか。
怖くて誰も言えないんだけど……。
カ「ぬ、多くね? おじさん」
皆(言った! よかった、カルマがいて!)
男「ぬ、をつけるとサムライっぽく聞こえると小耳にはさんだぬ。かっこよさそうだから試してみたぬ」
渚(なんだ、外国の人か)
海「………」
手をゴキゴキ鳴らしながら男は言う。
殺「素手。それがあなたの暗殺道具ですか」
男「こう見えて需要があるぬ。身体検査に引っかからない利点は大きいぬ」
海「たしかに、そうみたいだね……」
男「近づきざま頸椎をひとひねり。その気になれば、頭蓋骨も握りつぶせるぬ。だが、殺しの技を学ぶと他の分野でも試してみたくなる。すなわち、強い敵との戦いだぬ。だが、お目当てがその様子では試す気も失せたぬ。ボスに連絡して皆殺しだぬ」
なっ!
瞬間。
バリーン
カ「ねぇ、おじさんぬ」
次に窓にヒビを入れたのは、植木鉢を片手にしたカルマくんだった。
カ「プロって意外とふつーなんだね。ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ。てゆーか、そっこう仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るのも怖い人?」
烏「やめろ、むぼ……」
殺「ストップです、烏間先生。顎がひけている。
普段の彼なら余裕を見せて顎を突き出し、相手を見下す構えをしていた。ですが、今は違う。目は油断なく相手の仕草をつぶさに観察している」
(どうやら敗北からしっかり学んだようですね。存分にぶつけなさい、高い大人の壁を相手に)