暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

葉っぱ天国 > 二次創作 > スレ一覧
525:凪海:2016/04/08(金) 00:57 ID:ySs

>>524

 渚は絶望的な表情を浮かべながら、寺坂を見た。ウィルスに感染してつらそうな表情をしている、寺坂の顔を。
 鷹岡はそんな渚の表情を見て、笑いをこらえきれない様子で下卑た(げびた)笑い声を発しながら言った。

鷹「そう、その顔が見たかったんだぁ。夏休みの観察日記にしたらどうだぁ? お友達の顔がブドウみてぇに化けていくさまをよぉ〜」
海「ふざけ、るな……」

 海は下唇をかみしめながら、なんとか耐えていた。

 カラン

 海は異様な音と殺気に気付き、反射的に身震いした。恐る恐る顔をあげると、そこには。

海「なぎ、さ……」
渚「殺、してやる……」
皆「⁉」

 ナイフを両手に持ちながら、鷹岡をにらみつけている渚の姿があった。

片「渚、きれてる……」
吉「俺らだって殺してぇよ。あんなゴミやろう。けど、渚の奴。マジで殺る気か」

 海は思わず叫んでいた。

海「やめて、渚っ! 復讐から生まれる殺しはっ……、相手が憎いと思って生まれる殺意はっ……、決していい結果を残してくれないっ! だから、頼むから、渚。殺さないで……」

 海は、泣いていた。
 茅野はそんな海の姿を見て驚いた。

茅「海ちゃんが、泣いてる……」
カ「………」

 茅野の腕にいた殺せんせーは言った。

殺「渚くんの頭を冷やしてください。君にしかできません、寺さ……」

 殺せんせーが最後まで言い終えないうちに、寺坂は渚に向かってある物をぶん投げた。

寺「ちょーしこいてんじゃねぇぞ、渚ぁっ‼」

 渚はその言葉に振り向いた。

寺「薬が爆破された時よぉ、お前。俺を憐れむような目で見たろっ! いっちょ前に他人の気づかいしてんじゃねぇぞ、もやしやろぉっ! ウィルスなんざな、寝てりゃよゆーで治せんだよっ‼」
磯「寺坂、お前!」

 寺坂は磯貝の言葉を無視して続けた。

寺「そんな奴でも息の根とめたら殺人罪だ。お前はたった1回の殺意で100億のチャンスを棒に振るのかっ⁉」
殺「寺坂くんの言う通りです、渚くん。その男を殺しても何の価値もない。その男の言葉と寺坂くんの言葉、その男の命とせんせーの命。それぞれにどのくらい価値があるのか、考えるんです」


凪海:2016/04/08(金) 02:37 ID:ySs [返信]


 最上階の部屋を襲撃する少し前、烏間は海に聞いた。

烏「海さん。ストッパーをはずすというのは要するにどういうことをするんだ」
海「え、あれ。言ってませんでしたっけ。えーっと、まぁ単純です。私ではなく、カイの名前をフルネームで叫べばいいんです」
不「なんか漫画みたい」
カ「てか、中二病の域だね」
海「カルマにだけは言われたくないなぁ」

 ただ、そのとき海は「あまり使うのはよくないとは思います。私の理性で抑えることはできますけど、万が一ということがありますから」と言っていた。

寺「やれ、渚。死なねぇ範囲で、ぶっ殺せ‼」
渚「……っ‼」

 渚は寺坂から投げ渡されたその、スタンガンを腰にさし、上着を脱いだ。

鷹「おーおー、かっこいいねぇ」
烏「本郷カイ‼」

 烏間の突然の言葉に、みんなは言葉を失った。

殺「烏間先生、よく判断しました」

 海は一瞬、烏間を見たが特に反応はなかった。烏間は失敗したのかと不安になったが、ここはもう成り行きで任せるほかなかった。
 鷹岡は不思議そうに首をかしげていたが、渚にも海にも対して変化がなかったのを知ると、戦闘モードに戻った。

茅「殺せんせー。渚、スタンガンしまっちゃったよ」
殺「にゅぅ……」
鷹「ちなみに、ここに薬の予備がある。渚くんが、もしも本気で殺しに来なかったり、下の奴が俺の邪魔をしようものなら、こいつも破壊する。それから、こいつもな」
海「チッ」

 鷹岡が海を引っ張っていき、みんなに見せつけた。
 渚たちを助けようと準備をしていた千葉と岡野は、鷹岡に見つかってしまい、黙って見守ることしかできなくなってしまった。
 鷹岡は海を乱暴に放すと、渚と向かい合った。

殺「烏間先生。もし、渚くんが生命の危機と判断したら、迷わず鷹岡先生を撃ってください」
烏(さきざきまで見通せるこいつが言うのだから、今までになく危険な状態ということか。いや、俺が見ても間違いなくまずい。今までの暗殺者はなんとかこちらのペースで倒すことができたが、今は完全に立場が逆。いくら潮田渚が暗殺に持ち込もうとしても……)

 渚が歩きだしたところを、鷹岡はその顔面をなぐり、さらに拳をふるわせた。
 茅野は見ていられず、顔をそむけた。
 なぐる、蹴るを一方的に繰り返し続け、渚はなすすべもなくただ攻撃を受け続けるしかなかった。

烏(かつての精鋭軍人に勝つなど、全国模試で1位をとるよりも数倍至難だ)

鷹「そろそろ俺も、こいつを使うか」

 へばっている渚の目の前で、鷹岡は地面に置いておいたナイフを手にした。
 渚は海に視線を送る。
 海は黙ったまま、投げ出した足で地面をコツコツたたいていた。渚にはなんの合図かはわからなかったが、それでも海は何かをしようとしているのはわかった。

 コツ、コツ、コツ、コツ

 このテンポは、まるで……。


全部 <前100 次100> キーワード