まずは千速の続きといきますか。
>>565
授業が終わると、また中村が私のところへやってきた。
「ねぇねぇ、最近速水ちゃんったら、千葉のことよく見てるよねぇ」
またその話か。
「別にそんなことない」
「あっやしいなぁ」
いい加減うんざりしてくるんだけど……。
でも、ここで何か余計なことを言いだしたら、中村の思うツボ、か。
ここはあえて何も言わずに違う話題にしよう。
「ねぇ、中村」
「なになに?」
「英語で分からないところがあるから、あとで教えて」
「えー、千葉に教わればいいじゃん?」
なんで千葉の名前が……。
それに、クラスで1番英語ができるのは中村でしょ。千葉はどっちかっていうと、数学……かな。
「おやおやぁ、沈黙ってことは千葉に教わりたいってことかなぁ?」
「だから、そんなんじゃないってば」
私はちょっと声を荒らげてしまった。まずい、これは私の悪い癖だ。そんなに怒ってはいないんだけど、毎回怒るような口調で言ってしまう。中村が気にしてないといいんだけど……。
けれど、私の心配をよそに。中村は相変わらずにやにやしっぱなし。ゲスいことを考えている証拠だ。
「ま、いいや。それじゃ私はこれで」
いったい、中村は何をしたいのやら。
私はあきれるばかりだった。
放課後。私は帰らずに狙撃の練習をしようかと思って外に出ると、そこには渚がいた。
「あれ、速水さん」
「渚」
「すごいね、速水さんも千葉くんも。今日の体育、狙撃の点数めっちゃ高かったじゃん」
「ありがと」
渚はなんていうか、不思議な奴。その場にいるだけで空気をなごませてるっていうか、私みたいにあまり話すことが苦手な人にも積極的に話しかけてくれるし。いつだったか岡野が「渚は口が堅い」と言っていたっけ。
だったら、彼になら相談できるかもしれない。
「ねぇ、渚」
「うん?」
渚は不思議そうな顔を私に向けてきた。
「ちょっと相談があるんだけど、時間ある?」
「あるけど……」
そう言って、私の顔をまじまじと見つめてきた。
「な、何よ……」
「いや、ここでは話しにくいことなのかなぁって思って。なんだったら、裏山で話す?」
私はほっとした。
こういう気づかいをしてくれるから、渚は相談役にちょうどいい。
「うん、そうする」
私たちは裏山へと向かった。
今日は思いのほか、スレッドにたくさん人が来てくれたから感激してる(;''∀'')
それと、部活の勧誘のほうも! 30人くらい来たよぉ‼
では、更新‼
・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:.. ・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼
裏山に着くと、渚は木の下で腰を落ち着かせた。私もその隣に座った。
「で、何の相談?」
「渚はさ、自分に自信がなかったときってある?」
渚は目をぱちくりさせた。それから悩むように「うーん」と唸ったあと、
「そんなのいつもだよ。その点、速水さんは本当にすごいと思うよ」
「渚の方がすごいよ」
「え、そうかな」
私はうなずいた。
例えば、鷹岡先生と戦ったとき。本気で本物のナイフを振れるなんて普通はできないことだ。このクラスで一番暗殺者として有能な人は渚だ。普段はおとなしい、どちらかというとあまり目立ちそうにない人なのに。
「僕はさ、このクラスに来たときから自信なんてなかったよ」
「それはみんなも同じでしょ」
「ははは」
渚が空を仰いだから、私もなんとなく隣で空を仰いでみた。
きれいな空だったけど、なんか「きれい」の一言で片づけられる空だった。
今朝見た空とは、全然違う気がする。
「私、となりに信頼できる奴がいないだけで、射撃の結果が悪い気がするんだよね」
「その人って千葉くん?」
⁉
私は驚いて渚を見た。
「なんでわかんの?」
「だって、いつも一緒にいるでしょ。良いコンビだよね」
渚は立ち上がった。
「僕から言わせてもらうと、それは気の持ちようの問題なんじゃないかなぁって思うけど……。きっとそんな一言で片付くほど、軽い話ではないんだろうね」
私はそのとき、渚はすごい奴だと思った。
人が気づきそうにないところまでちゃんとフォローしている。岡野が渚を信頼している理由、分かった気がした。
「渚、ありがと。すっきりした」
「え、こんなんで大丈夫なの? 僕、大したこと言ってない」
「ううん。話しただけで、だいぶ楽になった」
私は立ち上がる。渚はにこりと笑った。
「なら良かった」
「それじゃあね、渚」
「うん、また明日」
私たちは別れた。
さて、このあとどうしようかな。射撃の練習しようと思ってたんだけど……。でも、1日サボったら腕落ちそうだな。
「速水」
声をかけられてそちらの方を向くと、そこには……
「千葉……」
千葉がいた。