ある所にとても優秀な博士がいました 彼の弟子もまた、優秀でした
博士は、一人の捨てられて少女を拾いました
その少女が、神童と呼ばれる博士の優秀な弟子です
彼女は博士に喜んでもらうため、勉学に励みました
何かが成功するたび、博士は少女の頭を優しく撫で、ふわりと笑いました
あるとき、博士が宿題に、と出した自分の研究のデータを渡しました
この式を解いてほしいと頼みました
少女は喜びました 大好きな博士に、憧れの博士に頼ってもらえた、と
少女は今まで以上に張り切りました 全ては、博士のため
博士は、争いが暴発するなか、国を救うべく研究しているのです
少女はそんな美しい彼の生き方が大好きでした
そして、遂に、少女は式を解くことが出来ました
博士にも出来なかった難題を解決させました
少女はそれを博士に渡しました 博士は今まで以上に褒めました
そして、実現が可能になったのです
“人類人工進化”に
これは力のある“適任者”を更に強化する技術です
少女は喜びました ----これで強化された人を戦に出せば勝てる、と
強化された人が少しは長生きできるよう、“魔力充電カプセル”を作りました
…………しかし、その技術にはとんでもない“資材”が必要となるのです
少女はすっかり大きくなりました 8歳が、16歳に
しばらく博士も少女も忙しく、二人は会えていませんでした
そんな時、少女は博士に呼ばれ、博士の研究室に呼ばれました
博士の部屋には二つのカプセルが存在しています
その中には、二人の少年少女の姿
博士は言いました --彼等こそが、史上初のS級魔導士だ、と
少女は喜びました --これで世界が救えますね、と
しかし、博士はこう続けます --あぁ、君の親友の細胞は素晴らしい
少女の顔が強張ります 親友と呼ばれる人に、心当たりがあったのです
この研究施設内で唯一安らげる、年の近い彼との時間
彼は究極大手術の被験者No. 1でした その担当者として、少女も全力を尽くしました
しかし、いつまで経っても適応者には選ばれませんでした
そこで、博士は彼に言ったのです --君の細胞をもらう、と
------君がくれないのなら君の担当者であり、君の大事な親友の彼女の細胞をもらう、と
被験者No. 1の彼は心が揺れるなんてことはありませんでした
彼に取っても担当者である少女は心の支えだったから
そして、被験者No. 1の細胞を使われ、新たな方法で生まれた二人の幼い魔導士
人工的にS級魔導士は初めて 博士も喜んでいます
……しかし、少女は喜べません 確かに、強化するのは良いと思いました
しかし、それは死んでしまった者の細胞を使うはずでした
そんな少女に博士はこう告げます --多少の犠牲くらい必要だ
死んでしまった者の細胞ならまだしも、生きている人を殺してまで人を強化させる…
そんな技術が少女は許せませんでした そこで少女は研究施設を脱走しました
そして星霊に入りました 星霊のボスは、自分と同じ、この世界を変えたいという評議員
その評議員の手を借り、研究施設内に潜り込み、自らの手で博士を殺害
その時、研究施設も炎で包んだ しかし、少女は二人の魔導士を救いました
その幼い二人を孤児院へ、送ります
そんな孤児院も、一年後には星霊の手によって大炎上
それは孤児院のみんなが究極大手術を受けた少し後のこと
その際、少女は星霊のボスへと成り上がっていました
少女は一年前の二人の魔導士の内一人、少女の方を連れて帰りました
この少女以外にも、数名を捕獲しました
連れ去られた者が後に機械を身体に入れた“ヒト型”となるのです
林檎))やっぱりか。考えてることが面白いw
「あははっ、気になるでしょ?ね、ね?」
これはあたしの使命だから。絶対、動かさないよ?
「動いたら、死んじゃうよ?」
まぁ、そう言わなくてもみんな動かない。
……真実を知りたい、ってことだよね。
「じゃ、話すよ?夢中になっちゃうかもね〜♪」
「あたし達ヒト型もね、魔導士なの。それに加えてあんた達にはないものもあるの。」
ーーーそれが、機械ラクリマ。あたし達の中には、機械ラクリマが入っている。
それで、少しの怪我じゃ死んじゃわない。でも、コアっていうのを壊されちゃうと、ショートしちゃう。
そのコアは、一人一人鍵として渡されてる。もちろん、ヒト型だけね。
よし、じゃあ次は、魔導士の誕生。>>421を説明。
ね、簡単な話でしょ?だからあたし達は、魔導士でもヒトの命を奪わずに生きていける技術を作りながら、各ギルドにある魔力充電カプセルを破壊していった。それで、今日はここの、っていうわけ。ーーー
「ねぇ、どうだった?それでも、正義って言える?…最近、魔導省に連れ去られる住民が急増してるんだって…それってさ、あんた達のために全員、殺されてんだよ?」
少し下げていた頭を上にする。まあ、やっぱり全員驚いている。
「あたし達のボス、メイビス様は、この世界を救いたい。だから今日もやってきたの」
牢屋に入れられようと、埋め立てされようと、あたしは絶対に、ジェラール様の後をついていく。
「……それが、お前らの正義か。」
「ん?…あたし達も、分かってるよ。カプセルを破壊するたび、怪我人もいる。…だったらさ、あんた達だって、その“犠牲”を使って生きている。一緒だよ。違うのは、それと同じ未来があるか、その未来をなくすかだよ」
赤い髪の…エルザ?は唇を噛み締めている。あぁ、傷ついちゃうなぁ、あれ。
「あのさ、あんた達がオッケーしてくれれば、いいんだよね。そうすれば、破壊もやめることができる。」
未だに驚いている第一部隊の顔を見渡す。
「そうなのです、ルーシィ。魔導士は、善でも悪でもありません。もちろん、私達もです。。」
後ろから突然声が掛かってきた。こ、この声、は…
「…存じ上げています、主様。」
綺麗な幼い少女はあたし達のボスであり、天才博士。
「たった今、破壊は完了しました。これで世界からカプセルは消えました。」
そこで主様はふっと目を伏せる。とても、切なそうに。
きっと、過去のあの人を、思い出しているんだね。
(…ゼレフ博士)
「そして、交渉も済みました。今日から、私達星霊、貴方達ギルドは、同盟を組みました。」
主様はそっと目を開けた。もう戦わなくて済むの…?それって、嬉しいんだけど…
「あ、あの、主様…あたし達はもう、要りませんか?」
怖い、必要とされなくなったら、嫌だ、嫌だ嫌だ。
望む答えを言ってくれるのか、分かんない。
「…そんなこと、ありません。今まで一緒に歩いてきたんですから、これからも一緒に歩んでいきましょう」
きっと、あたしのもう一つの人格は消えるんだろうね。…でも、これもあたしの一部。
すっと、心に閉まっておくよ。
「炎よ、消えろ。」
主様が魔法を使って炎を消せば、空には星空。
ーーーーもう、この世界は平和だよね。
終