暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

葉っぱ天国 > 二次創作 > スレ一覧
880:凪海◆3A:2016/04/17(日) 19:19 ID:ySs

>>872

カエデside

 渚……。

「渚、戻ってよ!」
「何が? 僕は普通だよ……、ほらカエデ、行くよ」
「え⁉」
「ちょ、待てよ!」
「おい、カルマ。聞こえるか?」

 私はまた渚に引っ張られて走りだす。
 やっぱり、変だよ……。こんな渚、渚じゃない!

「渚……」
「また、しゃべろうとする……」

 そう言って、またキスをしてきた。
 私は、泣きたくなってきた……。

「カエデ?」
「うっ……うぅっ……」
「それとも、『あかり』って呼んだ方がよかった?」
「ねぇ、渚はさ」
「うん?」
「私のこと、好き?」
「好きだよ」

 き、聞いてから後悔……。
 破壊力が……いやいや、今はそんなこと気にしてらんない!

「誰よりも好きだよ」

 本当の渚だったら、そういうこと即答しない。でも、目の前にいる渚は偽物じゃないこともたしか。1年間、ずっと隣にいた私だからわかる。

「だったらさ、渚。本当の渚に戻ってよ……」
「まだ、やだね」

 ?
 まだ?
 今、まだって言った?

「だって、こんなに楽しいんだもん!」

 たの、しい……。
 渚は目をキラキラ輝かせていた。

「今までにないくらい、楽しい!」
「本当に楽しいの?」

 そう聞き返すと、渚がこっちをにらむように見てきた。
 私は、ちょっとビビった。

「じゃあ聞くけどさ、あかり。今まで茅野カエデとして過ごしてきて、自分の本音すら隠して。僕がそんな子に向かって嘘をつくとかあり得ると思う?」

 たしかに、演技をするなんてありえないけど……。
 途端に渚が悲しそうな表情を見せた。そして、ぺたんと地面に座って、体育座りをした。私もなんとなく、その隣に座った。
 渚は、私の方をじっと見てきた。私も、なんとなく渚を見ていた。
 そして、そのまま……。

 パンッ

「⁉」

 渚が私を引っ張った。
 あ、危なかった……。

「この射撃、千葉くんと速水さんだね」
「よくよけたな」

 渚の視線の先には、渚の言った通り、千葉くんと速水さんがいた。

「何か用?」
「今すぐ学校に戻って」
「やだ」

 なんか、わがままな子どもに見えてきたよ。

「茅野だって困ってるわよ、そんなに振り回されて」
「うるさいなぁ……」

 渚がチラッと私を見てきた。

「あかり、逃げて」
「に、逃げる⁉」

 逃げる必要ある⁉
 てか、そもそもの話。みんなが私たちを追いかけているのは、渚のためであるわけで……。

「早くっ‼」
「え、あ、はいっ!」

 渚の気迫に圧されるまま、私は走りだしていた。


凪海◆3A:2016/04/17(日) 23:10 ID:ySs [返信]

 修学旅行2班、3班は一緒に行動してることにします!

・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:.. ・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼


 渚に言われるまま、なんとなく走ってきたけど。
 私、何やってんだろ……。
 立ち止まろうとすると、いきなり腕をつかまれた。

「きゃ……ムグッ」
「静かにしろ、茅野」
「って、寺坂か……」

 あー、びっくりした……。

「よかったー、見つかって」

 物陰から現れたのは中村さんたちだった。

「ねぇ、渚どうしちゃったの?」
「そのことなんだけどさ、茅野ちゃん。お茶係って茅野ちゃんだったよね?」

 何で今、その話?

「そうだけど」

 そう答えると、みんなが落胆した。

「え、え? どうしたのよ」
「……お茶、途中で足りなくなった?」
「うん」

 そして、さらに落胆。
 え、何なの?

「……それでさ、そのあと冷蔵庫にあったボトル、使った?」
「あ、あれね。使ったよ」
「あの中身、なんだと思う?」
「お茶じゃないの?」

 そう言った瞬間、みんなから信じられないような顔をされた。

「え、ウソ! まさか違ったの⁉」
「違うも何もねぇよ! あの中身、ビッチが用意した酒だよ、酒‼」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉」

 ウソでしょっ⁉
 だからあんなに頭痛そうにしてて、なおかつテンションが高かったんだ。思えば、普段やりそうにないことも平気でやってのけてたし……。

「ど、どうしよう……。私、とんでもないことしちゃった……」
「……これ、とにかく渡すわ」

 不破さんから渡されたのは、小瓶だった。

「何これ」
「奥田さんが作った睡眠薬なの。それを渚くんに飲ませれば寝てくれるから、それで万事かいけ……」

 不破さんが言い終える前に。

 パァンッ

「うぉっ⁉」
「危なっ‼」

 対せんせー弾……。

「言ったよね。邪魔したら容赦しないって」
「渚……」
「はいはい、私たちは引きさがりますよ」

 中村さんは降参するように両手を挙げた。みんなもそれをマネして、ゆっくりと後ずさっていく。

「行くよ、あかり」
「う、ん……」

 私は渚に引っ張られるまま、また歩きだした。
 はぁ、また追いかけっこの始まりかな……。
 それにしても、不破さんに渡されたこの薬。どうやって盛ろうかな。

「渚、ごめんね」
「何が?」
「私のせいで、渚……」

 申し訳ないったらない! もし、私があのとき冷蔵庫にあるお酒を取らなかったら。もし、私が配分をしっかり決めてお茶を入れていれば……。

「あかり、落ち込んでるの?」
「ちょっと、かな……」
「落ち込む必要ないよ」
「え?」

 顔をあげると、そのときの渚の表情は普段の渚に見えた。気のせいかもしれないけど……。

「何があっても僕が守ってあげるから」

 ⁉
 うなずこうとして、ちょっとためらった。
 今はきっと、お酒の力で言ってるだけなんだ。普段の渚だったら、絶対そういうこと言わないもん。

「……あかり?」
「大丈夫、何でもない。心配かけちゃって、ごめんね」

 私はほほ笑むと、渚の手をギュッと握って歩きだした。
 と、近くに自販機を発見した。
 これは、チャンスかもしれない。


全部 <前100 次100> キーワード