>>381
茅「海ちゃん!」
海「って、もう放課後か。殺せんせーに一言謝りに来たんだけど、もういない?」
渚「ブ、ブラジルにサッカー観戦しに……」
海「えぇ⁉ せっかく数学教わろうと思ってたのに……。あー、もう肝心なときにいないんだからさぁ」
カ「海、ビッチ先生知らない?」
海「先輩? いや、知らないけど」
え……。
海「何さ、何かあったの?」
僕は事情を話した。
烏間先生にビッチ先生のプレゼントを渡すように仕向けたことを、事細かく……。
海「へぇ、大変だったんだね」
渚「って、まるで他人事のように……」
海「そんなの一時的なもんでしょ。そのうちフラ〜ッと戻ってくるよ」
そこで千葉くんが言った。
千「もし、このままバイバイだったら?」
?「そんなことはないよ。彼女にはまだやってもらうことがある」
岡野「だよねぇ、なんだかんだ居たら楽しいもん」
海「⁉」
渚「海?」
海「おい、みんな。頭伏せろっ!」
え⁉
海はウェストバッグからなんと、ガドリングを取りだした。
僕らは慌てて頭を伏せた!
海がガドリングを四方八方に回しながら教室じゅうに弾を撃ち始めた。
う、うるさい!
カ「あの弾、本物じゃね⁉」
渚「え⁉」
よく見ると、教室のところどころに穴が開いていた。
海「チッ」
海はその場から飛び出すと、今度は20センチくらいの棒を取りだした。そこについているボタンを押した瞬間、そこから刃渡1メートルはあろうかという刃が飛び出てきた。
杉「日本刀⁉」
海「やぁっ!」
教卓にいる誰かに向かって、その剣を振りかざした。
渚「危ないっ!」
キ――――――――ン
海「くっ」
?「あー、よかった。もしも渚くんが注意してくれなかったら、危うく当たるところだったよ」
海「てめぇ、何者だ!」
僕らはそっと様子をうかがった。
渚「え⁉」
この前の、花屋さん?
?「はじめまして。僕は死神と呼ばれる殺し屋です。今から皆さんに、授業をしたいと思います」
僕は、夏休みの南の島で出会ったトゥイードルダムという名の殺し屋が海のことを「死神もどき」と呼んでいたことをふと、思い出した。
そのときの、海の厳しい表情をも、思い出した。
海「しに、がみ……?」
海は信じられないという顔をその死神と名乗った花屋さんに向けていた。
死「そうさ。はじめまして、本郷海さん。いや、死神もどきと言った方がいいのかな?」
海「……っ!」
海は、動揺している様子だった……。
死「花はその美しさにより、人間の警戒心を打ち消し人の心を開きます。渚くん、君たちに言ったようにね」
………。
死「でも、花が美しく育った本来の目的は。律さん、送った画像を表示して」
律からピコンという、メールの受信音が聞こえた。
画面から律が消え、代わりに現れたのは。
矢「ビッチ先生⁉」
律から映し出された画像は、両手足をロープで縛られたビッチ先生だった。
死「彼女を助けたければ僕が指定する場所まで来なさい。来たくなければ来なくていいよ。そのときは彼女を君たちに届けます。全員に行きわたるよう、小分けにして。そして、次の花は君たちのうちの誰かにするでしょう」
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ガドリングの説明、ちょっとムズイので「うぃき」で調べて( ノД`)
ビッチ先生を助けるため、僕らは防衛省から支給された超体育着を使って、死神が指定した場所にやってきた。
扉を開けて、そっと入る。
死「来たね。じゃ、閉めるよ」
扉が閉まっていく。
緊張感が、あたりに漂った。
カ「フン、こっちの動きは丸見えってわけね。死神っていうより、覗き魔だね」
ガコン
奇妙な音がした。
杉「なんだ⁉」
渚「へ、部屋全体が、下に⁉」
僕らが慌てふためいている間に、部屋が下に下りていった……。
い、いったいどうなってるんだ⁉
死「捕獲完了、予想外だろう?」
こ、こんな方法で捕まるなんて!
死「大丈夫、あのタコがおとなしく来れば誰も殺らないよ」
岡「た、例えば。俺らが反抗的な態度をとったら、殺したりしないか?」
岡島くんの言葉に、死神はクスッと笑った。
死「するわけないだろう。子どもだからってビビりすぎだろ」
岡「いや、それを聞いて逆に安心したよ」
三「ここだ、竹林! 空間のある音がした」
竹林くんが壁の方へと近寄っていく。
竹(指向性爆薬!)
奥(カプセル煙幕!)
爆発音と、もうもうとたつ煙の中、僕らは壁の向こう側へと走った。
磯「チーム分けをしよう」
磯貝くんの指示に、僕らはうなずいた。
海「悪いけど、私パス」
渚「海?」
カ「どういうつもり?」
海「死神を相手にするのに、いちいち手段なんて選んでいられない。私は単独行動する」
磯「こんな状況で単独行動のほうが危険だろ」
海「……油断をしなければ殺られないなんて考えは、捨てたほうがいい。あいつがもし私の知っている死神なら、今までの暗殺方法では勝機は見えない」
……海。
渚「そ、そこまでわかっているのなら、海も一緒に行こうよ!」
海「無理、できない」
カ「海らしくないね」
海「……どうとでも言えばいい。ともかく、私は1人で殺る。それから、先輩にも気をつけて」
矢「先輩って、ビッチ先生のこと?」
矢田さんの言葉に、海はうなずいた。
それから海は大きく息をはいた。
茅「え⁉」
渚「なっ!」
僕らは、驚いた。だって、海の姿が。
まるで、黒い霧に包まれているかのように。
渚「消えた?」
海「雰囲気を操るスキルだよ。私が持っているスキルを半分以上、あるいは全て使わないと。あいつには勝てないから!」
そう言って、海は音もたてずに走りだしてしまった……。