暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

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532:凪海:2016/04/09(土) 01:02 ID:ySs

>>530

 私は家に帰って夕飯を済ませると、自分の部屋でなんとはなしに矢田とLINEでやり取りをしていた。

「ねぇ、矢田」
「もう! 凛香ってば。私のことは桃花って呼んでって言ってるじゃん(-"-)
 どうかしたの??」
「放課後に千葉と話したの」
「⁉ 何をっ?」
「夏休みの暗殺。必殺の一撃を加えるのに、ためらいはだめだって
 そう千葉が言ってたの」
「……そっか。
 それで、凛香はなんて答えたの??」
「何も答えられなかった」

 そう送ってから、なんだか情けない気持ちになった。
 千葉の言っていたことは正しかった。だからこそ、どう言えばいいのかわからなかった。

「凛香はもうちょっと、自分に素直でいればいいと思うよ」
「え?」

 私は驚いた。自分に、素直?
 突如として思い浮かんだのは、何故か岡島の顔……。
 イトナが3回目の襲撃をしたとき、私は「シロのやつにむかついてただけなんだから、勘違いしないでよね」と言った。そのとき、岡島が……。

「速水が勘違いしないでよねって言ったぞ」

 挙句、竹林にはツンデレ呼ばわりされたし……。

「凛香、どうしたの? 既読ついてるのに返信が(´;ω;`)」
「ごめん。ちょっと考え事してた」

 そのあとは矢田と普段通りの会話をして、LINEを終えた。
 私はベッドに倒れた。右手を開いたり閉じたりしてみる。この手で引き金を引き、ターゲットの急所を狙う。

 ピコン

 びっくりした。慌ててスマホを見ると、LINEで通知が入っていた。

「千葉……」

 私はそれを開いて、内容を見てみる。

「明日の朝、時間あるか?」
「あるけど」
「ちょっと朝練につきあってほしい」

 突然の、申し出だった。


凪海:2016/04/10(日) 01:55 ID:ySs [返信]


 次の日の朝になり、私は早めに家をでた。学校に着くと早速練習場所へやってきた。
 まだ、来てないのかな。

「わっ」

 ちょっと、びっくりした。
 千葉が木の下で寝ていたから。それとも、寝ているんじゃなくて集中しているのかな。前髪で目が隠れているからよくわからないんだけど。
 私は恐る恐る近づいた。隣に座ってみる。
 な、なんか恥ずかしい……。でも、悪くない気がする。
 空を仰ぎ見ると、青く澄んでいた。
 うん、悪くない。
 私は心地よい思いのまま、千葉に体を預けようと……。

「ん……」

 ⁉
 私は慌てて千葉から離れた。

「お、おはよ……」
「ああ、おはよう。悪い、寝てたみたいだ」
「だ、大丈夫。今来たところだから」

 私は走って的の用意を始めた。千葉も隣に来て、的の用意をしていた。

「今日はいい天気だな」
「そ、そうね」

 さっきの気まずさが残って、どうも話がうまく続かない。
 額が、急に冷たくなった。

「ちょっ!」

 私は驚いて後ずさった。

「あ、ごめん」

 今、千葉が私の額に手をやったのだ。

「熱はないみたいだな。さっきから返事がおかしいけど、大丈夫か?」
「え……」
「いつもどおりじゃないっていうか、俺もうまくは言えないんだけど」

 そんなに、私。おかしかったのかな。

「あ、悪い。気を悪くしたか。ごめんな」
「ううん、そういうわけじゃない」

 ふと、昨日の矢田とのLINEのやりとりを思いだした。

「凛香はもうちょっと、自分に素直でいればいいと思うよ」

 素直、か。

「ねぇ、千葉」
「なんだ」
「……私、千葉のこと尊敬してる」

 千葉は首をかしげた。

「いきなりどうした? やっぱりどっか悪いんじゃ」
「そういうわけじゃなくて、その……」

 私は千葉の顔を真っ直ぐ見た。

「私はまだ、スナイパーとしては半人前だから、迷惑かけるところがあるし、千葉が不安に思っていても何もできないかもしれないと思う。でも、これだけは言わせて。
 千葉は昨日、自分とあのガストロとかいう殺し屋とを比べてたけど、比べる必要。ないと思う」

 私は銃を手に持った。
 いつもとらわれる、不思議な感覚。この銃の引き金を引いた瞬間、全ての緊張から解き放たれ、自由になれる。

「ためらうとか、ためらわないとかってたしかに大事だと思う。それでも、千葉には千葉らしいところがあるよ。私は千葉のこと、尊敬してる。そういう千葉らしいところが好きだよ」

 ち、ちょっと待った。
 思わず「好き」とか言っちゃった。

「え、あ、あの……。好きっていうのは千葉のこと、尊敬してるからって意味で。べ、別に深い意味は……」
「ありがとな」

 いきなりお礼を言われたから、私はぽかんとした。

「俺、自分にやっぱりちょっと自信がなかったのかもな。これじゃあ必殺も何もないよな」

 千葉がこっちを見て微笑んでくれた。私も嬉しくなって笑った。

「やろう、練習」
「そうだな」

 私たちは銃を手に持ち、歩きだした。
 必殺の一撃を探すため、最高のパートナーと最高の暗殺を成功させるために。


〜END〜


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 お、終わったぁ。終わらせ方がイマイチどうすればいいのかわからなかったけど、これでいいのかな。
 楽しんでくれてたら嬉しいです。
 普段あまり話さないキャラって感情表現をどうすればいいのか悩んだ……。ふぅ……。


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