今更だけど、渚と海のコンビネーションの戦いの題名。
「コンビの時間」とさせていただきます。
>>501
幼いころの経験は、それだけで人を懐かしくさせたり、運命を変えてくれるということがよくある。
テレビとかでもよく耳にする。「○○のおかげで、今の自分がある」とか。
僕にとって、とある少女との出会いがそうだった。
よく公園に入り浸っていて、着物が私服という、変な子だった。
僕は彼女によって救われた。彼女のおかげで、今の自分がある。そう断言できるくらいに、だ。
彼女が町を離れると知ったとき、僕は悲しい気持ちになった。「行かないでほしい」と言った。でも、彼女は寂しい表情を浮かべたまま「ごめんね」と言い、最後に。
「私たちの運命は、きっとつながってる。きっとまたどこかで会えるよ」
そんな保障なんてどこにあるんだと、問い詰めそうになったとき。彼女はさらに言った。
「だからさ、再会できたときの印(しるし)にさ。私が持ってるこれと、君の持ってるこれを交換しない?」
そう言って、彼女は自分がかぶっていた帽子を僕にくれた。僕はその代わり、彼女に自分が髪にさしていたヘアピンをあげた。
「きっと、会えるよ」
現在
渚「ジャン、ヌ……?」
皆「はぁ?」
僕は海のヘアピンに目が釘付けになってしまった。みんなは唖然として僕を見ている。
渚「そう、だよね……」
海「……その名前、懐かしいね」
僕は海の言葉に、目を見開いて驚いた。
やっぱり、そうだったんだ!
渚「どうして、今さら……」
海「あはは。言わなかったっけ? あの日、『私たちの運命はつながってる』ってさ」
渚「言った、けど……」
あんな言葉、信じろと言うのが不思議だよ。
カ「ねぇ、お取込みの最中悪いんだけどさ。渚くんと海ってどこかで会ったことあんの?」
海「……昔ね。小6の頃だったんだけど」
茅「それってもしかして、修学旅行のときに話してた、あれのこと⁉」
海「そう、それ」
矢「すっごーい! 運命の再会だね」
不「ここからすさまじい事件がっ‼」
渚「何言ってんの、不破さん……」
僕は思わず突っこんでから、涙があふれそうになった。
海「……その話はあとあと‼ まずは目の前の標的に集中しろっての‼」
海の言葉に、僕は我に返った。
そうだ。まずはみんなを助けるために治療薬を奪い取るのが先決だ。
銃使いの殺し屋との戦いに勝利した僕らは、やっとの思いで最上階に到達した。
僕らは烏間先生の指示のもと、個々の役割を確認していた。
そこで僕は気づいた。
渚「寺坂、くん?」
思わず彼に声をかけて、そして彼の首に手をのばした。
熱いっ!?
渚「すごい熱だよ⁉ まさか、ウィル……んっ」
寺坂くんは慌てた様子で僕の口をおさえてきた。
寺「黙ってろ。俺は体力にだけは自信があんだからいんだよ」
渚「そんな、無茶だよ‼」
ウィルスで苦しんでいた中村さんたちの姿が浮かんだ。
あんな苦しそうな彼らを見てなんていられなかった。
寺「烏間の先公が麻痺ガスを浴びちまったのは、俺がヘタに前にでたからだ。それ以前に、俺のせいでクラスみんな殺しかけたこともある。こんなところで、足手まといになってたまるかよ……」
渚「寺坂くん……」
烏間先生が出発の号令を下し、僕らは出発することになった。
本当に大丈夫なんだろうか、寺坂くん……。
最上階の部屋の見張り役をしていた男から、すでにルームキーは奪ってあった。
烏間先生がそのキーでドアを開ける。
実はさっき、律から最上階の部屋の監視カメラに潜入してもらっていた。今回の事件を引き起こした張本人と思われるその人は、僕らが泊まっているホテルにいる、ウィルスで苦しんでいるみんなが映っている映像を見ていた。
この状況を楽しんでいるのが、カメラ越しでもわかった。
殺せんせーがさっき言っていた。
殺「黒幕の人は殺し屋ではありません。殺し屋の使い方を間違っています」
間違ってる?
殺「彼らの力はフルに発揮されれば、恐ろしい威力を発揮します。たとえば、カルマくん。あの殺し屋が廊下ではなく、日常的に忍び寄られていたら瞬殺されていたでしょう」
カ「そりゃね」
千「たしかに、さっき相手にしたあの銃使いも狙った的は1センチたりともはずさなかった」
殺「そうですね。では、海さん。たとえばあなたが私たちの敵であったとしたら、あなたはどうしますか。どうやって私たちを殺し尽しますか?」
海「殺し尽すって……。うーん、そうだなぁ。さっきせんせーが言ったように日常的に忍び寄るかもね。たとえば、ロビーで普通の客のフリをして、すれ違ったところを皆殺し、的な」
怖っ。
僕らの大半はそう思った。
殺「おそらく私がこのような姿になったので、彼らを見張りと防衛にまわしたのでしょう」
烏間先生から指示がだされる。
取り押さえられれば、ベスト。
烏間先生の責任で、さっき奪った銃を使って犯人の腕を打つ。ウィルスの入った治療薬が入ったスーツケースについているのは爆弾。その起爆スイッチを押されないようにするためだ。
殺(おぉっ、ナンバ! 忍者も使うと言われていた歩法。どうりで、最近の暗殺は物音がたっていなかったわけです。決してあせらず悲観せず、皆さんは私の自慢の生徒です。だからこそ、目の前の敵に、決して屈してはいけませんよ)
?「かゆい……」
⁉
?「でも、そのせいかなぁ。傷口が空気に触れるから、感覚が鋭敏になるんだ」
この、声は……。
烏「どういうつもりだ、鷹岡‼」
椅子に座っていた犯人が、こちらを向いた。
その顔は、見間違うはずがない。
鷹岡、先生だった……。