>>35
体育祭当日
相変わらずのアウェイ感……。まぁ、わかっていたことだけど。
海「でさ、俺の役目ってこれ?」
磯「あ、ああ」
そして、今回の棒倒しの作戦にはカイがいた。
海「にしても、どーして海が起こした事後処理に俺が駆りだされんだよ、めんどくせー」
渚「まぁまぁ。でも、海は言ってたよ、カイにも学校行事を楽しんでほしいって」
海の考えた作戦とは、カイをだすことだった。海曰く、カイは海よりも身体能力が高いそうだ。海とカイは同一人物なのに、そこで身体能力が違うってところが謎なんだけれど。
海「その代り、バカだけどね。でも、私以上に仲間を思ってくれるよ。言ったでしょ? 根は純粋だって」
カルマくんがカイに質問した。
カ「でもさ、よくビッチ先生の許可無しででてこられたよね。名前、呼んでもらわないとでてこられないんでしょ?」
海「海はそこらへん勘違いしてんだよ。別にイリーナの許可なくても、俺はでてこられる」
茅「そうなの?」
海「ああ。結局ストッパーってのは、俺が暴れたときにストッパーである存在が俺を正気に戻すんだ。ま、この場合正気ってのは海に戻るってことなんだけどな。ところで磯貝」
磯「うん?」
海「お前、さっきからすっげー不安そうにしてるけど」
カイは人の心の変化に敏感のようだった。たしかに、磯貝くんはカイの言った通りどこか不安そうにしていた。でも、きっとそれもそのはず。磯貝くんが不安に思うのも最もだ。僕らは気づいてしまった、浅野くんの本当の目的を。
棒倒し
菅「外人部隊かよ……」
A組に語学留学として4人の外人さんが来ていた。でも、語学留学なんて建前だ。おそらく、本来の目的は……。
磯「……よしっみんな、いつもみたいに殺る気でいくぞっ!」
皆「おぉっ‼」
小「おい、E組勝つ気ないのか?」
E組陣形―完全防御形態―
僕らの最初の陣形は、殺せんせーの完全防御形態だった。
外人さん2人が浅野くんの指示で走りだしてきた。
村「くっそ」
吉「無抵抗なままでやられっかよ!」
磯「おい!」
磯貝くんが止めるのも聞かず、村松くんと吉田くんが走りだした。が、外人2人に思い切り吹っ飛ばされた!
な、なんて力なんだっ!
海「はんっ。まともにやったらやられっぞ、これ」
外人の1人が英語で話しかけてきた。
おそらく、「亀みたいに守ってないで攻撃したらどうだ?」と言っているんだと思う。僕の隣でカルマくんがにやっと笑って。
カ「いいんだよ、これで。そんなことより、構わず来たら?」
ケヴィン「ふん。では行かせてもらうぞ!」
来たっ!
僕らは飛びあがって攻撃を避けた。そして、向かってきたA組の人たちを上から抑えつけた!
E組陣形―触手絡み―
そして、またA組の生徒がこちらに2つの組に分かれて走ってきた。
磯(攻撃をするなら、敵戦力が分散してきた今しかないっ‼)
「行くぞ、攻撃部隊。作戦は粘液っ!」
攻撃開始だ!
前「って、攻撃部隊がこっちに来てるぞ!」
岡「攻撃はフェイクかよ⁉」
E組の攻撃部隊(カルマ、岡島、木村、前原、磯貝、カイ)はA組の攻撃部隊と交戦すると、思いきや……。
荒「な、なんとE組! 客席に入った! 椅子と客を使って器用に逃げ回るE組。客席はカオス状態だっ!」
カルマはA組に挑発した。
カ「場外なんてルールにはなかった。来なよ。この学校全てが戦場だよ」
ジョゼ「上等だ」
椅子を使い、客を使い、E組の攻撃部隊は器用にA組の攻撃を避けていた。
海「ゲホッ」
磯「カイ……じゃなかった。海、大丈夫か?」
攻撃を避け続けながらカイは咳をこんでいた。
海「へーき、へーきっ!」
カイは思い切り飛びあがり、なんとA組の人の頭の上にすとんと立った。
前「すごっ!」
カ「へぇ……」
海「よっと!」
カイはさらに人の頭の上を踏み台にしながら歩いていく。
ジョゼ「お前っ!」
何人かがカイを捕らえようとするが、彼はひょいひょい逃げていく。
海「ハハッ、つかまえられるわけないじゃーん。君ら程度なんかにさ」
カイはベッと舌を突き出して、どんどん先へ進んでいく。
榊「は、早くつかまえないかっ‼」
海「お。お前知ってるぞ。たしか海……えーっと、カイに告白したんだって? 残念だったね〜。カイはお前になんかキョーミねぇよっと」
そう言いながらカイはチラッと磯貝を見た。手が一瞬、ササッと動いた。
磯(あれは……サイン!)
「準備万端」
磯「よし、みんな行くぞ!」
浅「⁉」