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前「って、攻撃部隊がこっちに来てるぞ!」
岡「攻撃はフェイクかよ⁉」
E組の攻撃部隊(カルマ、岡島、木村、前原、磯貝、カイ)はA組の攻撃部隊と交戦すると、思いきや……。
荒「な、なんとE組! 客席に入った! 椅子と客を使って器用に逃げ回るE組。客席はカオス状態だっ!」
カルマはA組に挑発した。
カ「場外なんてルールにはなかった。来なよ。この学校全てが戦場だよ」
ジョゼ「上等だ」
椅子を使い、客を使い、E組の攻撃部隊は器用にA組の攻撃を避けていた。
海「ゲホッ」
磯「カイ……じゃなかった。海、大丈夫か?」
攻撃を避け続けながらカイは咳をこんでいた。
海「へーき、へーきっ!」
カイは思い切り飛びあがり、なんとA組の人の頭の上にすとんと立った。
前「すごっ!」
カ「へぇ……」
海「よっと!」
カイはさらに人の頭の上を踏み台にしながら歩いていく。
ジョゼ「お前っ!」
何人かがカイを捕らえようとするが、彼はひょいひょい逃げていく。
海「ハハッ、つかまえられるわけないじゃーん。君ら程度なんかにさ」
カイはベッと舌を突き出して、どんどん先へ進んでいく。
榊「は、早くつかまえないかっ‼」
海「お。お前知ってるぞ。たしか海……えーっと、カイに告白したんだって? 残念だったね〜。カイはお前になんかキョーミねぇよっと」
そう言いながらカイはチラッと磯貝を見た。手が一瞬、ササッと動いた。
磯(あれは……サイン!)
「準備万端」
磯「よし、みんな行くぞ!」
浅「⁉」
そこへ。
浅「なっ」
A組の棒に食いつくようにしてやってきたのは、村松と吉田だった。
浅(こいつら、序盤で吹っ飛ばされた……!)
吉「受け身は嫌ってほど習ってっからな」
村「客席まで飛ぶ演技だけが苦労したぜ」
さらに磯貝の号令が響き渡る。
磯「今だ! 全員、音速っ!」
攻撃部隊が一斉にA組の棒に食らいつく!
吉「どうだっ!」
浅野はE組の生徒を見下ろしながら、次の瞬間、次々と棒から彼らを蹴り落とした!
吉「ぐっ」
村「うぉっ」
浅「君たちごときが、僕と同じステージに立つ。蹴り落とされる覚悟はできているんだろうねぇ」
あのラスボス感、やっぱり理事長の息子!
殺(浅野くん、1人で戦況を変える決定的なリーダー。君がA組を指揮している限り、A組は負けない。磯貝くんは、そういうリーダーにはなれないでしょう。何故なら、君は1人で決めなくてもいいのだから)
僕ら守備部隊は磯貝くんを台にして、A組の棒に食らいついた。
そして……。
磯「来い、イトナ!」
イ「ああ」
殺「ヌルフフフ、秘密兵器は最後までとっておくものですねぇ」
イトナくんが磯貝くんをめがけて走ってくる。磯貝くんは両手の平を組んでイトナくんがかけた足を思い切り持ち上げる要領で、A組の棒まで飛ばした! イトナくんはA組の棒へと足をかけ、あとはもう、僕らが棒を押し続けることで、棒はあっけなく倒れてしまった。
しばらくの間、校庭内では沈黙が訪れた。
磯「E組の、勝ちだーっ!」
皆「ぃよっしゃーーーーーーー‼」
体育祭 終了後
浅野くんは磯貝くんのバイトについて、目をつぶることを約束してくれた。それから、一応。海が榊原くんの家に奉公に行くという件も……。
僕らはそのあと、体育祭の後片付けをしていた。
渚「あれ、カイは?」
さっきから姿が見えない。
片「さっき体育館裏に行くのが見えたわよ」
渚「僕、ちょっと見てくるよ」
僕は体育館裏に足を運んだ。
海「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ」
渚「カイ⁉」
カイは激しくせき込んでいた。僕は慌てて彼女の……彼の背中をさすった。
海「あ、潮田か」
渚「大丈夫?」
海「へーき、もう慣れた」
カイは手で口をぬぐうような動作をした。
それにしても、海はよく風邪だって言ってるけど、薬の話もよく聞くし。飲んでるところも何回か見てるけど、どうして咳が止まらないんだ?
渚「ねぇ、カイ」
海「うん?」
渚「もしかして海って、僕らに何か隠し事をしてるの?」
海「さぁね」
カイは体育館の壁に背中を預けて言った。
僕は、意を決した。
渚「ねぇ、カイ。君が知っているだけの範囲でいい。教えてほしいことがあるんだ」