暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

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522:凪海:2016/04/07(木) 20:34 ID:ySs

>>503

 銃使いの殺し屋との戦いに勝利した僕らは、やっとの思いで最上階に到達した。
 僕らは烏間先生の指示のもと、個々の役割を確認していた。
 そこで僕は気づいた。

渚「寺坂、くん?」

 思わず彼に声をかけて、そして彼の首に手をのばした。
 熱いっ!?

渚「すごい熱だよ⁉ まさか、ウィル……んっ」

 寺坂くんは慌てた様子で僕の口をおさえてきた。

寺「黙ってろ。俺は体力にだけは自信があんだからいんだよ」
渚「そんな、無茶だよ‼」

 ウィルスで苦しんでいた中村さんたちの姿が浮かんだ。
 あんな苦しそうな彼らを見てなんていられなかった。

寺「烏間の先公が麻痺ガスを浴びちまったのは、俺がヘタに前にでたからだ。それ以前に、俺のせいでクラスみんな殺しかけたこともある。こんなところで、足手まといになってたまるかよ……」
渚「寺坂くん……」

 烏間先生が出発の号令を下し、僕らは出発することになった。
 本当に大丈夫なんだろうか、寺坂くん……。

 最上階の部屋の見張り役をしていた男から、すでにルームキーは奪ってあった。
 烏間先生がそのキーでドアを開ける。
 実はさっき、律から最上階の部屋の監視カメラに潜入してもらっていた。今回の事件を引き起こした張本人と思われるその人は、僕らが泊まっているホテルにいる、ウィルスで苦しんでいるみんなが映っている映像を見ていた。
 この状況を楽しんでいるのが、カメラ越しでもわかった。
 殺せんせーがさっき言っていた。

殺「黒幕の人は殺し屋ではありません。殺し屋の使い方を間違っています」

 間違ってる?

殺「彼らの力はフルに発揮されれば、恐ろしい威力を発揮します。たとえば、カルマくん。あの殺し屋が廊下ではなく、日常的に忍び寄られていたら瞬殺されていたでしょう」
カ「そりゃね」
千「たしかに、さっき相手にしたあの銃使いも狙った的は1センチたりともはずさなかった」
殺「そうですね。では、海さん。たとえばあなたが私たちの敵であったとしたら、あなたはどうしますか。どうやって私たちを殺し尽しますか?」
海「殺し尽すって……。うーん、そうだなぁ。さっきせんせーが言ったように日常的に忍び寄るかもね。たとえば、ロビーで普通の客のフリをして、すれ違ったところを皆殺し、的な」

 怖っ。
 僕らの大半はそう思った。

殺「おそらく私がこのような姿になったので、彼らを見張りと防衛にまわしたのでしょう」

 烏間先生から指示がだされる。
 取り押さえられれば、ベスト。
 烏間先生の責任で、さっき奪った銃を使って犯人の腕を打つ。ウィルスの入った治療薬が入ったスーツケースについているのは爆弾。その起爆スイッチを押されないようにするためだ。

殺(おぉっ、ナンバ! 忍者も使うと言われていた歩法。どうりで、最近の暗殺は物音がたっていなかったわけです。決してあせらず悲観せず、皆さんは私の自慢の生徒です。だからこそ、目の前の敵に、決して屈してはいけませんよ)
?「かゆい……」

 ⁉

?「でも、そのせいかなぁ。傷口が空気に触れるから、感覚が鋭敏になるんだ」

 この、声は……。

烏「どういうつもりだ、鷹岡‼」

 椅子に座っていた犯人が、こちらを向いた。
 その顔は、見間違うはずがない。
 鷹岡、先生だった……。


凪海:2016/04/07(木) 21:15 ID:ySs [返信]


鷹「屋上へ行こうか。ついてきてくれるよな? お前らのクラスは、俺の慈悲で生かされてるんだからな」

 ……僕らは、鷹岡先生に言われたとおり屋上のヘリポートまで行った。

烏「気でも違ったか」
鷹「おいおい、俺はまともだぜ? 第一お前らが黙ってそこのチビ2人を差し出していれば、俺の暗殺計画はスムーズに仕上がってたのになぁ」

 みんなが僕と茅野を見た。

鷹「計画ではな、えーっと茅野とか言ったっけか。その女。そいつを使う予定だった」

 海が舌打ちをしたと同時に、茅野の前に立った。

鷹「対せんせー弾がたっぷり入ったバスタブの中に、賞金首と一緒に入ってもらう。その上をセメントで生き埋めにする。対せんせー弾に触れずに元の姿に戻るには、生徒ごと爆裂しなきゃいけないって寸法だ。生徒思いの殺せんせーは生徒にそんなひどいことしないだろう? おとなしく溶かされてくれると思ってなぁ」

 悪魔……。

海「てめぇ……」
鷹「こう見えて人道的なほうさ。お前らが俺に対してした、非人道的な方法にくらべりゃあな」

 そう言って鷹岡先生は、自分の頬に爪跡をつける。

鷹「だまし討ちで突きつけられたナイフが頭ん中ちらつくたびに、夜も眠れなくってよぉっ。落とされた評価は結果で返す。落とされた屈辱はそれ以上の屈辱で返す。特に潮田渚! 俺の未来を汚したお前は、ぜってーに許さねぇ‼」

 僕は驚いて、鷹岡先生を見た。

カ「渚くんを呼ぼうとしたのはそのためか。俺ならもっと楽しませてやれるけど?」
寺「第一、お前が渚との勝負で勝手に負けただけだろうが。どの道、てめぇがあんとき勝っていようが負けていようが俺ら、お前のこと大嫌いだからよぉっ‼」

 鷹岡先生が怒りの声をあげた。

鷹「ジャリどもの意見なんて聞いてねぇっ! 俺の指一つでジャリが消えるってこと忘れんなっ!」

 ⁉

鷹「それから、もう一つ。お前、本郷海だったな」
海「………」

 海が僕に対してサインを送っている。

「ナイフ、帯の下。いつでも殺れる」

 そんな指示、急にされてもどうすれば。

鷹「お前も、俺の顔に泥。塗ってくれたよなぁ?」
海「塗った覚えはないよ」
鷹「うるせぇっ‼ 俺の額に思い切りキックをくらわせたのは誰だと思ってんだよっ‼」

「足にもナイフ、1本ずつ。腕にも仕込みナイフ、1本ずつ」

 海の、さっきの言葉を思いだす。

海「口を動かすことで、その人物にしか注意がいかないように仕向けるんだ」

 そうか。
 僕は海の背後に立つ。
 たしか、帯の下。

鷹「おい」

 ⁉

鷹「潮田渚、お前。何をしてる」

 気づかれた!
 僕は慌てて海の手に自分の手をおいてサインを送る。サインを送るなんて初めてだけど、きっとこうすれば彼女は気づいてくれるはずだ。

「ごめん、失敗」
「気にしないで」

 海はこんな状況にも関わらず、冷静沈着だった。

鷹「ふんっ、まぁいい。どの道お前たちが何をしようがもう終わりだからな。来いよ、渚くん。あぁ、本郷海。お前もだ」

 ⁉

海「渚、私は何もしない。君の判断に任せる」
渚「え、あ、うん」
海「烏間先生、ストッパーのほうはいつでも準備万端ですから」
茅「え⁉ ダメだよ、渚、海ちゃん。行ったら……」
渚「行きたくないけど、行くよ」

 僕は殺せんせーを放り投げて茅野に渡した。
 ヘリポートでは鷹岡先生が「早くしろ!」と怒鳴っている。

渚「あれだけ興奮していたら、何するかわからないし。大丈夫、話して落ち着かせて、なるべく穏便に薬を渡してもらえるよう、交渉してみるよ」

 海が僕の背中をたたいてきた。
 僕らは、歩きだした。


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