>>550
キーンコーンカーンコーン
「あ、今何時?」
私の問いかけに千葉が自分の腕時計を確認した。
「⁉ やばい、もうそろそろ朝のHRだ」
え、ウソでしょ。
私たちは大慌てで的と銃を片づけて校舎に急いだ。
教室に滑りこむようにして入ると、クラスメイトは全員そろっていた。普段遅刻の常習犯であるカルマまでいた。
「あっれ〜、2人そろって遅刻とかなんかあったの〜?」
カルマがにやにやしながら聞いてきたけど、私は「別に」と答えるだけにした。ここで何か余計なことを言ったらカルマだけでなく、そこでやはりにやにやしながら私たちを見ている中村まで参加してくるだろう。
「朝練してたんだ。でも、まだ殺せんせー来てないし、ぎりぎりセーフだろ?」
千葉はそう言って私の横をすり抜けると、自分の席に座った。私も自分の席まで歩いていく。
隣の席の岡島が私に聞いてきた。
「なぁなぁ、何かあったのかよ?」
「だから、別にって言ったじゃない」
「気になるなぁ」
しつこいな。
ガラガラ
「おはようございます、日直の人は号令を」
殺せんせーが入ってきた。
今日の日直は……茅野か。
「起立!」
茅野の号令で私たちは立ち上がり、銃を手にした。
でも、なんだか不思議。
隣に千葉がいないってだけで、銃を持つ自分に違和感を感じる。
どうしてだろう?
休み時間になると、矢田が私を引っ張って廊下にでた。
「ちょっ、ストップ。矢田、止まって」
私が声をあげると、矢田はぴたりと止まった。そのまま勢いでこちらを振り返った。
「どうしたのよ、凛香っ! 昨日のLINEでなんか変だなぁって思ってたけど、いきなり展開が急すぎない?」
「何の話よ……」
私は矢田の言葉にあきれてしまった。
「……朝練って口実?」
矢田が周りを気にして小声で聞いてくるもんだから、さらにあきれてしまった。
「朝練は本当のことよ。実際、さっきまでやってたし。気づいたら朝のHR前だったから慌てて教室に駆け込んだだけ」
「なぁんだ」
いったい何を期待してるのよ。
「あ、そうだ矢田」
「だーかーらー! 私のことは桃花って呼んでって言ってるじゃない」
私はその言葉を無視して続けた。
「昨日は、アドバイス。ありがとう」
「え? 何のこと?」
「ほら、自分に素直になれって言ってくれたじゃない。それ参考になった。だから、ありがと」
すると矢田は嬉しそうに微笑んだ。
「お礼なんていいって」
矢田は私の手を引っ張って教室に戻った。
今日の体育の授業内容は射撃だった。
「まずは速水さん、やってみなさい」
烏間先生に言われて、私は前に立った。
深呼吸をして、的に狙いをしぼった。
パン、パン、パンッ
3度撃った弾は3回とも的に命中した。
「よし。次に千葉くん」
「はい」
私はさがって千葉の射撃を見ていた。
千葉の狙いは正確かつ、速かった。
やっぱり、尊敬できるなぁ。
「おーい、はーやーみーちゃんっ」
「!」
中村に後ろからいきなり抱きつかれて、私はかなりびっくりした。
「な、何よ、中村……」
「いやぁ、よく千葉のこと見てるなぁって思ってさ」
「そ、そんなことないわよ」
「どうかなぁ」
うっ……。
中村の表情が怪しくなっている。だいぶ離れたところでやっぱりカルマがにやにやしている。
この2人、苦手……。
「そんなことより、ほら。中村。烏間先生に呼ばれてるよ。的当て、順番からいって次は中村でしょ」
「あ、ほんとだ。じゃ、行ってきまぁす」
中村がスキップをしながら行ってしまった。
はぁ、なんとか解放された。
やっぱ、茅野のプリン爆殺計画も飛ばそうかなぁ……。
ちなみに今から書く物語(暗殺教室と同時進行ver.)はオリジナルです。
あと、千速書いたから興味あったら読んでね!
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>>564
「デートの時間」
渚side
夏休みも明けた、ある日の日曜日。僕は登校日でもないのに早起きをした。
その理由っていうのが……。
先週の金曜日
海「ねぇ、渚」
放課後、なんか物足りなくてみんなとしゃべりつつ、今後の暗殺をどうするべきか話し合っていると、海が僕に話しかけてきた。
渚「何?」
海「今度の日曜日、暇?」
僕は少し考えた。
渚「暇だけど……」
海「じゃあ、午前10時。椚ヶ丘駅に来られる?」
その言葉に、クラスメイトみんなだけでなく、僕までもが。
皆「ハァァァァァ⁉」
となった。
カ「良かったじゃん、渚くん。デートだよ、デート」
渚「え、ちょっ。待ってよ、海。確かに暇だし、その時間は大丈夫だけど」
カルマくんのからかいの言葉に僕は焦って海を見た。
海は平然とした顔つきで。
海「そ、ならいいや。それじゃまた明後日。ばいばーい」
海はそう言って帰った瞬間。
前「やべぇぞ、海」
岡「まさか渚にデートのお誘いとはな」
殺「ヌルフフフ、のぞかない手はありませんねぇ」
皆「って、おい。いつの間に‼」
いつの間にか教室には殺せんせーがいた。
殺「これは小説のほうで新展開を望める気がします。楽しみですねぇ」
中「殺せんせーの言う通り! のぞかない手はないよっ‼」
ゲ、ゲスすぎるよ、みんな……。
現在
母さんは臨時で仕事が入ったって言ってたから、今日はいないんだよね。
テレビ「次のニュースです。8年ほど前から行方不明になっている如月家の長女……」
テレビを消して、僕は身支度がほぼできたことを確認してから家の鍵と財布を持って外にでた。
椚ヶ丘駅に着くと、すでに海は来ていた。まだ約束の時間までまだ10分はあるのに。
渚「早いね、海」
海「今来たところだよ」
海は今日もやっぱり和服だった。道行く人々が海を見て感心していた。
す、すごい目立ってる……。
海「この前、カエデと一緒に行った、とってもおいしいケーキのあるカフェ店があるんだ。そこに行こう」
渚「あ、うん」
海の誘導で僕は歩きだした。なんとなく、視線を街路樹に向けると……。
しゅばっ
⁉
今、何か隠れた気が……。
もしかしなくとも、みんな、だよね。
渚「ね、ねぇ海……」
海「渚、それやっぱり持ってきたね」
渚「え? あ、うん。どうしても持っていきたかったんだ。それに海だって、ヘアピンしてるし」
海「あはは、そうだね」
カ「なぁんか、並んでると付き合ってる感あるね」
茅「そうだね」
中「ねぇねぇ、カルマ。写真撮らない? あとで渚くんに見せつけるの」
カ「ナイス、アイディア中村さん」
カルマと中村はスマホを手に、シャッターを切り続けた。
まずは千速の続きといきますか。
授業が終わると、また中村が私のところへやってきた。
「ねぇねぇ、最近速水ちゃんったら、千葉のことよく見てるよねぇ」
またその話か。
「別にそんなことない」
「あっやしいなぁ」
いい加減うんざりしてくるんだけど……。
でも、ここで何か余計なことを言いだしたら、中村の思うツボ、か。
ここはあえて何も言わずに違う話題にしよう。
「ねぇ、中村」
「なになに?」
「英語で分からないところがあるから、あとで教えて」
「えー、千葉に教わればいいじゃん?」
なんで千葉の名前が……。
それに、クラスで1番英語ができるのは中村でしょ。千葉はどっちかっていうと、数学……かな。
「おやおやぁ、沈黙ってことは千葉に教わりたいってことかなぁ?」
「だから、そんなんじゃないってば」
私はちょっと声を荒らげてしまった。まずい、これは私の悪い癖だ。そんなに怒ってはいないんだけど、毎回怒るような口調で言ってしまう。中村が気にしてないといいんだけど……。
けれど、私の心配をよそに。中村は相変わらずにやにやしっぱなし。ゲスいことを考えている証拠だ。
「ま、いいや。それじゃ私はこれで」
いったい、中村は何をしたいのやら。
私はあきれるばかりだった。
放課後。私は帰らずに狙撃の練習をしようかと思って外に出ると、そこには渚がいた。
「あれ、速水さん」
「渚」
「すごいね、速水さんも千葉くんも。今日の体育、狙撃の点数めっちゃ高かったじゃん」
「ありがと」
渚はなんていうか、不思議な奴。その場にいるだけで空気をなごませてるっていうか、私みたいにあまり話すことが苦手な人にも積極的に話しかけてくれるし。いつだったか岡野が「渚は口が堅い」と言っていたっけ。
だったら、彼になら相談できるかもしれない。
「ねぇ、渚」
「うん?」
渚は不思議そうな顔を私に向けてきた。
「ちょっと相談があるんだけど、時間ある?」
「あるけど……」
そう言って、私の顔をまじまじと見つめてきた。
「な、何よ……」
「いや、ここでは話しにくいことなのかなぁって思って。なんだったら、裏山で話す?」
私はほっとした。
こういう気づかいをしてくれるから、渚は相談役にちょうどいい。
「うん、そうする」
私たちは裏山へと向かった。